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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

ヒトイヌフェスティバル


「うわぁ……なにこれ……」
 思わず、そんな声が出た。
 目の前にはとても広い公園。
 茂みなどが少なく、開けた運動場。
 そこにいる、ヒト、ヒト、ヒト。テレビで見るような人混みに比べれば、人数自体は遠く及ばないにしても、どちらの光景に圧倒されるかといえば、断然いま目の前に広がっている光景だと百人中百人が言うに違いない。
 それくらい、目の前に広がっている光景は圧巻だった。
 なぜなら運動場に溢れんばかりに揃ったヒトたち。

 そのほとんどが、ヒトイヌなのだから。

 身体をラバースーツに彩られ、四肢を拘束され、マスクを被せられ、口枷を噛まされたヒトイヌたち。
 ヒトイヌが感情を表現するために体内に挿入されている尻尾が、それぞれの感情を反映し、揺れている。
 複数同時にいるだけでも珍しいだろうに、目の前の広場には数十を越えるヒトイヌが集まっていた。ラバースーツの黒と、白い素肌の対比が目に眩しい。ヒトイヌは個体ごとに身に付けている装備が微妙に違うため、それぞれを見比べるだけでも楽しかった。
「……ほんと、すごい……っとと。ごめんよ」
 移動しようとして、危うく足下にいたヒトイヌを蹴っ飛ばすところだった。
 当然ヒトイヌも避けてくれるのだが、視界や動きがかなり制限されているから、普通に動けるこちらが注意しなければならない。
 うっかり不注意で出禁になったりしたら大変だ。
 気をつけて移動しながら、彼は改めてこの「ヒトイヌ公園」の特異性に圧倒されていた。


 十一月十一日。
 わんわんわんわん、で犬の日とされているその日。
 犬と聞いたら思わず反応せずにはいられないのであろう、ヒトイヌ公園でもイベントが開催されていた。
 題して「ヒトイヌフェスティバル」。
 普段この公園ではヒトイヌからも入園料や施設利用料を取っているが、この日は大盤振る舞いの無料開放。すべての施設が自由に使える。
 さらに、事前に予約し、個別に相談することで、参加のための協力までしてくれる。具体的には送迎手段の確保やアリバイの作成。
 住まいが遠くの人にはなるべく長く楽しめるように前日からの宿泊までをサポート。噂では全ヒトイヌ会員の九十九パーセントが参加しているとかいないとか。
 とんでもない無償奉仕にもほどがあるが、その甲斐あって、いまだかつてない規模のヒトイヌ愛好家が集まっていた。以前、この公園ではヒトイヌ拘束脱出ゲームというイベントが開かれていたが、その時ですら比べものにならない。
 数十のヒトイヌが思い思いに過ごしている様は、この趣味嗜好を持つものにとっては天国か極楽か。ヒトイヌとなっている者も、仲間が人よりもたくさんいる特殊な環境ゆえか、いつもよりリラックスしているように見えた。
 現在、ヒトイヌ入場に制限はないが、人の入場には制限がかかっている。
 普段の公園はヒトイヌ愛好家の中にも、ヒトイヌになりたい者とヒトイヌを愛でたい人がいて、ヒトイヌよりも人の方が多いのが普通だ。
 ヒトイヌに「同時に接触できるのはふたりまで」、「一日に設定された人数以上の接触は禁じられる」といった制限があるため、ヒトイヌが人に囲まれて困ることはないものの、ヒトイヌになりたいという者より人の方が多いのは自然なことだろう。
 だがいまは愛でる側の入場が制限されているため、ヒトイヌの方が圧倒的に多くなっている。
 ちなみに制限にかかって公園に入れなかった者に対しては、公園の外に特設会場が用意されていた。
 そこでは、公園内の様子を自由にモニタリングすることができたり、限定映像の入ったディスクやグッズなどを販売会でゲットしていたり、高名な調教師の座談会が開催されていたりと、そちらはそちらで盛り上がっていた。
 どう考えても赤字ではあろうが、それを少しでも緩和するための手段も取っているあたり、なんだかんだちゃっかりしているのである。


 広場にいるヒトイヌは、接触オーケーのヒトイヌたちだ。
 そのためか、膝を突いて触ろうとすると、一斉に寄ってきて触って欲しいと求めてくる。よく動物園などの触れ合い広場などで、餌を持った客に動物が殺到する場合があるが、まさにその光景と同じだった。
 その集まってくるのがヒトイヌという存在なのだから、愛好家にはとんでもなく贅沢で、かつ信じがたい光景である。
「うわ……っ、ははっ、なんか、もう、最高!」
 どのヒトイヌから触ろうか、などという実に贅沢な悩みを覚え、思わず笑み崩れながら彼が手を伸ばしてヒトイヌたちの頭や背中を撫でる。
「くぅん……っ」
「わふっ、わふっ」
 気持ちよさそうに目を細めたり、くすぐったそうに身を捩ったり。
 ヒトイヌの中でも人懐っこい性格の子たちが、彼に殺到していた。ちなみに、これは普段からそうだが、公園内に入ることの出来る人は選ばれた存在だけである。ヒトイヌ拘束され、抵抗出来ない者たちがいる場所に、下手な者を入れるわけにはいかないのだから、選別は当然だ。
 重んじられるのは性格や性質。怒りっぽかったり不機嫌になりがちだったりする精神的に不安定な者はまず真っ先に排除される。自分のためではなく、ヒトイヌが快適に過ごせるように言われなくても努力する者は許可がされやすい。
 彼もそういう人間のため、なるべくたくさんのヒトイヌを満足させてあげるべく、順番に集まったヒトイヌたちに構ってあげていた。
 そして、そういったきめ細かな気配りが見られると、当然ヒトイヌたちもそれを察し、彼と遊びたがる。
 結果、彼には八頭ものヒトイヌが付いて歩いていた。常ならばあり得ない光景に、彼も嬉しくなってしまう。
「よし……それじゃあ、遊ぼうか!」
 そういって彼が取り出したのは、色とりどりのボールだ。それをヒトイヌ一頭一頭に咥えさせていく。
 今回、広場に集まったヒトイヌたちは、口枷を共通の機能を持つものに揃えられていた。形や方式は細かく違うこともあるが、機能だけは共通している。その共通した機能のひとつが、ボールなどを咥えて運ぶことの出来る機能だ。
「よし、皆自分の咥えたボールの色は覚えておいてねー。それで呼ぶから」
 ヒトイヌごとの名前はわからないため、便宜上の呼び名代わりというわけだ。
「赤色の! 取っておいで!」
 呼びかけながらボールを受け取り、軽く放る。それに向かっていくヒトイヌ。動き方や癖を観察し、どの程度の距離に投げればいいかを見極めていく。
 全員にほどよい運動をさせるための気配りもまた愛でる者の義務なのだ。
 そして、全員にほどよく汗を搔かせたあと、彼は飲み物を準備した。
「水分補給もちゃんとしないとね。一頭ずつ来てー」
 水分補給用のボトルは先端が尖っていて、口枷に差し込んで呑ませるようになっている。
 まるで赤ん坊にミルクを与えるような姿にも見えるが、彼はいたって真剣だ。ヒトイヌたちも恥ずかしそうにしながらも、一頭ずつ水を飲ませてもらう。
 似たような光景が広場のいたるところで繰り広げられていた。
 遊び方に工夫する者、ブラッシングをするように全身をくまなく撫でてあげる者、積極的に性的な快感を与えるようにしている者など、それぞれの愛で方でヒトイヌを愛で、ヒトイヌ側が求める愛でられ方をされにいく。
 ヒトイヌ愛好家たちの楽園がそこに現出していた。


 普段からフレンドリーなヒトイヌも多いけど、ヒトイヌの中には当然特定のパートナーとのみ交流したいという者もいる。
 むしろ、普段はそちらが主流だった。特定の相手以外の接触は不可にして、パートナーとプレイを楽しむ。
 ただ、大規模なイベントということで、今日だけ誰とでも接触可能としている人が多いみたい。
 まあ、完全無料解放の条件がそれだから、大半はそれが目当てなんだろうけど。
(乱暴されたりはしないにしても……みんな、よく他人からの接触を許可するわよね……)
 更衣室のモニターに映し出された公園内の様子を見ながら、私はひとつため息を吐いた。
「どうかなさいましたか? 何かご不安が……?」
 そのため息を聞かれていたらしい。
「っと、すみません。なんでもないです」
 そう慌てて言いつくろう。
「ちゃっちゃと着ちゃいますね」
 私はいまから、イベント中の公園にヒトイヌとして入ろうとしていた。
 ヒトイヌ拘束を楽しみたい私にとって、この公園はとても都合がいい。普段は誰からの接触も禁止して、拘束を存分に楽しんでいる。
 接触や記録を完全に拒否する場合(映像などに映り込んだ場合は加工して消してくれる)、ヒトイヌ利用だとしても、公園の利用料は金額的に決して安くは無くなるのだけど、ここでしか出来ない体験が出来るのだから妥当だと考えている。
 今回はイベントということで、元々利用料はかなり安い。
 完全許可ではないコースを選択したから、無料にはならなかったけど、それでも破格の安さでヒトイヌ拘束をしてもらえるということで、利用しに来たのだった。
(まずは……と)
 全裸になった私は、早速ラバースーツに手足を通していった。ツナギのように全身一体のそのラバースーツは、私の身体のラインをいやらしく強調し、また全身を余すところなく締め付けてくる。
 潤滑油なのか汗なのかよくわからない物が身体とラバースーツの摩擦を弱め、キュッキュッと小気味のいい音を立てて、私の身体にまとわりついてくれていた。
(うん、この感覚……やっぱりいいラバーは感触が違うわねぇ)
 自前のラバースーツは持っているのだけど、比較的安いものだからかこれほどいい着心地はしない。家でこっそり遊ぶ用としてはそこそこ満足だけど、長時間身に付けるのにはやはり公園のラバースーツが一番だ。
 皺が出来ないように慎重に着ていった結果、スーツがぴっちぴちになって、身体の膨らみがより強調され、立っているだけでも恥ずかしい。
 他のヒトイヌの中には四肢の拘束だけでヒトイヌとなる猛者もいたけど、私はなるべく素肌を露出することのない格好を選んでいた。
 公園内を動き回る際、それが一番安全だと思っているからだ。実際は素肌で転がり回っても問題ないほどに公園内は整備されているのだけど。
(考えてみれば、その整備費だけでもすごい額でしょうに、こんな無料奉仕みたいなイベントをやってて大丈夫なのかしら……?)
 一利用者に過ぎない私が言っても仕方ないことだとは思うけど、経営は大丈夫なのだろうか。そんな疑問はさておいて。
 私は次に用意された道具を手に取った。それは、細いアナルプラグと連動した尻尾。
 軽く先端を唾液で濡らし、ちょっとがに股になりつつそれをお尻の穴へと差し込んでいく。係員とはいえ人の前でそういうことをやるのは死ぬほど恥ずかしいけど、かといって自分の性格的に人に任せることも出来ないのだから仕方ない。
 異物がお尻に入って来て、思わず括約筋で締め付けると、お腹の中で傘が開いたような間隔があった。
「う――ひぃっ!」
 わかっていたのに、突き上げるような衝撃を感じて変な声が出てしまった。死にたい。
 私は真っ赤になっているであろう顔をうつむけて隠しつつ、手早く次の道具に移った。
 どうしようか迷っていたけど、結局選んでしまった張り子付きラバーパンツ。それを普通のパンツを履くように足に通し、前の穴に張り子が収まるように引き上げていく。
 あらかじめ塗られていたオイルと、自分自身の分泌した液が潤滑油となり、あっさりと張り子は私の中に入り込んできた。いまは指一本くらいの細いものだというのもあるのだろうけど。
 ラバーパンツは肛門に干渉しないようになっている。しっかり腰まで引き揚げ、位置を調整した後、係員にお願いして特殊なスプレーをかけてもらった。それによってラバーパンツはラバースーツに癒着し、再び薬を使わない限り脱げなくなった。いわば簡易的な貞操帯というわけだ。
 安全のことだけ考えれば金属の貞操帯の方がいいのだろうけど、なるべくごつごつしたものを取りつけたくない私は、この形状の貞操帯を愛用している。
 もし万が一不埒なことを考えている利用者に襲われたとしても、警備員が駆けつけるまでに犯されたりすることはこれでまずない。
「よし……次ね」
 ドキドキと心臓が跳ねる。次に私が手に取ったのはバイトギャグ。完全に言葉を奪うことを目的とした無骨な口枷だ。この公園専用の加工として、咥える部分と連動した、犬の顎のフォルムが作られている。口枷をかみしめたり緩めたりすることで、その顎の部分が開閉し、物を咥えることができる。水を飲むための機能もあって、人間としての言葉を奪いつつも、ヒトイヌとして色々出来るようにする、という理想と実用性に富んだものだった。
 それを大口を開けて咥え、頭の後ろでベルトを固定する。ベルトは横だけではなく、縦ににも走り、私の頭部をぎゅっと締め付けていた。
 さらにそこにイヤーマフのついた犬耳を装着。スピーカーとマイクがセットになったこの犬耳の効果で、まるで本当に頭の上側にある犬耳から音が聞こえているような、臨場感のある状態を実現している。
 なにより、このイヤーマフは結構可愛い。横の部分にヒトイヌ公園のシンボルである、犬の肉球を表現したマークがプリントされている。私は片方にマークをオリジナルのシンボルに変えてもらっていた。といってもあんまりあからさまなのは恥ずかしいので、肉球の一部をハート型にしてもらっているだけだけど。
 ともあれ、これで自分で出来る大まかな準備は終了。
 ちらりと係員の方を見ると、係員は心得ているとばかりに頷いた。
「それでは、手足の拘束をさせていただきます。四つん這いになってください」
 私は言われた通り、四つん這いになった。手足の拘束ばかりは、人にやってもらうしかない。
 腕と足を折り曲げた状態で、袋状の拘束具に差し入れる。肘と膝に当たる部分にはちゃんとクッションがあり、比較的長時間四つん這いで動き回っても大丈夫なようになっていた。
 いくつもあるベルトを引き絞ってもらえば、私の四肢は折り曲げたまま、四つん這いで動くことしかできなくなった。
 この自由をほぼ剥奪された状態が心地よい。
 最後に赤いプレートのついた首輪を巻いてもらい、準備は完了。
「それでは参りましょう」
「ウゥー」
 更衣室から公園に出るまでの短い間、係員の彼女にリードを引いてもらう。
 人間からヒトイヌへ。短い時間でも人にリードを引いてもらうことで、その意識の切り替えがスムーズに行える。
 扉の前まで来ると、跪いた係員が私の首輪からリードを外してくれた。
「それでは、当公園をお楽しみくださいませ」
「ウゥッ」
 私はお礼代わりに唸ると、開かれた扉から公園へと繰り出した。
 公園内には、たくさんの人が――いえ、ヒトイヌがいた。
(うわぁ……すごいわね……)
 映像を見てわかっていたつもりだったけど、実際公園に入って見ると想像以上の数だ。
 広場はまだ遠いのに、多数のヒトイヌがそこら中をうろついている。

 追いかけっこをしているのか、道を走っているヒトイヌたち。
 芝生の中で、あられもない格好をしてくつろいでいるヒトイヌたち。
 身体や鼻先を擦りつけ合い、押し合い、じゃれ合って遊んでいるヒトイヌたち。
 茂みの影で、なにやら身体を重ねてどうやら交尾をしているらしいヒトイヌたち。
 歩いていて喉が渇いたのか、休憩所で水を飲んで一服しているらしいヒトイヌたち。

 とにかく、色んなヒトイヌが色んな形で自由に過ごしていた。


つづく
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