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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

箱詰倶楽部の出張業 前編

 箱詰倶楽部には出張箱詰めサービスが存在する。
 これは元々は箱詰倶楽部の建物に入るところを万が一にも人に目撃されたくない、秘匿型ユーザーを想定して用意されたサービスだった。会員の自宅まで箱詰倶楽部の従業員がトラックで訪れ、会員をその場で梱包し、箱詰倶楽部本社に運ぶ。しばらく箱詰めを堪能してもらったあと、再度会員の自宅まで箱詰めした状態で運ぶ。そうすることで、趣味のことを誰にも知られることなく、箱詰めプレイを堪能してもらうことができるわけだ。
 そんなサービスを用意したところで、利益が生まれるほどに需要があるのかと、箱詰倶楽部の受付嬢の真藤馬しずなは疑問を浮かべていたが、実際にサービスを開始してみればほぼ毎日申込みがあり、週末などは人気がありすぎて申し込みを制限しなければならないほどに大人気のサービスとなっていた。
 本来のターゲットである秘匿型ユーザーだけでなく、単純に箱詰めされた状態で輸送されたいという会員が多かったのが、その原因だ。
 特に箱詰めが趣味ではないしずなにとっては、不思議な現象だったが、社長は「大丈夫だったでしょう」と言わんばかりのドヤ顔を浮かべていた。そのあまりに露骨なドヤ顔に、しずなが絶対零度の視線を向けて、社長が涙目になったのはサービスを開始してしばらく経った頃のこぼれ話。
 今日も順調に、箱詰め倶楽部の元には出張箱詰めサービスの申し込みがあった。
 しかし、ある日の申し込み内容に、しずなは困惑して社長を呼ばざるを得なくなった。


「十人同時?」
 さすがの社長も驚きだったのか、目を真ん丸にしていた。
 しずなは保留にしている電話をちらりと見て、社長に向かって頷いた。
「はい。申し込みをしてきているのは箱詰倶楽部の会員ですので、悪戯の可能性はありません」
 箱詰倶楽部は、その特性上、極めて厳格な審査と厳しい検査が義務付けられており、どういう事情であれ、もしもトラブルの種を持ち込むようなことをすれば強制退会は免れない。そして箱詰倶楽部の会員になるような性癖の持ち主にとって、箱詰倶楽部からの追放は致命的な損失になりうる。
 だから、その会員が悪戯でそのようなことを言っているわけではないということは確かだった。
「……規模が規模ですので。可能かどうかの判断も含め、私の手には余ります」
 しずなは自分の権限をよく把握している。今回のような特殊例に関しては社長に話を振るのが一番確実であるとわかっているのだ。
 社長はその判断を理解し、深く頷いた。
「オッケー。わかった。私が直接話すわね」
 そういった社長はさっそく受話器を取って話し始める。普段社長はちゃらんぽらんな言動のため、生真面目なしずなや、専属医の雷麗寺ひなには叱られることも多い。
「お待たせして大変申し訳ありません。お申込みありがとうございます。箱詰倶楽部代表の……」
 しかし、一企業の代表なだけはあり、真面目な応答をすると絵になる。
 しずなはなるべく会話を聞かないように、そっとその場を離れて別の事務作業を始めた。作業をしながら社長が話している声の調子を見て、その申し込みを受けようとしている気配を感じた。
(こんな特殊性癖の人がよく10人も集まったなぁ。交友関係が広いとかは関係ないと思うけど……まあ、私には関係ないか)
 10人同時箱詰めに必要と思われる書類を準備しながら、しずなはそう考えた。

 しかし、それは決して他人事では済まなくなったのだ。

 話が終わったのか、受話器をおきながら社長がブイサインをしずなに向ける。
「オッケーよ! 問題ないわ! 手続きを進めてくれる?」
 社長が最低限の項目を埋めた申込用紙をしずなに手渡す。
 それに目を通し、人数の欄に確かに「10人」と書いてあるのを確認した。
「はい、わかりました。……よく同好の士が10人も集まりましたね」
 単純な感嘆の意味を込めていったしずなだったが、社長は少し眉を曲げ、きまずそうに両手の指を合わせた。もじもじ、という言葉が聞こえてきそうな素振りだ。
「えーと、それなんだけどね?」
 その社長の声を聞いた瞬間、嫌な予感を感じたしずなは、盛大に顔をしかめた。
 先手を打ってしずなが口を開く。
「やりませんよ?」
「まだ何もいってないんだけど!?」
 思わず反射的に返した社長の反応で大体察したのか、しずなはため息を吐く。
「はぁ…………なるほど、そういうことですか」
 ずばり、しずなは口にする。
「エキストラとして、社員の何人かを一緒に箱詰めするんですね?」
「もー! しずなちゃんは何も言わなくても全部わかってくれるから好き! だからお願い!」
 拝み倒す勢いで頭を下げる社長に対し、しずなはそっけなく一言だけ返す。
「嫌です」
 冷徹に応じ、社長に背を向けて素知らぬ顔で事務作業をしながらも、彼女は自分が結局押しきられてしまうであろうことを予感していた。




 社長の必死の懇願と多額のボーナスによって説得されたしずなは、結局十人同時箱詰め輸送プレイに参加することになった。
 打ち合わせと書類作成もかね、しずなはその日朝から社長室で社長と相談をしていた。
「提案者を含めて、お客様は何人いるんですか?」
「えーとね。6人だそうよ。うちからはしずなちゃんとちぃちゃんが決定してるわ」
「……チカさんにはちゃんと承諾を取ったんですか?」
 千城野チカは、小柄な体を活かした箱詰倶楽部のテスターである。
 こういう時には真っ先に名前が挙がる人物だ。
「試験のひとつってことにするから、問題ないわ。受けてくれるでしょう」
 テスターとして所属している以上、確かに彼女はめったなことでなければ断ることができない。
 それは理解しているものの、気の毒に思うしずなはきちんと社長に向かっていう。
「一応ちゃんと確認してあげてくださいね……」
「りょーかい」
「あと二人はどうするのですか?」
 客が六人で、倶楽部から二人では十人箱詰めにまだ二人ほど足りていない。
 それなんだけど、と社長は悩んでいるようだった。
「技技名はみんなを詰めてもらわないとだめだから無理だし、ひなちゃんも考えたんだけど、今回は初めてのプレイだから医療スタッフとして待機していてもらわないといけないし、私も責任者として詰められるわけにいかないし、で難航してるのよねぇ……いっそ会員から希望者を募ることも考えたんだけど、はたして当日までに集まるかどうか……今回の六人も結構前から予定を調整して日時を決めたみたいだし、難しいのよねぇ」
「……なるほど」
 しずなは唸った。
「常駐スタッフの方で候補に挙がる人はいないのですか? 『オーソドックス箱詰め』コースの間木和さんや『物品』コース専門の風矢薙さんは興味を持ちそうですが」
 そのしずなのあげた二人は、箱詰倶楽部の従業員でありながら、同時に箱詰倶楽部の会員でもある二人だった。彼女らは仕事が休みの日はいつも、従業員特典で好きな箱詰めコースを堪能している。
 社長は深々とため息を吐く。
「それが、その日は体験入会の子や常連さんがくる日だから……二人とも手が空いてないの。」
「……タイミングが悪いですね」
「そーなのよねー。よりによってそういう予定が重なるなんて……予定が空いているのは牧上さんくらいなんだけど、さすがに牧上さんは……」
「牧上さんは年齢的に体の負担のかかるプレイは無理でしょう」
「あ、うん。まあ、そうね」
 熟練の緊縛師である牧上は初老の男性であり、そういう意味でも無理なのであった。
 二人して頭を悩ませる。どうしても十人揃いそうにない。
「……それならば、いっそこういう手段はいかがでしょうか」
 しずなが持ちかけた起死回生の提案を、社長はもろ手を打って歓迎した。


 引っ越しに使用するようなトラックが、箱詰倶楽部の地下駐車場に停まっていた。
 トラックには蓋が開いた箱のイラストに、抽象化された「人」の文字が重なっているようなマークが描かれていたが、特にどこの会社のものかはわからないようになっていた。もちろん、箱詰倶楽部の会員には、そのマークをつけたトラックが箱詰倶楽部のものであることがすぐわかる。
 そのトラックの周りにかつてない規模の人員が集まっていた。社長が指揮を取って作業を進める。
「じゃあ、改めて本日の流れを説明するわね」
 その場にはいつもの出張箱詰めサービスのメンバーである運転手の男性二人の他に、
技術班班長の技技名や倶楽部専属女医のひな、テスターのチカや受付嬢のしずななど、箱詰倶楽部の中でもそれぞれ特別な立ち位置を築いている者が揃っていた。
「まずはここでエキストラとして参加するしずなちゃんとちぃちゃんを箱に詰めて、協力してくれる会員のルカさんを特別な箱に詰め直すわ。そのルカさんは……」
「もうここにつれてきてるよ!」
 技技名が足下におかれたスーツケースを軽くなでる。その中にルカが入っているのは確実だった。かなり小さめの箱で、その中に人間が入っているのだとすれば相当詰められていることは間違いない。
「睡眠ガスは注入済みで、これに詰める前に目隠しとかはしておいたから! プライバシーも守られると思うよ! 途中で起きちゃっても大丈夫だし!」
「そう。ありがとう技技名。人数の問題も無事解決できてよかったわー。しずなちゃんの提案のおかげね」
 社長はしずなに笑いかける。
 当日、他の箱詰めプレイをしている会員に、十人箱詰めプレイにも参加してもらうという提案は、しずなから出たものだった。同じ日にプレイをしている会員ならば、うまく誘えば参加してもらえる可能性が高いであろうという予測で提案されたことだったが、その提案はうまく行き、ルカという会員を確保することに繋がった。
 しかし、提案が採用された形になるしずなは決して喜んではいなかった。
「……確かに、私が提案したことですけど、本当によかったのですか? いくらパートナーのアキラさんに了解は取ったとはいえ……本人が知らない間に別のプレイに参加していただくなんて……」
 しずなそう問いかけたが、社長は笑顔で頷いた。
「大丈夫! ちゃんと記録も残しておく予定だから!」
 それでなにが大丈夫なのか、としずなが社長をみていたが、社長はそっと目をそらした。
 そう、実は今回ルカ本人は箱詰めプレイの途中で別の箱に詰め直されて運ばれるということを知らなかった。ルカは箱詰倶楽部の会員の中で、独り身ではなく男性のパートナーがいるタイプの会員だ。そのため、そちらのパートナーとだけ話が通っており、ルカ本人にはこのプレイの話は通っていない。
 もちろん、視界などは制限されているため、本人の感覚的にはずっと箱詰めにされている感覚と変わらないだろうが、それでも現実に勝手に移動させてしまうのは問題になるかもしれない。
 まじめなしずなはそう考えていたが、社長は大丈夫だと言っていた。確かにたまにそういったことをしないわけではないので、問題ないという社長の想定も間違いではない。
「えっと、それでね。三人をトラックに積んだら、まずはもう一人の協力者を迎えにいきます。それで一番下の段が完成するから、あとは今回のメインである六人をそれぞれその上に積んでいくだけね」
 今回、十人箱詰めということで、複数を詰めるということを生かすために箱詰めされた九人を三列三段に積むことになっていた。
「いやー! いろいろ大変だったよ! 強度と機能の両立が難しいのなんのって! 最終的にいくつかの機能はあきらめざるを得なかったし!」
 残念そうに呟く技技名だったが、しずなはそんな彼女にあきれているような視線を向ける。
「あなたの技術力は十分なものでしょう。悔しがる必要はないと思いますが」
「しずな慰めてくれてるのかい?」
 嬉しそうな笑顔で、技技名がしずなに問いかける。しずなはあくまでクールに「事実を述べているだけです」と素っ気なかったが、技技名にはそれで十分だったようだ。
 社長がそんな二人を苦笑しながら制する。
「はいはい。じゃれあいは仕事が終わってからにしてちょうだい。それでね、十人全員詰めたら、そのあとはいちど箱詰倶楽部に運んで、外からは見えない位置のエントランスに全員を積み上げ直します。この際だから倶楽部のPVも一緒に取っちゃうことにしたから! 公式サイトの壁紙にも使いたいし……」
「……それ、承諾は取れてるんですか?」
「うん! 依頼者と協力者には快く受け入れてもらえたよ!」
 じろり、としずながジト目を社長に向ける。
「私は聞いていませんが?」
「……あれ? い、言ってなかった?」
「はい」
 焦った表情を浮かべる社長に、絶対零度の視線を向けるしずな。
「しゃ、社長さん……私も聞いてないですよ……?」
 テスターの千城野チカが、社長に対して呆れたような視線を向けている。
「ご、ごめん! だ、ダメかな……?」
「……私だけ断るわけにもいかないでしょう。ですが、倶楽部の外に流出しないようにしてくださいよ」
「私も、別にいいんですけど……先に言っておいて欲しいです」
 二人の職員から責められて、社長は小さくなった。
 そんな社長に取って助け舟になったのは、意外なことに専属医のひなだった。
「とりあえず、早めに準備しないと時間が来ちゃうから、社長への追及はまた今度にしてあげてもらえますか?」
「ひなちゃん!」
「ああ、もちろん移動中は私からお話しますからね」
「……ひ、ひなちゃ~んっ」
 ひながそういうなら、としずなとチカは大人しく従った。
 社長は若干涙目になりつつ、まずは、と社長はルカが入っているスーツケースに触れる。
「じゃあ、さっそくルカちゃんから詰めていきましょう」
「オッケー! トラックの中に運び込むよー」
 技技名がスーツケースを持ちあげ、箱詰倶楽部のトラックの中に運びこむ。
 いよいよ、十人箱詰めという倶楽部初めての試みが始まろうとしていた。


後編に続く
中編に続く

新しいジャンルのブログを展開しました!

今日から新しいジャンルを扱うブログを
4つ展開することにしました!




 『夕刻限界』 (時間制御系)
 『極夜天蓋』 (催眠・改変系)
 『東雲水域』 (性転換・交換系)
 『星霜雪形』 (状態変化系)



これからしばらくの間、この四つのブログを毎日更新していきます!
更新時間は以下の通りです。

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星霜雪形:状態・変化系 17:00

他の三つのブログのジャンルも随時更新していきますので、
七つのブログをこれからもよろしくお願いいたします!
[ 2015/04/01 00:00 ] 連絡 | TB(0) | CM(0)
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