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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。
月別アーカイブ  [ 2019年07月 ] 

軟体薬 1


 身体の柔らかい人が羨ましい。
 それに深い意味はなく、何気なく見ていたテレビの体操選手の演技を見て、自分には絶対出来ないことだから呟いただけだった。
 だけど、同居人にはそれが伝わらなかったようで。
「誰でも軟体になれる薬を開発したぞ!」
 ある日そんなことを言いながら帰ってきたその人に冷めた目を向けてしまった。
「はぁ……良かったわね」
「あっ、信じてないな! 本当なんだから! 見てなさい!」
 そう言って彼女はその場で突然身を反らし――反らしすぎて腰が折れたかと思った。
 彼女の身体は後ろ向きに半分に折れたように折れ曲がり、股の間に頭が来るほどに変形していた。
 心臓が飛び出るくらい驚いた私を、彼女は自分の股の間から、にこにことした笑顔で見ている。
「ふふふ……凄いだろう。これくらいは朝飯前だ!」
 コントーションという軟体芸があることは知っているけど、彼女がやっているのはまさにそれだ。彼女は特に身体の硬い方ではなかったと記憶しているけど、かといってここまで曲がるというわけでもない。
 軟体薬の効果を確かに示していた。
 さらに彼女はその状態から両足を曲げ、胸を床に着けたかと思うと、脚を正座の形に折り畳み――世にも奇妙な三角形の生き物になった。両手が自由に動いているだけに奇妙さが増している。
「さらに、こんなことも出来るぞ!」
 もうお腹いっぱいだというのに、彼女はますます得意げにそういって、両手を床に着いたかと思うと。
 腕の力で身体を持ち上げ、その状態のまま動いて見せるという荒技まで披露してくれた。 だけど、そんな状態で動く生き物なんて、見た目的には恐ろしげなクリーチャー以外の何者でもなく。
 私は近所中に響き渡るような大声で、悲鳴をあげてしまったのだった。


 ひとしきり大騒ぎしてから、私は彼女と一緒にリビングのソファに腰掛けていた。
「ごめんってば。あんなに驚くとは思ってなかったというか……あそこまで悲鳴をあげるとは思わなかったんだ」
「……誰だって悲鳴あげるわよ、あんなのみたら」
 ある意味、ゴキブリより気持ち悪くて怖かった。
 そこまでは彼女に申し訳ないから、さすがに言わないけども。
 私は話を逸らすために、机の上に置かれた薬を軽く指で弾く。
「これを飲めば麗子みたいな身体になれるの?」
「うん。時間制限はあるけどね。フージーちゃんやってみたかったんだろ?」
 やってみたかったかといえば、別にやってみたかったわけではないのだけど、彼女が気を利かせて作ってくれたのだし、頭から拒否するのは少し躊躇われた。
「そう、ね……まあ、時間制限があるなら……」
「まずは普段のフージーちゃんがどれくらい身体が硬いか試してみよう! その方が効果が実感出来ていいだろうし」
「……ほんとに身体硬いからね。笑わないでよ」
 ある程度は知られているとはいえ、改めて軟体度合いを見るとなれば話は違ってくる。
 麗子は笑わないと言ってくれたけど、たぶん笑うんだろうなという予測は出来た。
 まずは直立した状態からの前屈。普通の人でも自分の爪先に手が届く程度には曲げられるはずだけど、私は向こうずねあたりが精一杯だった。
 さすがにそこまで下ろせないのは想定外だったのか、私の横に立った彼女が背中に手を置いてきた。
「もっと下ろせないのかい? こう、上から押したら……」
「いたたたた! やめて!」
 もちろん無理だった。人の手を借りたら踝くらいまでは下ろせたけど、地面に手は着きそうにもない。
 次に地面にお尻を付けて座った状態で、まっすぐ伸ばした脚を、開けるところまで開いて見る。
 90度を超えた辺りですでに辛く、180度開脚するなんてとても出来ない。股関節辺りが痛くなったので早々に止めてしまった。
「フージーちゃん、こんなに身体硬かったんだなぁ……」
「……言わないで」
 笑われるより、しみじみと言われる方がかえって傷つく。
 改めて自分の身体の硬さを実感して落ち込む私の頭を、麗子が撫でる。
「でも大丈夫! この薬があれば、フージーちゃんの硬い身体もフニャフニャに!」
「ふにゃふにゃって、イカみたいな……そこまで柔らかくなりたくはないけど……」
 言いつつ、私は麗子に渡された薬を思い切って飲んでみた。
 すると、数十秒もしない内になんだか身体が熱くなってくる。
「ねえ、麗子。なんだか身体が熱いんだけど……大丈夫なのよね?」
「うん。大丈夫。ちゃんと臨床実験も済ませてあるものだから」
 本当だろうか。信じるしかないとはいえ、我ながら麗子にちょっと甘すぎるかもしれない。気を逸らす意味で、私は麗子に尋ねてみた。
「それで、どれくらいで効果が出るの?」
「もうすでに効果は出てきてるはずだよ。前屈をやってみてごらん」
 得意げに言う麗子だけど、本当だろうか。
 私は半信半疑のまま、先ほどと同じように前屈を試してみる。
「あ、でも――」
 何か言いかけた麗子の忠告は遅かった。
 前屈運動をした私の身体は、先ほどと違ってあっさり手のひらが地面に着いてしまった。
 結果、勢いが良すぎて手のひらを思いっきり床に強打してしまい、悶絶することになったのだった。
「いったああああ……!」
「ああ、勢いよく行くと危ないって言おうと思ったのに!」
「そういうことは、もっと早く言って……」
 思わぬ負傷をしてしまったけど、軟体薬の効果は明らかだった。
「……なんだか、変な感じ。私の身体じゃないみたい」
 今度はもう少し加減しながら前屈をしてみる。あっさりと手が脚の先に触れ、それどころか床に手のひらをぴったり着けても平気になっていた。
 今度は座って股関節がどれくらい開けるようになったかを確かめる。
 さっきは九十度を超えたらもうしんどかったのに、百八十度を遙かに超えて開くことが出来た。
「うわあ……変な感じ……」
 大開脚というのはこういうことを言うんだろう。
 テレビなどではよく見る体の柔らかさだけど、それが自分の体で実現しているということが信じられなかった。
 などと、しみじみと思っていたら。
「ふふふ……軟体薬の効果はそんなもんじゃないぞ!」
 いつのまにか私の背後に移動していた麗子が、私の左右の足首を左右の手で掴む。
「え、ちょっと待っ――」
 止めようとしたが、時すでに遅く。

 麗子は私の両足首を、強引に私の背後で合わせるように引っ張った。

つづく
[ 2019/07/31 23:03 ] 小説・短編 軟体化薬 | TB(0) | CM(0)
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