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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

軟体薬

以前途中まで書いていた「軟体薬」を、最後まで書きました。
体がとても柔らかくなる薬を飲んで、物凄く体が柔らかくなる話です。ただし状態変化の柔らかさではなく、あくまで軟体芸的な柔らかさです。

つづきからどうぞ

 身体の柔らかい人が羨ましい。
 それに深い意味はなく、何気なく見ていたテレビの体操選手の演技を見て、自分には絶対出来ないことだから呟いただけだった。
 だけど、天才だけど突っ走る気質の同居人には、その機微が伝わらなかったようで。

「誰でも軟体になれる薬を開発したぞ!」

 ある日帰ってきたと同時に、そんなことを言い放った。
 褒めて褒めてと犬みたいなオーラを醸し出す彼女に、思わず冷めた目を向けてしまったけれど、自分は悪くないと思う。
「はぁ……良かったわね」
 何を言いたいのかはわからないけど、とりあえず『開発』したといっているのだから、おめでたいことなのだろう。
 その自分の、悪い意味で適当な称賛の言葉は、同居人の彼女ーー麗子にとって満足のいかないものだったようだ。
「あっ、信じてないな! 本当なんだから! 見てなさい!」
 そう言って彼女はその場で突然身を反らし――反らしすぎて腰が折れたかと思った。
 彼女の身体は後ろ向きに半分に折れたように折れ曲がり、股の間に頭が来るほどに変形していた。
 心臓が飛び出るくらい驚いたこちらを、彼女は自分の股の間から、にこにことした笑顔で見てくる。
「ふふふ……凄いだろう。これくらいは朝飯前だ!」
 コントーションという軟体芸があることは知っているけど、彼女がやっているのはまさにそれだ。彼女は身体が特に硬い方ではなかったと記憶しているけど、かといってここまで曲がるというわけでもない。
 軟体薬の効果を確かに、端的に示していた。
 さらに彼女はその状態から両足を曲げ、胸を床に着けたかと思うと、脚を正座の形に折り畳み――世にも奇妙な三角形の生き物になった。両手が自由に動いているだけに奇妙さが増している。
「さらに、こんなことも出来るぞ!」
 もうお腹いっぱいだというのに、彼女はますます得意げにそういって、両手を床に着いたかと思うと。
 腕の力で身体を持ち上げ、その状態のまま動いて見せるという荒技まで披露してくれた。 だけど、そんな状態で動く生き物なんて、見た目的には恐ろしげなクリーチャー以外の何者でもなく。それが迫ってくるなんていうのは恐怖でしかない。
 近所中に響き渡るような大声で、悲鳴をあげてしまったのだった。


 ひとしきり大騒ぎしてから、彼女と一緒にリビングのソファに腰掛けて落ち着いていた。
「ごめんってば。あんなに驚くとは思ってなかったというか……あそこまで悲鳴をあげるとは思わなかったんだ」
 騒ぎすぎて疲れ果てた自分は、ソファに体を預けてぐったりしていた。
「……誰だって悲鳴あげるわよ、あんなのみたら」
 ある意味、ゴキブリより気持ち悪くて怖かった。
 そこまでは彼女に申し訳ないから、さすがに言わないけども。
 話を逸らすために、机の上に置かれた薬を軽く指で弾く。
「それで、これを飲めば、自分も麗子みたいな身体になれるの?」
「うん。時間制限はあるけどね。フージーちゃんこんな感じの軟体になってみたかったんだろ?」
 なってみたかったかと言われると、別に軟体になってみたかったわけではないのだけど、せっかく彼女が気を利かせて作ってくれたのだし、頭から拒否するのは少し躊躇われた。
「そう、ね……まあ、時間制限があるなら……」
 そういって彼女が用意してくれた薬を飲もうとしたら、待ったをかけられた。
「まずは普段のフージーちゃんがどれくらい身体が硬いか試してみようよ! その方が効果が実感出来ていいだろうし」
「……ほんとに身体硬いからね。笑わないでよ」
 ある程度は知られているとはいえ、改めて体の硬さの度合いを見るとなれば話は違ってくる。
 麗子は笑わないと言ってくれたけど、たぶん笑うんだろうなという予測は出来た。
 まずは直立した状態からの前屈。
 普通の人なら自分の爪先に手が届く程度には曲げられるはずだけど、自分は向こうずねあたりに到達するのが精一杯だった。
 さすがにそこまで下ろせないのは想定外だったのか、横に立っていた彼女が背中に手を置いて体重をかけて来る。
「もっと下ろせないのかい? こう、上から押したら……」
「あっ、やめて! ーーっ、あいたたたたっ!」
 もちろん無理だった。
 人の手を借りたら踝くらいまでは下ろせたけど、地面に手は着きそうにもない。
 次に地面にお尻を付けて座った状態で、まっすぐ伸ばした脚を、開けるところまで開いて見る。
 九十度を超えた辺りですでに辛く、百八十度開脚するなんてとても出来ない。股関節辺りが痛くなったので早々に止めてしまった。
 こちらの体の硬さを再確認した麗子は、しみじみと呟いた。
「フージーちゃん、こんなに身体硬かったんだねぇ……」
「……言わないで」
 笑われるより、しみじみと言われる方がかえって傷つく。
 改めて自分の身体の硬さを実感して落ち込んでいると、麗子が頭を撫でてきた。
「でも大丈夫! この薬があれば、フージーちゃんの硬い身体もフニャフニャに!」
「ふにゃふにゃって、イカみたいな……そこまで柔らかくなりたくはないし、なったらなったで困るんだけど……」
 言いつつ、麗子に渡された薬を思い切って飲んでみた。
 すると、数十秒もしない内になんだか身体が熱くなってくる。
「ねえ、麗子。なんだか身体が熱いんだけど……大丈夫なのよね? 人体に害はないわよね?」
「うん。大丈夫。ちゃんと臨床実験は済ませてあるものだから」
「……臨床実験って結構時間かかるんじゃなかった?」
 本当なんだろうか。自分で実験されているような気がする。
 信じるしかないとはいえ、我ながら麗子にちょっと甘すぎるかもしれない。気を逸らす意味で、麗子に尋ねてみた。
「それで、どれくらいで効果が出るの?」
「もうすでに効果は出てきてるはずだよ。前屈をやってみてごらん」
 得意げに言う麗子だけど、本当だろうか。
 半信半疑のまま、先ほどと同じように前屈を試してみることにする。
「あ、でも――」
 何か言いかけた麗子の忠告は遅かった。
 前屈運動をした自分の身体は、先ほどと違ってあっさり手のひらが地面に着いてしまった。
 結果、勢いが良すぎて、重いっきり手のひらを床に強打してしまい、悶絶する羽目になってしまう。
「いったああああ……!」
 幸い、強打したと言っても負傷するほどではなく、掌がちょっと赤くなったくらいで済んだ。
「ああ、勢いがつくと危ないって言おうと思ったのに!」
「そういうことは、もっと早く言って……」
 思わぬ衝撃を受けてしまったけど、軟体薬の効果は明らかだった。
「……なんだか、変な感じ。自分の身体じゃないみたい」
 今度はもう少し加減しながら前屈をしてみる。あっさりと手が脚の先に触れ、それどころか床に手のひらをぴったり着けても平気になっていた。
(……もっといけそうな気もするけど……怖いからやめておこう)
 次は座って股関節がどれくらい開けるようになったかを確かめる。
 さっきは九十度を超えたらもうしんどかったのに、いまは百八十度まであっさり開くことができた。出来てしまった。
「うわあ……変な感じ……」
 大開脚というのはこういうことを言うんだろう。
 テレビなどでは普通によく見る体の柔らかさだけど、それが自分の体が実現しているということが信じられなかった。
 などと、しみじみと思っていたら。
「ふふふ……軟体薬の効果はそんなもんじゃないぞ!」
 いつのまにか背後に移動していた麗子が、左右の足首を左右の手で掴む。
「え、ちょっと待っ――」
 止めようとしたが、やはり時すでに遅く。

 麗子は掴んだこちらの両足首を、背面でぴったり揃うほどに引っ張った。

 その時の感覚は、なんといえばいいのかわからない。
 脚が向いてはいけない方向を向いているのに、痛みはなく。
 違和感だけが覚える全てだった。
「えっ、えっ、ちょっと、待って、なに、してるの、麗子」
 バクバク、と心臓の鼓動が鳴り響く。
 鼓動があまりにも激しくて、途切れ途切れにしか喋れなかった。
「軟体薬の効果を手っ取り早く実感してもらおうと思ってね」
 背中から、飄々とした麗子の声が聞こえてくる。そのなんでもなさそうな麗子の様子が、ちょっと恨めしい。
 麗子の両手が、こちらの脚を纏めて握っているのがわかる。それだけなら特に気にすることもないことだけど、身体の向きと脚の向いている方向が余りにも違い過ぎて、頭が混乱していた。
 だって、自分は普通に座って、前を向いているのに、両足の感覚が後ろにあって、さらにその足の爪先が天井を向いているのがわかるのだ。
 軟体芸を得意とする人であっても、膝をまっすぐ伸ばしたまま、百八十度どころか三百六十度開くことなんて出来るのだろうか。
 知らないだけで、出来る人は出来るのかもしれない。
 けど、少なくとも、身体が硬い自分に出来ていい開脚の角度でないことは、確かだった。
 しかも、麗子の暴挙はそれだけでは終わらなくて。
「顔打たないように気をつけてー。いくよー」
 両足を合わせたまま、いきなり足首を持ち上げた。
 そうなればその足に繋がっているこちらの身体は当然前に倒れ――慌てて両手を目の前の床につき、顔面を打つのを免れた。
「ひゃっ! あ、危ないでしょ!」
「ごめんごめん。でもまだここからだぞー」
 逆エビ反り、という体勢がある。まっすぐに伸ばした身体を、前屈方向じゃなく、背面方向に折り曲げるか形だ。
 プロレスでいう『逆エビ固め』の方がわかりやすいかもしれない。
 その形に、麗子はこちらの身体を折り曲げているのだけど――問題は、その脚の向きだ。
 普通、逆エビ反りの形になるとき、脚の先は天井を向くはずなのに、いまの自分の身体だと、爪先が頭の方を向いている。
 普通の人が同じ体勢を取ろうとしたら、股関節を脱臼させないと無理だろう。
 そんなあり得ない形状に、自分の身体がなっている。
 それなのに、頭は正常に脚の感覚を伝えてきて、痛みや苦しみといった負の感覚はまったくといっていいほど、ない。
 それが逆に恐ろしかった。
「ちょ、待って、麗子! これ、怖い! 離して!」
 暴れたら本当に股関節が脱臼して仕舞うんじゃないかと思い、暴れることも出来なかった。
 自分の身体の状態が怖くて、ほとんど涙声になるこちらに対し、麗子は安心させるように囁きかけてきた。
「大丈夫だって。……とりあえずこの状態でキープして……っと」
 いつのまに取りだしたのか、麗子はお弁当箱の蓋を留めるような太くて柔らかいゴムバンドを使って、両足首を揃えた状態で固定してしまう。
 麗子が手を離しても、脚を動かせなかった。
 奇妙な形に折り曲げられてしまったことで、身体をどう動かしていいのかわからなかったのだ。
 ゴムバンド一つで腰から下の動きを完全に封じられてしまった。
 なんとかそのゴムバンドを外せないかと、まだ自由な手を後ろに回そうとして、その手が麗子に掴まれた。
 掴まれた時点で、嫌な予感しかしない。
「ほい、っとな」
 案の定、麗子は掴んだ腕を捻り、手のひらを外側に向けるようにしたかと思えば。
 さらに捻りを加えられ、右の手のひらが左の頬に触れるような形にさせられた。
 普通なら絶対有り得ないことに、ただでさえ脚の感覚で混乱している頭がさらに混乱する。
 よく漫画や映画などで、誘拐される子が誘拐犯に口を塞がれるシーンがあるけど、それをセルフでやろうとしているかのようだった。
 ただ、親指が上を向いていなくて、下を向いている。
 誰か他人にされるとしても、そんな向きで手が出てくることはまずないから、余計に混乱に拍車がかかった。
「え? あれ? え? ……ええ?」
 わけがわからない。もう自分の身体がどうなっているのかわからない。
 頭が混乱しきって、身体をどう動かせばいいかもわからなくなってしまった。
 そんなこちらの混乱に乗じて、麗子はもう片方の手も、同じように捻りに捻って、手のひらが顔の横に来るようにする。
 全く動けなくなったこちらを麗子は軽く横から押して転がし、上下を反転させてきた。
 仰向けで天井を見上げる体勢になる。足が背中の下敷きになっていった。普通ならあり得ない感覚に目眩がする。
「これでとりあえずオッケー。フージーちゃん。自分の身体がどうなってるか、見てみる?」
 そういって、麗子はスマホを取り出し、カメラでこちらの姿を撮影する。
「うん! 綺麗に撮れたよ!」
 そしてそのスマホの画面を向けてきた。
 見るのも怖いけど、見ないのはもっと怖い。恐る恐る、麗子のスマホに目を向けた。

 画面の中のこちらの身体は――綺麗に、長方形に折り畳まれていた。

 手足が曲がっちゃ行けない方向に曲がっていて、軟体薬の影響であるとわかっていても正直気持ち悪い。
 特に気持ち悪いのは、頭より上側にある足首と、顔の横に来ている手だ。
 頭の上、それも後頭部のあたり、本来ならあり得ない位置で足首が揃っているのを感じる。
 手の方はいまも視界の端にちらちら映っているけど、それが自分の手だということが信じられない。
 指先は自分の意思で辛うじて動かせるものだから、それがかえって余計に気持ちが悪い原因になっていた。
 呆然とその映像を見詰めていたら、麗子がこっそり何かの道具を手にしているのに気付くのが遅れた。
「フージーちゃん。あーん」
 何をしようとしているかわかっていたら違った対応をしていたかもしれないけど、何をしようとしているかわからないうちに声をかけられたため、言われるままに口を開けてしまった。
 開いた口に、柔らかなボール状のものが押し込まれる。
「ンンッ!?」
 臭いと味と感触から、それがゴムボールだということがわかった。
 以前麗子とのプレイで使ったことのある、SMプレイ用の道具だ。口内を満たしてしまうために、満足に喋ることも出来なくなるものだった。
 そんなものをいきなり押し込んでくるなんて、何を考えているのか。
「よしよし、素直でよろしい。……そんでもって、と」
 麗子はこちらの両手を掴み、指と指を絡めるように手を握らせる。
 普段ならなんていうことはないことだけど、いまの自分の腕の曲がり方と位置関係のせいで、自然とその組んだ両手に口を抑え付けるような力が働いた。
 押し込まれたゴムボールを吐き出せないよう、自分で抑え付けるような形になってしまう。組まされた指を解こうにも、身体の状態に混乱した頭では、がっちり組んでしまった指を外すのも難しい。
「これでも十分だろうけど、さらにさらに~。髪ゴムを使って、と」
 こちらに残されていた最後の自由だった親指同士を、喉の辺りで重ねるようにして、髪ゴムで纏めて縛る麗子。
 自分の身体自体が、その身体の自由を奪う拘束具として、余すことなく活用されていた。
「これがほんとの自縄自縛……なんちゃってね♪」
 麗子はそう得意げに言う。

 こちらの体を、その体自体で完全に拘束してみせたのだった。

 本当は、解けるはずだった。
 縄で厳重に縛られているわけでもないし、動きを阻害しているのは自分自身の体なのだから、単純に動かされた時とは逆の動きをすれば外せるはず。
 親指をまとめて縛っている髪ゴムだって、別に強く締め上げているわけでもないのだから、ちょっと力を入れれば外せるはずだった。
「んぅ……ッ、ん-っ、んぅー!」
 けれど、どうにも出来なかった。
 絡まった紐が、解けるはずだとわかっていても、容易に解くことができないのと同じで、こちらの体は全く自由にならなかかった。
 麗子は藻掻くこちらの様子を見て、何が楽しいのかニコニコと笑顔を浮かべている。
「うんうん私が想定した通りの効果が発揮されてるね。会社でも普通のポーズでの実験はしたけど、こんなへんな体勢の実験はできないからなぁ……」
「んぅー!」
(変な体勢させてる自覚があるなら、外しなさいよ!)
 そう文句を言ってやりたかったけど、口にゴムボールが押し込まれ、それを自分の手で抑える形にさせられているから、全く言葉が形にならなかった。
 恐らくこちらが何を言いたいか、麗子はわかっている。というか、こちらが文句を言うであろうことを念頭に、ゴムボールを噛ませたのだろうから、当然かもしれない。
「まあまあ。実は軟体薬にはまだ面白い効果があってね……おっと、その前に」
 何に思い立ったのか、麗子はそそくさと部屋を出ていき、そして何故か鋭利な断ち切りバサミを持って戻ってきた。
「本当は裸にしてからやるべきだったんだけど、さすがに裸じゃしないと思ったから……今度新しい服とか下着を買ってあげるから、勘弁してね」
 そんなことを言いながら、麗子はなんとこちらが着ていた服をザクザクと切り裂いていく。
 この時着ていた服は、下着も含めてただの部屋着で、くたびれて来ていたものではあったので、それが切り裂かれたこと自体は特になんとも感じなかった。
 問題なのは、この普通ではあり得ない体勢の時に、裸にされてしまったということだった。
 それは、胸や股間といった、体が普通に動くのであれば当然隠すべき場所が、晒されてしまっているということだ。
 いくらこの場には麗子しかいないといっても、恥ずかしいことに変わりはない。
「ングうううううっ!!! んんんんーーーっ!!」
 あまりに恥ずかしすぎて、出せる声の限りに叫ぶこちらを、麗子は楽しげに見つめている。
「ふふ。そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに……フージーちゃんと私の仲じゃないか」
(どんな間柄でも、恥ずかしいことは恥ずかしいのよ!)
 呻いても無駄だと悟ったので、目で睨みつけてその意思を主張する。
 麗子は素知らぬ顔をして、こちらから目を逸らした。
「さて……そろそろじゃないかな?」
 何がそろそろなのか。
 訝しんでいると、なんだか妙に暑い気がした。自分の体が、特に関節の部分が、妙に熱を持ち始めている。
 じんわりと汗が滲み、息苦しさを感じて身を捩った。
「んぅ……? うぅ……」
「軟体薬の効果時間について、まだ伝えてなかったよね」
 言われてみれば。時間制限があるとは聞いていたけど、それが何時間、いや、何分かどうかも聞いていない。
 麗子はニコニコと、こちらとしては嫌な予感しかしない笑顔で続ける。
「投与する量によって結構融通が効くんだけどね。今回フージーちゃんに飲んでもらった薬の効果時間はーー実は、三十分くらいなんだ」
 麗子の言葉にギョッとした。
 壁にかかった時計を見て、予感は正しかったことを知る。
 薬を飲んでから、三十分が経とうとしていたからだ。
「んぅっ!! むぅ〜っ!!」
 薬の効果が切れ、軟体じゃなくなったらこの体はどうなってしまうのか。
 今の耐性のまま、関節などの硬さが元に戻ったら、私の元の体の柔らかさではとても耐えられない。
 さっきから妙に体が熱いのは、軟体薬の効果が切れかかっている前兆だったのだ。
 焦るこちらに対し、麗子はのんびりとしたもので。
「ふふふ、フージーちゃんのおっぱいは大っきくて柔らかくていいよね」
 もがくこちらの動きに合わせて、体の上で揺れる乳房を指で突いていた。
(そんなことしてる場合じゃ……あ、ぁぁぁあっ!?)
 ミシミシ、と恐ろしい音が体からし始めた。どう考えても柔らかくなくなった体が悲鳴を上げている音だ。
 けれど、本来なら激痛が走って仕方ないだろう状態にもかかわらず。

 とんでもない快感に、体が跳ね上がった。

 その予想外の衝撃に、目を見開いて叫ぶ。
「ングっ!? ンンッ♡ ンァっ!?♡」
 体が少しもがくだけで、大きな快感が脳の中を走り抜けていくようだった。
 その快感の強さはこちらの意識が遠くなるほどのもので、普通ならあり得ないほどの絶頂が立て続けに襲ってくる。
 呼吸が苦しくなり、必死に鼻で呼吸をしていると、麗子がこちらの乳房の頂点にある乳首を軽く突いてくる。
 まるで電流が流されたかのようだった。特に変わった触り方をしたようには見えなかったのに、恐ろしいまでの強さの快感が脳内を駆け巡る。
「ふふふ……驚いたかい? これが軟体薬のもう一つの効果。軟体状態で変化させた関節はね、元に戻ろうとする過程で凄まじい快感を生み出してくれるんだ。でも、今のフージーちゃんみたいに、なんらかの理由で元に戻れない場合はどうなるか。それは今味わっているその快感が答えだよ」
 麗子の手が、こちらの股間へと伸びる。そこはすでに愛液の洪水状態になっているようで、じゅくじゅくと掻き回されて大きな水音を立てた。
「ングっ、ん、んンン〜ッ♡」
 今まで麗子に股間を弄られた時にも感じた覚えのない、強烈な快感が頭の天辺まで突き抜けていく。
「元に戻ろうとする力は働き続ける。けれど薬が切れると体は硬くなるから元には戻れない。そうなると二つの相反する力がいつまでも働き続けてしまうわけ。生まれる快感自体は変わらないから、つまりーーそういうことさ」
 あの世には永遠に苦しみが続く無間地獄があるそうだけど、これもまたその無間地獄の一種なのかもしれなかった。
 永遠につづくのは苦しみではなく快感だったけど、どんな感覚も過ぎれば等しく毒となる。
(あたま……おかしく、ん、なるぅ……っ!)
 やがて軟体薬の効果が切れたのか、こちらの意思でどんなに頑張っても、小さな長方形に折り畳まれた体はうんともすんとも言わなくなった。
 まるで長方形の箱の中に閉じ込められているみたいで、体が全く動かない。
 なのに全身の関節から快感だけが生み出され続け、思考する余裕がなくなっていく。
 ドロドロと愛液が流れ出して行っているのがわかる。
 そんなこちらの状態をわかっているのかいないのか、麗子が細長い水槽のようなものを持ってきた。かなり分厚いガラスでできているようで、息を荒くしながらそれを床の上に置く。
「いやー、ちょうどいい大きさの箱があって良かったよ。まるで誂えたみたいにぴったりだ」
 麗子が何を言っているのか、理解したくなかった。
「んぅぅっ、んぅっ♡ んんんんっ!♡」
 呻くことしかできないこちらの体を抱き上げる麗子。
 そしてそのまま、持ってきた箱の中に収めてしまった。
 麗子の言った通り、まるで寸法を測って誂えたかのように、長方形の形になっているこちらの体が、箱の中に収まる。
 関節が固まってただでさえ動けない中、四方に壁が迫り、こちらの体はより四角く固められてしまっているはずだ。
「ふふふ……これでどうやっても元には戻れないから、私が出してあげるまでフージーちゃんは快感を味わい続けることが出来るってわけ」
 恐ろしいことを口にする。
 なんとか動こうとする体の上に、首から下までを押さえつけるようにクッションが置かれた。唯一力が逃せそうだった上の方向まで塞がれ、箱の中でぎゅうぎゅうと圧力がかかり続ける。
「しばらくしたら出してあげるから、頑張ってね」
 麗子はまるで天使のような笑顔で、こちらを地獄に叩き落とすようなことをする。
 箱の蓋が閉められると、いよいよクッションの圧力が自分の体にかかって、元に戻ろうとする力はどこにも逃げられず、体の中で暴力的に荒れ狂う。
「んぐぅうううっ!♡ んギィ、いいいいっ♡♡♡」
 ただひたすらに訪れる快感の暴流の中、意識を保っていることなどとてもできず、自分の垂れ流した愛液に浸ってイキながら、自分の記憶はそこで途切れた。




 箱は透明なガラスで出来ているから、中の様子はしっかり見えていた。
 体を四角く折りたたんだフージーちゃんが、頭を激しく痙攣させてイッているのがわかる。ガラスの面に押し付けるようになっている彼女の秘部からは、激しく潮が吹き出し、お尻が接しているガラス面に幾筋もの水が流れた跡を作り出していた。
 普段クールなフージーちゃんの顔はすっかり熱って真っ赤になり、白目を向いて気持ちよさそうに痙攣している。口を押さえた手の縁から涎を、唯一呼吸できる鼻からは鼻水を、そして白目を向いた目からは涙を。
 出せるものは全て出して悶えている。
「ああ……やっぱり私の読みは正しかったね」
 実は、軟体薬により生じる快感には、個人差があるのがわかっていた。
 そしてその差を生み出す要因というのは、どうも元々の体の硬さにあるようだったのだ。
 つまり元から体が柔らかい人が感じる快感は少なく、体が非常に硬いという人の快感は凄まじいモノになる。
 ならば体が特に硬いフージーちゃんがより強い快感を得てしまえるのは当然のことだった。
「いいなぁ、フージーちゃん……気持ちよさそう……」
 私がそう思って見つめる前で、フージーちゃんの股間が触れているガラスが黄色く染まる。ちゃんと固定してあるはずの蓋がガタガタと揺れた。
 フージーちゃんがイッた表紙に漏らし、体を痙攣させて悶えているのだ。
 そんな状態になってしまうほどの快感がどんなモノなのか、私自身が味わえないのは少し寂しい。
「後で聞いてみよっと。……その前に怒られるかなぁ」
 半ば強引にやってしまったから、彼女はとても怒るだろう。
 けれどもきっと最後には許してくれる。
「ふふふ……私にも同じことをしてくれて構わないからね、フージーちゃん♡」
 今はこの言葉を聞く余裕もないだろうけれど。
 私は箱の上で肘をつき、愛しいフージーちゃんが気が狂うほどの快感に翻弄され、乱れている様を見ながら、そう呟くのだった。


軟体薬 おわり


[ 2020/06/02 22:45 ] 軟体薬 | TB(0) | CM(0)
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