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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

夢犬 9


 遊んでいた犬が遠くへ去って行く。
 寂しさを堪えて、その背中を見送って――目が覚めた。見慣れた自室の天井、薄暗い部屋が目の前に広がる。
「……変な夢」
 妙にリアルで、けれど現実味は全くない夢だった。
 夢の中で自分は一匹の犬だった。どこまでも広がる草原を歩いていると、別の犬が現れて、その犬と戯れた。それだけの夢。
 けれどいままで生きてきた中で、人間以外の動物になる夢は初めて見た。それまでそんな夢を見た覚えはなく、そういう夢を見るようなことを前日にした覚えもなかった。
「……うーん、なんか思い出しそうなんだけど……」
 身体を起こし、溜息を吐く。なんだかもやもやしたものを胸に感じた。
 けれど結局その正体がわかることはなく、仕方なくいつも通り朝の準備を始めることにした。治験に参加しているからなのか、最近は身体の調子がすこぶる良かった。
 特に朝のお通じが最近快調で、ともすれば便秘気味だったのが信じられないほど順調だった。さらに少し恥ずかしい話ではあるのだが、出すのがとても気持ちいいと感じるようになっていた。
「どういう薬かわからないけど……色々調子がいいのは助かるなぁ」
 不思議と体力もついてきたように感じていた。治験のバイトの時は毎回寝ているだけなはずなのだけど、どこか身体が引き締まってきたようにも感じる。
「実はめちゃくちゃいいバイトを見つけちゃったのかも……」
 怪しげなバイトだと思っていたが、こんなにも好影響を及ぼすとは思っていなかった。
 機嫌良く朝食を作りつつ、ふと思う。
「……あのバイト、友達に紹介できないかな?」
 割が良くて、身体にも良い。そんな素晴らしいバイトを、友達にも教えてあげたいと思った。
 今度バイトに行った時に、まだ募集していないかどうか、訊いてみよう。

~夢犬 終わり~

夢犬 8


(あれ……? さっきは立ち上がれてなかったのに……)
 最初に転んだ際は別の理由で起き上がれなかったのかもしれないと、ヒトミは思った。無事起き上がれたのならそれに越したことはないのだが。
「ハッ……ハッ……」
 そのヒトイヌは口を開いて荒い呼吸を繰り返している。唾液がマスクの下顎部分を伝って垂れ、本物の犬が涎を垂らしているかのような光景になっていた。
 ヒトイヌは鼻先を擦りつけるように、ヒトミの胸辺りに触れる。
「ひゃっ……」
 敏感になっている乳房を鼻先で突かれ、思わずヒトミは声をあげてしまった。そんなヒトミの様子に構わず、ヒトイヌがその口を大きく開き、その乳房をくわえる。マスクにそこまでの力は出ないため、過度に痛くはなかったが、乳房に噛みつかれている感覚は確かに感じられた。
 ローターによって敏感になったその場所に、その刺激が心地よい快感を与える。
「くぅ……んッ」
 さらにヒトイヌは舌を伸ばして乳首の辺りを執拗に舐め始めた。ラバーに覆われたその乳房にそのその刺激はヒトミにとって小さすぎたが、乳房に噛みつかれ、舐められるという行為に、ヒトミの気持ちは昂ぶる。
(もっと……もっと舐めて……っ)
 犬とじゃれ合っているような、そんな気持ちになってヒトミはさらに刺激を求める。
 身体をすりつけるように、そのヒトイヌはヒトミに身体を寄せてきた。
 互いに不自由な身体同士、ひとしきり戯れる。
 そうこうしている内に、不意にヒトミの首輪が小さな電子音を奏でる。
(残念……時間かぁ)
 ヒトミはあくまでこの公園に遊びに来ているのであり、その利用時間が近付いていることを首輪の電子音は教えていた。
 それは相手のヒトイヌにもわかっていることなのか、それまで擦りついてきていた身体を離し、ヒトミが自由に動けるようにする。
 ヒトミは慣れたもので四つん這いの姿勢に戻ると、最期に遊んでくれたそのヒトイヌと鼻先を擦りつけ合う。言葉は発せられないため、挨拶代わりだ。
(楽しかったわ……また、会いましょうね)
 同じヒトイヌとまた会えるかどうかはわからない。そもそも個人が特定できないようにマスクを被っているのだから、次に会った時同じヒトイヌかどうかはわからないのだ。ヒトミの方はまだ髪型が推測できるマスクだが、ヒトイヌの方は全頭マスクで髪の色すらわからない状態なのだから、余計にだ。
 それでもまたこの公園内で再会できることを祈って、ヒトミはそのヒトイヌと別れた。

つづく

夢犬 7


 ローターの震動がラバー越しに伝わったのか、ヒトミが組み敷いたヒトイヌはうめき声を大きくし、ヒトミの下でもがいていた。
(ふふふ……一緒に気持ちよくなろーね)
 短い手足をばたつかせてもがくヒトイヌを可愛らしく思いつつ、ヒトミはその股間をヒトイヌの股間に合わせる。そうすると、熱い感触がラバー越しにも伝わってくるようだった。
(なんだ、あなたもすごく興奮してるじゃない)
 貝合わせなど、普段のヒトミにはやる機会もないことだったが、この公園内では定番のプレイのひとつだ。ゆえにどんな風に身体を捻ってあてがえばお互いに気持ちいいかはよく理解していた。
 ヒトミの巧みな体重移動と体勢の誘導によって、ヒトミとヒトイヌの胸と股間がぴったりと合う。
(ほらほら、もっと気持ちよくしてあげる……!)
 ヒトミはさらに力を込めて尻尾を振り、ローターの動きを加速させる。端からみれば犬が激しく尻尾を振ってじゃれ合っているように見えるだろう。
「ウゥーッ……!」
 快感に翻弄されているのか、ヒトイヌがさらにうめき声をあげる。犬のフォルムを模した全頭マスクの下顎の部分が、ヒトイヌの動きに沿ってかぱりと開き、その奥に垣間見える口内が溢れた唾液でテラテラと光っているのがわかった。
(ふふ……気持ちよさそう……唇にキス出来ないのはちょっと残念かな)
 ヒトミはそう思いつつも、舌を伸ばしてヒトイヌの顔を舐める。当然ヒトイヌの顔は全頭マスクに覆われているため、ラバーの味しかしないのだが、ラバーフェチでもあるヒトミにとって気持ちを高めるにはちょうど良い行為だった。
(はぁ……はぁ……あぁ……そろそろ……はぁ……いっちゃいそう……!)
 荒い呼吸を繰り返しながら、ヒトミは快感の高まりを感じていた。ローターが直接身体に接しているため、それから感じる快感は当然ヒトイヌよりも強い。
 自分からじゃれつきにいった手前、まずはヒトイヌ側を満足させてやりたかったのだが、しっかりと全身が覆われているため、中々難しい。
(んんっ、あっ、ふあぁ……ッ!)
 悪いとは思いつつ、ヒトミは十分に高めた快感を味わい、身体を震わせて一度目の絶頂に達した。その身体の激しい震えに感化されたのか、組み敷かれたヒトイヌも軽く身体を震わせる。絶頂とまではいかなくとも、確かな快感を覚えたようだ。
 絶頂に達したヒトミは身体に力が入らず、下敷きにしたヒトイヌを押し潰してしまう。そうやって密着したことで、快感に震えるヒトイヌの震動がヒトミにもより強く感じられるようになった。
 この拘束や仕掛けに慣れているとはいえ、散々動かし続けたために、上手く肛門に力を入れることもできなかった。だらりと尻尾が垂れ下がる。
(はぁ……はぁ……ど、どいてあげないと……)
 人一人分の重みがかかってしまっているのだから、苦しいはずだ。こんな施設にわざわざフリーで遊びに来ている以上、苦しみには慣れているのかもしれないが単に苦しいのは誰だって嫌だろう。
 ヒトミは絶頂直後で上手く力の入らない身体をなんとか動かし、ごろりと横に転がった。仰向けに寝転がったまま、呼吸を整える。身体を開いたまま寝転がることになってしまうが、野外でそういう格好が出来るというのも、この施設の魅力のひとつだ。身体はラバーに覆われているのに、開放感を感じられるのはここくらいのものだろう。
 そうしてヒトミが呼吸を整えていると、不意に彼女の視界に人影が割り込む。はっとしてその正体を見ると、隣で寝転がっていたはずのヒトイヌがいた。

つづく

夢犬 6


 ヒトイヌ公園常連であるヒトミは、その日もフリーで公園に遊びに来ていた。
 女性の単独入場は施設的にも歓迎されているらしく、他の遊び場で遊ぶより遙かに安く、刺激的な体験が出来るというのが、ヒトミがこの公園によく遊びに来る理由である。
 普段は隠している性癖を思う存分露わに出来る場所として、彼女のストレス解消に役立っているのだった。
 彼女はいつも通りヒトイヌの衣装に身を包んで公園内を闊歩している。普通ならば不格好に歩くことしか出来ない四つん這いでの歩行にも慣れたものだった。軽快に手足を動かし、公園を自在に歩く。
 ヒトミが好んで身につけるヒトイヌの衣装は、全身を覆うラバースーツに、四肢を折り曲げての拘束。顔の上半分を覆うアイマスク。アイマスクにはほどよく視界が確保される程度の小さな穴がいくつも開けられており、外からは見えなくても内側からは一応見えるようになっている。
 股間の部分には後ろの穴に尻尾飾りの付いたアナルプラグを差し、括約筋の収縮に伴ってフリフリと尻尾を揺らしていた。前の穴には、尻尾と連動し、振れば振るほど震えるバイブが埋め込まれていて、ひとりでも楽しめるようになっていた。
 そこそこ大きな胸の頂点には、パッド型の震動機が仕込まれており、これも肛門のアナルプラグに連動して震えるようになっていた。
 現在もヒトミは歩きながら括約筋を締めたり緩めたりして、尻尾を軽快に左右に揺らし、それによって膣内と乳首に震動を生み出して、外を歩きながら快感を味わっている。
 そうやって散歩しながら快感を貪るのが、ヒトミがこの公園でよくやる楽しみ方のひとつだ。
(んー、今日はどこに行こうかなぁ。アトラクションハウスはこの前行ったし……他の子とじゃれ合いたいし、休憩所に行こうかな)
 ヒトイヌになろうという会員は、大抵マスクなどで顔を隠し、言葉も使えないため、公園内で出会ったヒトイヌと外で会うということは滅多に無い。無論、その気になればプレイが終わってから連絡を取り合うこともできるのだが、ヒトミ自身がそうであるように、ヒトイヌになりたい会員はヒトイヌ時とリアルは分けたいと考えている者が多かった。
 ゆえに基本的にヒトイヌ同士の出会いは一期一会。それゆえに気楽にじゃれ合うことができるという利点もあった。
(ひとりでも楽しめることは楽しめるけど……やっぱり人といじりあった方が気持ちいいしね……っと)
 休憩所目指して歩いていたヒトミは、前方の芝生エリアでふらふらしているヒトイヌを見つけた。どうも動きがぎこちない。
(新入りさんかな? よーし、ここはヒトイヌの先輩として、気持ちよくしてあげちゃおう!)
 近付いていくヒトミは、その途中で公園の規約を思い出し、相手のヒトイヌの首輪にタグがぶら下がっていないかを確認した。
 会員によっては他のヒトイヌとの接触を嫌う者もいる。そういう場合、首輪のところに赤いタグが付けられているのだ。そういった相手に対し、見かけたりすれ違ったりする程度ならともかく、無理矢理じゃれ合おうとすれば施設側から警告され、ペナルティが課せられてしまうのだ。
 以前タグに気づかずにじゃれ合いに行って、痛い目を見た覚えのあるヒトミは、それをちゃんと学習していた。
(よし……タグはついてないから、大丈夫!)
 接触しても大丈夫な相手だと見たヒトミは、相手の正面に回り込み、驚かさないように注意しながらゆっくりとその視界に入り込む。
 そのヒトイヌもヒトミのことを見つけたのか、その顔がヒトミの方へと向いた。
「ウー」
 挨拶のつもりで小さく唸りつつ、ヒトミはヒトイヌへと近付いた。
 ヒトミのマスクは口元を覆っているわけではないので、喋ろうと思えば喋れる。だが、ヒトイヌが人の言葉を喋って意思疎通するのはこの公園では推奨されていない。カップルなどが両方ヒトイヌになって入場する場合などはその限りではないのだが、フリーの者同士は仕草や簡単な鳴き声で意思疎通を図るのがマナーだった。
 ゆえにヒトミは唸りながら近付いたのだが、それを受けたヒトイヌの反応はなんとも間の抜けたものだった。
 思わず後退しようとしたそのヒトイヌは、場所が緩やかな斜面であることもあってか身体のバランスを崩し、仰向けにひっくり返ってしまったのだ。
(うわわっ、だ、大丈夫かな……)
 結構な勢いで転んだように見え、ヒトミは思わず相手の心配をする。起き上がれないのか、手足をばたつかせてもがいていた。怪我はしていないことを確認し、ほっと息を吐く。
(仕方ないなぁ。助けてあげよう。……あ、でもその前に、いいこと思いついちゃった)
 ヒトミは仰向けに転がったままのヒトイヌを見て、いいことを思いつき、早速行動に移した。仰向けのヒトイヌに近付くと、組み敷くようにのしかかった。ヒトミの胸と、ラバーに覆われてもなおわかる、ヒトイヌの形のいい大きな乳房とが触れあい、その弾力を持って互いの乳房を潰し合った。
 そして、ヒトミは肛門に力を入れ、尻尾を力強く振る。その尻尾の動きに連動して、胸のパッドに仕込まれたローターが震動し始めた。

つづく

夢犬 5

 その施設は、ヒトイヌ公園と呼ばれている。
 拘束プレイが趣味な者の中でも、ヒトイヌプレイ愛好家が集う場所だ。広大な敷地と設備を有し、その中では自由にヒトイヌプレイを楽しむことが出来る夢のような場所。ここではフリー・カップル問わず、様々なヒトイヌ愛好家が日々プレイを楽しんでいる。
 コアな会員が多く、リピーターも多い公園ではあるが、いかに全国各地から同好の士が集まるとはいえ、会員の絶対数としては決して多いわけではない。敷地が広いことは魅力ではあるが、同時に会員だけでは閑散とした雰囲気になるのも事実だった。見学だけに訪れる会員も多いため、公園内には常にそれなりの数のヒトイヌがいることが望ましい。
 しかしヒトイヌになりたがる会員は、常駐しているわけではなかった。それぞれに生活があるのだから当然だ。
 そこで、いわゆるサクラの一種として導入されているのが『野良のヒトイヌ』である。
 主人を持たず、出会った会員が好きに触れて良いヒトイヌ。見学希望の会員がヒトイヌとの触れあいを楽しむための存在である。
 従業員として、自発的に『野良のヒトイヌ』となっている者もいるが、ヒトイヌになるということに抵抗のない者は少ない。
 そこで行われているのが、薬によって休眠状態にした被験者を、寝ている間ヒトイヌに仕立て上げてしまう試みだった。意識がない者の身体を自在に動かすというのは、難しいことではあったが、それを可能にする技術力がこの施設にはあった。
 これにより、そういったプレイの素養が無い者も『野良のヒトイヌ』として動員できるようになっていた。『野良のヒトイヌ』の存在が呼び水となって、見学希望のみの会員も増えたし、『自分もやってみよう』と思えて体験に踏み切る者も増えた。
 常に一定数の『野良のヒトイヌ』を確保するのは様々な困難の伴うことであったが、その甲斐はあるのだ。
 そして今日、新しい『野良のヒトイヌ』が公園内に放たれた。


 新しい被検体の彼女をヒトイヌに仕立て上げる作業を終えた男性職員は、パソコンの画面を見つめていた。そこに、両手にコーヒーを持ったスタッフがやってくる。
「お疲れ様です。コーヒーが入りましたよ」
「おお、ありがとう」
 軽く礼を言いながら受け取る男性職員。コーヒーをすすりつつも、その目は画面から離さなかった。スタッフがその画面を覗き込む。
「……さっきの子ですか? なんだか、危なっかしいですね」
 パソコンの画面には芝生の上を歩く黒いヒトイヌが映っている。当然四つん這いで歩いているのだが、ぎこちない動きだった。
「そうだな。もう少し馴染めばぎこちなさも消えるはずなんだが……それまでは眼を離さない方がよさそうでな」
「……おや、このままだと別のヒトイヌと接触しそうですよ」
 俯瞰した映像で、歩いて行く野良のヒトイヌの進行方向から、別のヒトイヌが歩いて来ているのが見えた。そちらは比較的軽快な足取りで移動している。
「むぅ。馴染んでないうちから他と接触させるのは避けるべきだが……」
「でも、こっちのは野良じゃ無くて会員ですね。……あ、会員の方が気づいて近付いちゃってますよ」
「……念のため、いつでも手動に切り替えられるように見ておくか」
 遠隔操作もできなくは無いが、可能な限りやらないのが施設の方針だった。無論、安全などに支障が出る場合はその限りではないが。
 ふたりが見守る中、野良のヒトイヌと、会員のヒトイヌが接触しようとしていた。

つづく

夢犬 4

 再度仰向けに被験者の彼女を寝かせ、いよいよ本命の拘束に取りかかる。
 彼女の四肢を曲げさせ、膝と肘のあたりにクッションがついた革の袋を被せ、折り曲げた状態で手足を固定する。袋の口はベルトで絞められるようになっていた。そのベルトを締め、背中側に伸びたベルト同士を連結してしまえば、特殊な工具を用いない限りそれは取り外せなくなる。
 手足が伸ばせず、半分になってしまった彼女は、のびたカエルのようなあられも無い格好で作業台の上で身体を開いていた。彼女の大きめの乳房はラバーにぴっちりと覆われており、それが良い具合に緊張を保っているのか、重力に逆らってその柔らかそうなお椀型の形を保っていた。彼女の呼吸に伴って揺れるため、思わず触りたくなる動きを見せている。
 そして、最後の仕上げに頭全体を覆うラバーマスクが用意された。それは革で出来た無骨なフォルムをしており、眼にあたる部分はメッシュ加工されていて一応見えるようになっているものの、相当視界に制限が加わることは想像に難くない。頭の部分には三角形の犬耳のような形の飾りのようなものがあり、大まかなフォルムだけをみれば犬のように見えるだろう。口元を覆うマスクの部分は外から見れば犬の上あごと下あごのように見える。少し前方に向けて張り出しており、フォルムを犬に近付けてあった。
 マスクには下顎と上顎に分かれるギミックが施されていて、下顎の方には舌を抑えるように突起が内側に向けて突き出していた。
「口を開いてくれ」
 男性職員がそうスタッフに指示を出し、彼女の口を開かせる。そこにマスクの下顎部分をはめ込むようにしながら、全頭マスクを彼女に被せた。マスクの縁に当たる部分はきっちり首輪と接するように収まり、肌の見えている部分はマスクの口部分を開いた時に見える頬の辺りだけとなった。
 全身を黒いラバーに覆われた、ヒトイヌがそこに完成した。
 だがそこに動こうという意思はなく、ただ寝ているだけだ。この形を作るだけなら、ただのマネキンか人形でも用意すればいい。その方がコストもかからないだろう。
 それをわざわざ本物の女性を半ば騙して連れてきて、この衣装を着せたのには、本物の人間がその中に入っているという条件が必要だからだ。
 スタッフたちが見守る中、男性職員が部屋の隅に置かれたパソコンを操作する。
 その操作に伴い、それまでずっと為すがままになっていた彼女がぴくりと動いた。まるで浜に打ち上げられた魚のように、身体が小さく跳ねる。とはいえ、四肢が拘束されている現状、それ以上の動きは無い。
 だが、その動きが見られれば十分なようだった。男性職員はその結果に満足したかのように頷き、スタッフたちに次の指示を出す。
「……よし、四つん這いにしてやってくれ」
 スタッフたちが総出で彼女の身体を持ち上げ、仰向けの状態から俯せに、そして、肘と膝で身体を支える四つん這いの体勢に持って行く。
 すると、いままで脱力してされるがままだった彼女が、四つん這いでバランスを取って倒れないように動いた。スタッフたちがゆっくり手を離すと、彼女は少しふらつきつつも、四つん這いのまま止まる。
 だが彼女が眼を覚ました様子はない。脱力した口元は開いたままで、そこからどろりとした唾液が零れ落ちるが、気にした様子もなく、垂れ流している。
「おっと、口を閉めさせるのを忘れてたか」
 男性職員がそう言ってパソコンを操作すると、彼女の口がマスクごと閉められた。マスクは彼女の下あごの動きに連動して動くようになっており、彼女が口を開けようとすれば開くし、閉めようとすれば同様に閉まる。
 実は全頭マスクの犬耳の部分には、人間の脳の代わりに運動神経に指令を出すことの出来る装置が取り付けられていた。薬の影響にある者にしか利かないが、本人が昏睡状態で意思がないままでも、自在に身体を動かすことが出来るのだ。
 この技術を用いて、この施設では意識のない被験者をヒトイヌという存在に仕立てあげていた。

つづく

夢犬 3


 スタッフたちが用意した道具には、様々なものがあった。
 大型犬用と思われる無骨な首輪、全身を覆う黒いラバースーツ、柔らかなクッションが内側にあてがわれた肘当てと膝当て、ふさふさした尻尾飾りがついたアナルプラグ、薄い金属で作られた貞操帯、さらに多数のベルト、さらに目隠しと開口具。
 人を拘束するために作られた道具がずらりと並ぶ。
 その中から、男性職員はラバースーツを手に取った。同時にスタッフたちはゴム手袋を身につけ、どろりとした粘性のある液体を被験者の女性の身体にすり込んでいく。液体によって白い裸身がてらてらと光り、煽情的な光景になっていた。スタッフたちは黙々と作業を続ける。腕や足だけでなく、お腹、背中、股間、胸の間など、スタッフたちは丹念に液体を塗り込んでいった。もし女性に意識があれば凄まじい羞恥に晒されていただろうが、穏やかに眠る彼女は何の反応も見せない。
 スタッフが女性の全身に液体をすり込んでいる間、男性職員は女性の髪をまとめ、邪魔にならないように水泳のキャップのようなものを被せる。あごの下、耳たぶ、額、瞼などには細かい毛をしたハケを使って身体に塗っているのと同じ液体を丁寧に塗っていく。
「終わりました」
「よし、じゃあ着せていこう」
 スタッフの言葉を受け、男性職員が指示を出し、ラバースーツの中に女性の身体を収めて行く。ラバーの抵抗はあったが、塗り込んだ液体が潤滑油の役割を果たして、さほど苦労することなく女性の身体はラバースーツに覆われた。背中側のジッパーをうなじの下まで引き上げると、彼女の身体にぴっちりとラバーが吸い付き、その身体のラインを露わにしている。そのラバースーツの手の部分は少し特殊な形状をしていて、丸めた拳をそのまま収めるような形状になっていた。このスーツを着せられた人間は、手先を用いた作業が出来ないようにされているのだ。
 スタッフたちはスーツに緩みがないように、彼女の身体を掌で擦り、スーツを身体に馴染ませる。そうこうしている間に、スーツがぴちぴちという音を立てながら、彼女の身体にさらにフィットしていった。
「それにしても、すごい技術っすよねこれ……」
 若いスタッフが呟くのに、同意するように他のスタッフも頷く。
「体温によって伸縮するっていう理屈はわかるけど、サイズ合わせ不要ってんだからな」
「一体一体オーダーメイドで作るよりは安いんだろうけどなー」
「どんな素材を使えばそんなもんが出来るんだか……」
 ラバースーツが彼女のサイズに馴染む頃、彼らは次の作業に映った。
 首輪を彼女の首に巻き付け、しっかりと固定する。首輪は一見普通の犬の首輪のように見えたが、ラバースーツと一体化するような構造になっており、首輪を外さない限りラバースーツは脱げないようになった。
 そもそも彼女自身が脱ごうとしても手が使えないため、脱げないのだが。
 ラバースーツにほぼ全身を覆われた彼女だったが、ラバースーツには顔以外にも覆っていない箇所があった。スタッフたちが仰向けに寝ている彼女を俯せにひっくり返し、膝を立てさせてお尻を突き出させると、その穴が明らかになった。彼女の肛門がある位置に、絶妙な穴が空いていたのだ。ラバースーツはぴっちりと彼女の身体を覆っているため、肛門だけが露わになっており、かなり卑猥な状態である。
 その肛門に、スタッフのひとりが先ほどの液体をまぶした指先を突き入れる。液体のぬめりに加え、意識のない彼女のそこには力が入っておらず、あっさりと指を中に受け入れた。受け入れる瞬間は反射的に緊張しかけたが、すぐに力が抜ける。
 そこを軽く解すようにスタッフの指が動く。液体を馴染ませつつ、確認も兼ねていた。
「うん、大丈夫そうだな」
 その場所に大便が溜まっていないことを確認したのち、尻尾飾り付きのアナルプラグを手に取る。プラグにも液体を馴染ませた後、こともなげに肛門にそれを差し入れた。ぬぷり、とその穴を埋めてしまう。そして、尻尾飾りの根元を捻ると、仕掛けが動く音がして、手を離してもプラグが抜けなくなった。体内でプラグが膨らみ、括約筋を挟む込むようにして抜けなくなったのだ。スタッフが離れると、突き出されたお尻から飛び出した尻尾飾りがぴくりと動く。誰も触れていないのに動いているのは、プラグに仕掛けがある。括約筋でプラグを締め付けると、その強弱によって尻尾飾りが動くようになっているのだ。自分の意思でこのプラグを身につけている者の中には、尻尾で感情表現が出来るほどに細かく動かせるという。
 意識のない彼女ではそこまで細かい動きはできないだろうが、左右に揺れるだけでも十分だった。
 さらに、その尻尾を通すことの出来る、穴の空いた貞操帯が装着された。尻尾飾りは通すが、プラグの部分は通れない程度の穴しか開いていないため、貞操帯を外さなければそれを取り外すこともできなくなった。
 そしていよいよ、作業は佳境に入っていく。

続く
 

夢犬 2

 薬を投与して数十分後、被験者の彼女はベッドに寝転んで微睡み始めた。
 彼女の身体には検査用にデータを取るための脳波などの検知器が取り付けられている。その数値が徐々に彼女の意識が深く沈んでいくことを示していた。
 やがて完全に彼女が昏睡状態に陥った頃、部屋の扉を開け、女性スタッフたちが入室する。念のため、彼女が起きないことを改めて直接確認した後、スタッフたちは彼女から検知器を外し、院内着を手早く脱がし始めた。下着姿にされたかと思えば、そのままその下着も脱がされ、まとめて丁重に籠にしまわれる。
 素裸にされた彼女は起きる気配もなく、すやすやと眠り続けていた。そこに女性スタッフが大きなスーツケースを持ってくる。大きめのキャスターのついたそのケースの蓋が床の上で開かれると、その中は空っぽだった。
 女性スタッフたちが協力し、彼女を抱え上げ、スーツケースの中にその身体を収めていく。窮屈な体勢ではあったが、ケースの中に彼女がきっちり収まった。静かな寝息を立てていて、起きる気配は全くない。
 髪や身体を挟まないように注意されつつ、スーツケースの蓋が閉められる。かすかな抵抗感を伴いつつも、蓋はしっかり閉められた。
 ふたりがかりでスーツケースを起こし、キャスターで転がして移動が始まる。
 こうして、被験者の彼女は本人も知らぬまま、病院を連れ出されたのだった。


 とある施設の一室に、スーツケースが運び込まれる。
「お疲れ様ですー。素体、到着しましたー」
 女性スタッフがそう呼びかけると、部屋の隅で道具を弄っていた男性職員が立ち上がる。
「おー。待ってたぞ、ご苦労さん」
「一応素体のデータはこちらです。簡単に眼を通しておいてくださいね」
「オッケー。あとはこっちで処理しとくから」
 スーツケースと資料を受け取り、男性職員は軽く資料に眼を通す。お目当ては身体的特徴の欄だ。持病や肉体的な不調が無いかの確認が目的だった。それによると、彼女は身体的に健康であり、肉体的にも一般女性程度の柔軟性、筋肉量を有しているようだった。身体的な各種サイズにも眼を通す。
「Dカップか……まあほどよく大きくていい感じかな」
 身体的な情報の確認ついでに、年齢や所属などの個人情報やバイトの志望動機の欄にも眼を通す。
「ふむ……大学生か。金に困っているという風じゃないし、わざわざこんな怪しげなバイトに来なくてもなぁ……まあ、こういうのが来てくれるからうちは助かってるわけだが」
 独りごちながら、男性職員は資料を机の上に放り出し、内線を使って他のスタッフを呼び出す。ほどなくして数人のスタッフが部屋に入ってきた。
「よし、さっそく始めるぞ。手伝ってくれ」
 そういって男性職員はスーツケースをスタッフと協力して持ち上げ、部屋の中央にある作業台の上で蓋を開いた。薬の影響で穏やかに眠り続ける被験者の裸の女性が晒される。
 スーツケースの中から女性が引き出され、作業台の上に寝かされる。作業服に身を包んだ男性たちに裸で眠る女性が囲まれている。完全に事案ものの光景だが、彼らに必要以上に下卑た表情を浮かべたものはいなかった。
「結構良い身体してるッスね。ちょっとぽっちゃりしてるけど」
「馬鹿野郎。これくらいがいいんだろうが。最近のガリガリしたモデル体型は好かん」
「胸と尻がデカいから、仕上がった後の見た目はよくなりそうですね」
「顔はまあ人並みだが、どうせ見えなくなるしなぁ」
 普通は同性か特別な者にしか見せないであろう素裸を、見ず知らずの異性に無遠慮に評価されているとも知らず、被験者の彼女はすやすやと眠り続ける。
 好き勝手に騒ぐ男性スタッフたちに対し、男性職員はぽんぽんと手を打って注目を引く。
「ほいほい、無駄口を叩くなー。万が一眼が覚めたら面倒だ。さっさと済ませちまうぞ」
 その男性職員の指示に従い、スタッフたちは一斉に作業に取りかかり始めた。

つづく

夢犬 1

 『寝ているだけで日給3万円!』
 そんな勧誘広告が家のポストに入っていたとして、あなたならどうするだろうか。
 私は詐欺を疑いつつも、その魅力に抗うことが出来ず、募集先に連絡を取ってみた。そして、色々と電話面談と書類選考を経た上で、私はとある病院にやってきていた。
 仕事内容はいわゆる治験、というものらしい。割のいいバイトとして、大学の友達にも受けている人がいるらしいし、最初の勧誘広告で抱いた怪しさに比べ、割としっかりとしたバイトではあるみたいだった。
「いらっしゃい。鈴木さんですね。それでは本日服用していただく薬についてですがーー」
 女性の医者が色々丁寧に説明してくれたけど、正直ちんぷんかんぷんで、半ば以上聞き流していた。
「服用すると強い眠気を感じてほとんど起きていられないと思います。部屋のベッドに寝転がっていてくれればそれでいいので」
「はあ……わかりました」
「時折検査のために部屋に人が入りますが、すべて女性スタッフですのでご安心ください」
 前後不覚になっているところを襲われでもしたら大変なので、その配慮は当然だろう。
「何かご質問はありますか?」
「いえ、特には……あ、そうだ。明日の夜までの予定ですけど、食事とかお風呂とかは?」
「必要があれば内線を使って申請してください。おそらくほぼ寝て過ごすことになりますので、必要にならないと思いますが。最低限の水分や栄養補給は点滴で行いまうのでご心配なく」
 本当にそれで大丈夫なのか、ちょっと不安に思わなくもなかったけど、困ってからでいいかと納得した。
 そして部屋に案内されて渡された院内着に着換え、薬を飲み、ベッドの上で眠気を感じたかと思ったらーー
「お疲れ様でした。今回の実験は終わりです」
 ベッドの上で眼が覚めてそう医者に宣言された。
「……え? もう終わりですか?」
「はい。ばっちりデータも取れましたので」
「……何も覚えてないんですけど」
「そういう薬で、そういう実験ですから問題ありません」
「……そうですか」
 問題ないのだろうか。そうなのだろうか。
 不思議には思ったけど、無事終わったのならそれでいいかと割り切った。二日間寝ていただけで6万円ももらえるのだから、ありがたいといえばとてもありがたい。
「ところで、もし鈴木さんがよろしければ、今後も定期的に実験を受けるつもりはありませんか?」
「……一回だけの募集だったんじゃ?」
「はい。普通はそうですが、鈴木さんは体質的にこの実験に向いているようですので、出来れば今後も定期的に受けていただきたいのです。無理はいいませんが、継続となればそれなりに日給の増額も……」
「……! やります!」
 正直、怪しいんじゃないかという気がしないではなかった。
 けど、こんなたやすいことで何万も稼いでいけるのなら、思わず食いつくのも仕方ないと思う。
 女医さんは笑顔を浮かべると、継続するための手続きの話を進めてくれた。
「そういえば……聞き忘れていましたが、身体に違和感はありませんか?」
「身体に……? いえ、特には……あの、何かあるんですか?」
 言われて身体を触ってみるけど、特に痛みがあるとか、だるいとかそういうことはない。ずっと寝ていたら普通はどこか痛んだりするものだけど、そういうこともない。
「最初にご説明したとおり、今回の実験では長時間寝たきりでも問題が無いことが目的のひとつですので。実験の成果を確認しただけですよ?」
 そういえばそんなこともいっていたような。
 あまり下手なことを言って今後のバイトを首になっても嫌だし、黙っていた方がよさそうだ。そう考えて私はそれ以上の追求を止めた。
 もし私がここでもっと疑問を持って色々聞いていたら……あんな結末にはならなかったのかもしれない。

続く

ずっと放置してましたが

また使い始めたいと思います。
とりあえずは広告消しのための投稿。
その後は作品を毎日ちまちま更新するか、作業報告をしていきたいと思います。
[ 2018/03/03 00:04 ] 連絡 | TB(0) | CM(0)
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