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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。
月別アーカイブ  [ 2019年04月 ] 

カゴノヒト おわり


 シャーティさんに渡されたラバースーツというものを広げてみる。
 やっぱり人間の首から下の皮を剥いで、黒く染めたみたいな印象だった。そうじゃないとわかるのは、背中の、背骨に沿う形で、不思議な金具?のようなものがあるからだ。
「それはジッパーっていうのよ」
 わたしがその金具を見ていることに気づいて、訊く前にシャーティさんが教えてくれた。
 目隠しに込められた魔法を使って見えているのだということはわかっていても、目隠しをしているシャーティさんに『見られている』というのは、不思議な感覚だった。
 シャーティさんは慣れているのか、わたしの手元に手を伸ばして、ジッパーなる金具の上部を指さす。
「ここに小さな金具が着いているでしょう? これを下に引っ張ってみて」
「こう、ですか……? わっ」
 言われるままに金具を引っ張ってみたら、その金具が下に移動して、ジッパーが半分に割れていった。まるでサナギが羽化する時のように、ラバースーツの背中が開いていく。背中のジッパーは腰のあたりまで下ろせるみたいだった。
「もしかして……この中に?」
「ええ。その開いた中に身体を滑り込ませるの。あ、着ている服は脱いじゃってね」
「は、はい……」
 少し恥ずかしい気もするけど、同性だし、シャーティさんも同じラバースーツを着ているわけだし、大人しく着替えることにした。
 着ていた服を脱いで机の上に置き、下着姿になる。そしてラバースーツを着ようとして、シャーティさんに待ったをかけられた。
「ロバラちゃん、待って。下着も脱いでね」
「えっ!? し、下着もですか!?」
 ラバースーツを裸の上から着ろという。
 わたしは思わずシャーティさんの腰のあたりを見てしまった。ぴっちりしたラバースーツの下に、何か着ていることを示している盛りあがっている跡が見える。
(何か着ているっぽいのに……?)
 その視線に気づかれたのか、シャーティさんは少し苦笑いをする。
「ああ……私がこの下に着ているのは、普通の下着じゃないの。これを着たいなら着てもいいんだけど、これは上級者向けだから……初めての人は、裸の上から直接着て貰う方がいいと思うわ」
 どうやら、シャーティさんの着ているのは普通の下着じゃないようだった。
 どういうものかわからないけど、上級者向けと言われてしまっては、無理にそれを着るのも躊躇われる。
 躊躇われるのだけど、かといって裸になって得体の知れないラバースーツなるものを着る、というのも抵抗があることだった。
 それに、シャーティさんは同性とはいえ、裸を見られるのは正直恥ずかしい。
 そう感じて躊躇していると、シャーティさんが微笑みながら言った。
「恥ずかしがらなくても大丈夫よ。皆同じだし……どうしても恥ずかしくてダメだと思えば、パーティ脱退はいつでも出来るから。今回だけの試しだと思って着てみてくれたらいいわ」
 優しい言葉での甘い誘惑。
 恥ずかしいけど、それで素晴らしい加護が得られるのだから、我慢する価値はある。
(どうしても無理そうなら、抜けさせてもらおう……)
 いつでも抜けられるなら大丈夫。
 そう考えて、わたしは下着に手をかけた。思い切って上下とも脱ぎ去り、さっさとラバースーツを着てしまうことにする。
「足から入れるといいわ。あと、初めてだと片脚立ちになって着るのは難しいから、椅子に座った方がいいわね」
 そう促され、わたしはラバースーツを持って椅子に腰掛ける。お尻にひんやりとした椅子の感触が触れて、思わずぞくりとした。普通、裸で椅子に座ったりしないからだ。
(気にしない……気にしない……)
 わたしはそう胸の内で念じつつ、ラバースーツを改めて目の前に広げる。ジッパーを下げて、ぱっくり開いたラバースーツの背に足を入れる。
 スーツの中は思ったよりひやっとした感じではなく、むしろ暖かみのある感じだった。加護があるおかげなのか、ラバーという素材自体が持つ特性なのか。
 それはわからないけど、見た目の印象よりは快適な感触だった。
 背中の割れ目から、まずは足の先を差し込んでみる。ラバースーツはかなりの抵抗感があり、着るのにはかなり苦労しそうだ。
 そう思っていたら、シャーティさんが奇妙な形をした瓶を持って来て、それをラバースーツの中に振りかけた。
「それは……?」
「これは滑りを良くするための潤滑魔法の粉よ。もう一度足を入れてみて」
 潤滑魔法なんてきいたことがないけど、とりあえずもう一度試してみた。
 すると、さっきは酷く抵抗があったのに今度は滑りよく、突き入れた足がかなり奥の方まで入ってしまった。
「わっ、ほんとだ。すごい……」
「あ、先端まで入れる前に、もう片方の足も入れた方が楽よ。ある程度は伸びるから穿けるとは思うけど」
 言われた通り、もう片方の足もラバースーツの中に入れる。こちらもするりと奥まで入ってしまった。
(……それにしても)
 滑りが良くなったのはいいのだけど、中でヌメリが感じられるようになったことで、なんだか服を着ているというよりは、補食されているかのようで、少し微妙な気持ちになる。
 とりあえず、両足をラバースーツの足先の先端まで押し込む。足が太ももくらいまでぴっちり覆われた。生地が弛まないように、先端から身体に沿わせるように撫でながら、上へ上へと引き上げていく。
(うー……やっぱりなんか、服って言うか皮膚の上にもう一枚皮膚があるみたいで落ち着かないなぁ……)
 この調子で全身包まれてしまったらどんな感覚になるのだろうか。
 想像がつかなくてちょっと怖い。
 けれどいまさら引き返すわけにも行かず、わたしは立ち上がってラバースーツをさらに引き上げていく。腰の上、へその辺りまで引き上げたところで、シャーティさんがわたしの後ろに回り込み、補助してくれた。
「ずり下がらないように私が持っておくから、両腕を入れちゃって」
「あ、はい」
 言われた通り、両腕をラバースーツの中に入れていく。やっぱり昆虫の羽化の逆回転みたいだと思った。
「んっ、変な感じ……ですね」
 ラバースーツが身体を覆っていく。両足、腰、両腕、そしていま胸がスーツに覆われた。スーツの内側はシャーティさんが振りかけた魔法の粉のおかげで滑りやすく、着やすくなっているのと同時に、少し張り付くような感じがした。胸のあたりが特にそれを強く感じる。ぴったりと、わたしの身体の曲線に綺麗に合わさっていた。
 締め付けられるような窮屈さは感じるけど、それと同時に、必要以上に締まるわけでもなく、ただぴったりと身体に沿って存在している感じ。
 その感覚は指先の方からシワを伸ばすようにしてぴちぴちにすると、余計に強くなった。
「それじゃあ、ジッパーをあげるわね。……ふふ」
「どうしたんですか?」
 急にシャーティさんが笑ったので、どこかおかしな状態になっているのかと思った。
 けれど、彼女はそういう意味で笑ったのではなく。
「ごめんなさい。なんでもないわ。この瞬間が溜まらないのよね、と思って」
「それってどういう――ふぁっ!」
 ちゃんと問おうとしたわたしの意識が、あっという間に持って行かれそうになる。
 ジッパーの金具を持ったシャーティさんの指が、わたしの背骨に沿って上がっていく。それと同時に、わたしは身体がラバースーツによって締め付けられる感触に、変な声をあげてしまっていた。
 すでに十分身体にぴったり接していると思っていたラバースーツは、背中のジッパーが上がり、開いていた部分が閉じて行くに従って、よりぴっちりと、ほどよい強さでわたしの身体を締め上げてくる。
 思わず内股になって、背筋を曲げそうになったのを、背後のシャーティさんが軽く肩を引いて、身体を起こされる。
「はーい、背筋は伸ばしてね」
 経験したことのない異様な感覚に、わたしの頭は完全に混乱していて、言われるがまま、背筋を伸ばした。
「は、いいっ、ふ、ぅ……っ!」
 その私自身の動きに従って、ラバースーツが股間に食い込み、お腹を引き絞り、呼吸するだけで胸の辺りに抵抗を感じるようになった。
 まるで巨人の掌に優しく包まれ、握られているかのような、異様な感覚が全身から走っていた。
 ラバースーツに全部を把握されている。経験したことのない、不思議な感覚だった。
 けれど、それは決して嫌な感覚ではなくて。
 むしろずっとそうされていたいような、すべてを委ねて存在しているような、そんな幸福感があった。
 その時のわたしがどんな顔をしていたかはわからない。
 唯一それを見ていたシャーティさんは、優しく笑ってくれていた。
「あらあら……ロバラちゃん、素質がありそうね。これは、マスターに気に入られてしまいそうだわ」
 シャーティさんは楽しげに呟いていたけど、どういう意味なのだろうか。
 わたしが未知の感覚に悶えている間に、ラバースーツのジッパーは上まで上がりきったようだ。うなじのあたりまで上がっていたシャーティさんの手が離れる。
 首の中程までラバースーツは及んでいて、ほんの少し喉に違和感があった。呼吸を阻害するほどじゃないけど、首だけじゃなく胸もラバースーツに締め付けられているからか、慢性的な息苦しさが続いている。
 でも、息苦しいはずなのに、なぜか不快な感じはしなかった。力強く抱きしめられているような、そんな心地いい感覚が生じているのだ。
 初めての感覚を処理しきれず、ぼーっとして立ちつくしていると、シャーティさんに肩を叩かれる。
「ロバラちゃん、大丈夫? ……まさか、いきなりラバースーツ酔いしてたの?」
 彼女は驚いた顔をしているけど、わたしにはなんで驚いているのか、わからない。
「えっと……ラバースーツ酔い……ですか?」
「ええ。稀にいるんだけどね。ラバースーツって独特の着心地をしているでしょう? だから、その着心地に酔っちゃう子がたまにいるのよ。悪いことじゃないし、むしろ良いことだから心配しないでいいわ」
 そう微笑むシャーティさん。
「普通は何度か着て、慣れてきた頃にそうなるんだけど……ロバラちゃんは本当に逸材かもしれないわね」
 ぼそりと呟かれたシャーティさんの声は、なぜかすごく嬉しそうだった。
 とりあえず呆れられたり、引かれたりはしていないようで安心した。
「これでラバースーツは着れたわ……あ。ひとつ忘れてた」
 普通に立っているだけでも、少し身動ぎしただけで、ラバースーツが身体の各部を締め付けてくる。その感覚に精一杯だった私は、背後に立つシャーティさんが何を取り出したのか見ていなかった。
 シャーティさんの手が、わたしの首元に触れてくる。
 金属で出来たチョーカーのようなものが、わたしの首に取りつけられた。
「えっ、ちょっ、ちょっと!?」
 突然のことに驚いていると、シャーティさんが補足してくれた。
「このチョーカーも加護付きの特別製なの。私は外に出ないから必要ないから着けてないけど」
 ただでさえ息苦しいところに、さらに拘束が加えられて、本当に息が出来なくなるんじゃないかと焦ったけど、幸いさらに息苦しくなっただけで呼吸は阻害されなかった。ギリギリの域を攻めてくる。
 そのチョーカーは首にぴったり張り付いていて、わずかな遊びもない。ラバースーツもそうだけど、なんでこんなにわたしのサイズぴったりなのだろう。
「これで基本の制服は着終わったわ。鏡で自分の姿を見てみる?」
 シャーティさんに促されるまま、わたしは部屋の片隅に用意されていた全身が映る大きさの鏡の前に立たされた。

 そこには、異様な姿のわたしがいた。

 そこに映るわたしは、全身真っ黒な、ラバースーツに包まれている。
 手や足の先までぴっちりとわたしの身体を覆うその服は、わたしの身体のラインを嫌と言うほどはっきりと浮かび上がらせていた。
 ラバースーツそのものに身体を締め付け、ラインを整える効果があるらしく、いまのわたしが取れる最高の身体のラインになっているような気がする。
 普通の服だとそんなに目立たなかった胸も、一回りは大きく見えるし、なにより形がすごく綺麗に出ている。その上、身体を動かす際に胸が揺れても、ほどよい強さで保持してくれているため、全然痛くない。
 揺れないわけじゃないけど、ちゃんと形を保持してくれているから、巨乳の人でもたぶん大丈夫、だと思う。
 首につけられた金属製のチョーカーは、触れると冷たくて硬そうなのに、不思議と首の動きにはほとんど干渉しなかった。加護がついているという話だったけど、装着者の邪魔にならないような魔法でもかかっているのだろうか。
 正直、首に巻く金属製のもの、というと犯罪者などが身に付ける首輪が真っ先に思い浮かんでしまうのだけど、このチョーカーはあまりそういう風には感じなかった。シンプルながらデザインがお洒落で、装飾品として成立している。
(……ドレスを着てこれを着けても違和感ない、かも?)
 まあ、ドレスなんて遠くから見たことしかないのだけど。
 それにしても、繋ぎ目らしきものがないように見えるけど、どうやって外せばいいんだろうか。
「あの、シャーティさん」
「次はロバラちゃんに使ってもらう部屋に案内するわね」
 訊こうとしたら、シャーティさんは言いながら部屋の外に出ていってしまう。
 あとで脱ぐ時に訊けばいいかと、とりあえずシャーティさんのあとに着いて歩く。いつものように歩こうとしたら大きく胸が揺れた。
 身体の感覚でそれがわかって、慌てて腕で押さえる。
(うぅ……これほんとに皆同じ服を着てるのかな……モンスターと戦う時にこれって、結構厳しいんじゃ……)
 痛くはないのはわかってるけど、揺れるのには違いないから、恥ずかしくて仕方ないと思うんだけど。
 そんな風に思いながらも、シャーティさんの後ろについて、階段を上る。
 相変わらずシャーティさんの足には鎖が繋がっていて、じゃらじゃら音を立てている。すごく邪魔になりそうだけど、彼女は慣れている様子で、階段を上るのにも支障がないようだった。
(それにしても長い鎖だよね……絡まったりしないのかな? 他の人が踏んじゃったり……とか)
 何気なく鎖の動きを見ていると、シャーティさんが廊下の角を曲がり、鎖が角に引っかかりそうになった。
 けれど、引っかかるかと思われた鎖は、何事もなくシャーティさんに引かれるまま、動き続けている。
 まるで鎖自体が動いているようにも見えるのは、目の錯覚なのだろうか。
(あまり気にしないようにしよう……)
 そう気持ちを切り替え、シャーティさんについていく。
 シャーティさんはひとつの部屋の前で止まった。ここの扉は自動ではないらしく、シャーティさんが枷のついた手で開けていた。
「ここね。家具はあまりないけど、もし必要なら言ってね。物置に余っている家具がいくつもあるし、大抵のものは融通できると思うわ」
 中はシンプルな部屋だった。ベッドがふたつ置かれていて、壁際には棚や机もある。
 確かに物は少ないけど、わたしみたいな新人を迎えるのならこれくらいの方がいいんだと思う。
「わ、わかりました。ええと、同室の人もお出かけ中ですか?」
 まずはその人に挨拶をしないといけないだろう。
 そう思って訊いてみたのだけど、シャーティさんはなぜか少し困ったように笑う。
「ああ、ごめんなさい。実はこの部屋、いまは誰も使ってない部屋なの。二人部屋をひとりで使うから、少し寂しいかもしれないわね」
「え? そうなんですか?」
 つまりこの部屋は完全に新人用の部屋で、その部屋を使う人はわたし以外いないということらしい。
 一人部屋なんて初めてのことで、むしろ嬉しく思えてしまう。
 それにしても、結構所属している人は多いはずなのに、部屋が余っているなんて、このホームは結構広いのだろうか。
 そう訊いてみたら、シャーティさんは苦笑した。
 彼女がさっきからずっと困ったような笑顔を浮かべているのが気になる。
「シャーティ、さん?」
「そうね……確かに外から見るより、この屋敷が実際に広いのも事実なんだけど。地下室もあるしね。でも、部屋が余ってるのは……」
 ふと、そこまで言ったシャーティさんが言葉を切り、あらぬ方向を見やった。
「……あら。何人か帰ってきたみたいね。とりあえず荷物は部屋に置いちゃって。皆を出迎えに行きましょう。あなたを紹介するから」
「あ、はい。わかりました」
 なんだか色々あるらしい。
 とりあえずパーティメンバーに挨拶するのも大事だから、わたしは着替えなどの荷物を置いて、メンバーを出迎えに行く。
 これからお世話になるパーティメンバーたちだ。失礼がないようにしなければならない。
 わたしはそう思っていたけど、それ以前に彼女たちの姿を見て、呆気に取られることになるのだった。
 パーティの制服だといわれ、わたしが身に付けているラバースーツとチョーカー。
 これはあくまでも『基本の』制服だ。

 つまり――人によって制服はそれぞれ違うのだ。


「カゴノヒトビト」につづく
[ 2019/04/17 22:57 ] 小説・短編 カゴノヒト | TB(0) | CM(0)
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