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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 1

 ヒトイヌ公園――本格的なヒトイヌ拘束を気軽に、そして大胆に体験できてしまうその施設。
 密かな愛好家が全国から通い詰め、時にサクラとしての野良のヒトイヌも放たれているこの公園。見学者として入場することもできるが、ヒトイヌを連れて、もしくは自身がヒトイヌとなって入ることで利用料が格安となるため、大抵の利用者はパートナーを連れて来るか、個人でヒトイヌを楽しみにくることがほとんどだ。
 そんな施設で働いている私は、現在とある珍しい利用者の受付をしているのだが、とても困ったことになっていた。
 その利用者は二人組だった。二人組の利用者は大して珍しいことではない。
 珍しいのは。
「前回は私がヒトイヌになったんだから、今回は女島さんがヒトイヌになるべきよ」
「この前のレポート提出を手伝ってあげたんだから今回は美雲っちがなって欲しい」
 その利用者がふたりとも女性で。

 そのどちらもが『相手をヒトイヌにして愛でたい』と思っていることだった。

 女島さん、と呼ばれた女性は栗色のショートカットが特徴的で、そのしなやかな肢体は新体操か何かをやっていたことを思わせる躍動的かつ健康的な身体だった。
 美雲っち、と呼ばれた女性は黒色のふわふわした癖っ毛が特徴的で、小動物チックな小柄な体型で頭のてっぺんが相方の肩までしか届かないほどの差がある。
 客観的に見れば、美雲という女性の方が体格もあって犬っぽい感じはするが、一方で女島という女性の方も中々いいヒトイヌになりそうだという印象がある。
 ちなみに女性二人の組み合わせの利用者は案外少なく目立つため、利用者や従業員の間では結構注目されている二人だったりする。
 こんな施設に二人連れだってやって来る時点で、相当以上に仲の良いふたりではあるのだが、どちらもパートナーをヒトイヌにして愛でたいという願望持ちであるというのが、二人の場合は大変問題のあることだった。
 実際どちらがヒトイヌになった場合でも、それぞれ絵になる姿ではある。
 ただ、この施設の利用回数や頻度から推測するに、そう気楽に来れる場所に住んでいるわけではないようで、その限られた来園回数のうち、どちらがヒトイヌになるかは非常に重要なことのようだった。
 いままでは交互になることで折り合いをつけていたようだが、今回は女島さんの方が譲らなかった。
「あのレポート、かなーり大変だったんだからね」
「うっ……て、手伝ってくれたのは感謝してるけど、それとこれとは別でしょう。最初に代わり番こに楽しむって決めたじゃない」
「……それは、そうだけど」
 じりじりと駆け引きが続いている。喧嘩というほどではないけど、どちらも譲る気はないようだった。
 受付を担当してる私としては、早めにどちらがヒトイヌになるか決めて欲しいものなのだけど。まあ、別に後ろに他の利用者が来ているわけでもないから、いいのだけど。施設的には良くないけど。
 なにぶん特殊な施設だから平日に利用者の受付が被ることは少ない。見学のみの人は別の受付があるし、こちらはあくまでヒトイヌになる人とそのパートナー対応の窓口なのだ。
 しかし、一応は受付であるのだから、その前で言い争い続けられるのも困る。
 その時、私の頭に天恵が降ってきた。
「……でしたら、お客様」
 私は二人に向け、ある提案をすることにした。
「どちらがご主人様となるか――ゲームで決着をつけてはいかがでしょうか?」
 興味を惹かれた様子で、ふたりの目がこちらを向く。
 私はふたりに向け、そのゲームの内容を説明する。

 題して、『ヒトイヌ拘束脱出ゲーム』。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 2

 この公園ではたびたび大規模な催し物を行っている。
 公園にはフリーのヒトイヌやご主人様希望の利用者が集まるが、常に大盛況というわけではないため、公園側で集まる機会を設けないとすれ違って会えない場合が多いからだ。
 イベントとして公園側が日時を区切ることによって、触れあいを求める利用者が集まりやすくなり、逆に触れあいを希望しない利用者はその日を避けることで気楽に楽しむことができる。実際、このイベントを通してパートナーを得たパターンは多い。
 今回私が女島さんと美雲さんに提案するゲームは、このイベントで実際に行われたもののひとつだ。ふたりはすでにパートナーがいる身だし、お互い以外に触れあう気がなかったようだから参加していなかったみたいだけど。
 私はふたりを支度室に連れて行き、準備を進めてもらいながら説明を始める。
「それではゲームの内容についてご説明させていただきます。簡単に申し上げますと、これからおふたりにはヒトイヌ拘束状態になっていただきます。その拘束からの脱出を、お相手より速く目指すのです」
 内容はいまだ明確でなくとも、勝負事だということであることは確かなためか、ふたりは真剣な表情で私の説明に耳を傾けている。
 服を脱ぎながら。
「拘束具はすべて鍵を用いて固定いたしますので、おふたりにやっていただくことはこの公園内からその鍵を見つけ出して拘束具を外す、ということになりますね」
 女島さんはその健康的な張りのある肌に、タンクトップ型の日焼けが残っているのを惜しげもなく晒す。運動するにはさぞ邪魔であろう大きさの双丘が揺れている。着やせするタイプ、というか、着ていたのがスポーツブラであったのが大きい。それから解放された女島さんの乳房は、重力に逆らって綺麗な形を維持していた。
「鍵は公園内のどこかに隠させていただきます。ヒトイヌ拘束の状態で取れないような場所には設置しませんのでご安心ください。拘束具の鍵はこのように……」
 私は一番わかりやすい首輪を取り出した。それを自分の首に巻き付けると、自動的に鍵が閉まる。この状態だと外せないことを軽く示してから、鍵を手に取る。それは一般的にいう鍵の形をしていたけど、それは首輪に触れさせるだけで首輪の鍵が外れて落ちた。空中で首輪をキャッチする。
「と、触れさせるだけで拘束具を外すことができます。落ちた拘束具は後ほど従業員が回収いたしますので、そのまま放置していただいて大丈夫です」
 美雲さんは小柄な体格に相応しくというべきか、なだらかな曲線を描く輪郭をしていた。女性らしくないというわけではなく、むしろ女性らしいのだが。こちらはまったく日焼けしておらず、人形のように白い肌が特徴的だった。日焼けしていないのも相成って華奢に見えるが、室内トレーニングはしっかり積んでいるのか、脆弱な様子はない。パートナーとの触れあいには体力がいるから、そのためかもしれない。
 つくづく、本気でお互いを愛し合いたいふたりなんだと実感した。
「ゲーム中、お二人にはこの犬耳を装着していただきますが、この犬耳には状況をお知らせするためのスピーカーが取り付けられています。そこから流れますアナウンスを参考に鍵を探してみてください」
「……なるほど、面白いじゃない」
「……絶対負けない」
「それと、敷地内には様々な形でお助けポイントがあります。そこで課される条件をクリアすればゲームに有利になりますので、挑戦してみてください」
 ただし、と私は釘を刺す。
「くれぐれもご無理はなさいませんように。人によっては嫌悪されるような条件もございます。仮にその場所での条件をクリアできなかったとしても、それが理由で即座にゲームに敗北するような致命的なことは起こりません。あくまでお助けですので、得られれば幸運程度にお考えください」
 こう言っておかないとパートナーとの対抗心のあまり、生理的に嫌悪するような条件にも挑んでしまいかねない。そのあたりは自己責任ではあるのだが、それでこの公園自体の印象が悪くなるようなことがあってはならない。
 一応この二人が対象ということで、生身の男性相手のお助けポイントは予め排除してあるが、念には念を押しておいた方が良い。
 ふたりが頷くのを確認してから、私は次の段階に移ることにした。
「それではこれからお二人にヒトイヌ拘束を施させていただきます。区別のため色は違いますが、全く同じ拘束ですので、有利不利はありません。ご安心ください」
 裸のふたりの前に、大量の拘束具が運び込まれてきた。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 3

 ふたりの前に用意された拘束具は、基本的なヒトイヌ拘束に必要な道具ばかりだった。
「まずはこちらのラバースーツを来ていただきます」
 首から下の全身を覆うラバースーツ。
 女島さんが青色、美雲さんが赤色のラバースーツを身につけていく。ふたりのサイズにぴったり合うように作られているため、背中にあるジッパーをしっかりうなじまで引き上げると、彼女たちそれぞれ特徴のある身体のラインをはっきりと浮かび上がらせる。股間には最初から穴が開いていて、一番大事な部分を隠せていないのだが、ここはあとで別の器具で塞ぐので問題なかった。
 このスーツは手の先端が丸く作られていて、拳を作った状態から動かせない。そのため、これ以降彼女たちは手先を使った作業ができなくなる。私はもうひとりの手伝いの女性職員と一緒に、ふたりの着付けを同時に手伝っていく。
 まずは両手・両足の拘束だ。
 普段はベルトなどを使って固定するけど、今回に関してはよりハイテクなものを用いることになる。
 手首と腕の付け根、足首と足の付け根に金属製の枷を取り付ける。四つん這いになってもらい、それぞれの枷が接するまで腕と足を曲げてもらった。するとそれらの枷はそれぞれ左右で吸い付き、女性の力ではとても外せない力で動かせなくなる。
 肘と膝にはその枷に繋がるような形でクッションを取り付け、手かせ足かせが外れれば自動的に外れる仕組みだ。これで枷が外れるまで、二人は強制的に四つん這いで動かざるを得なくなる。
 続いて取り付けるのは、顔の下半分を覆う開口具だった。マウスピースのように上下で分かれるようになっていて、物を多少は咥えることはできるけど、舌を抑えてしまうのでまともに喋ることはできない。犬の顎の形に近付くように多少出っ張っているため、多少がんばればゴムボールくらいなら咥えて運ぶことができるはずだ。
 続いて、髪の毛が邪魔にならないように、軽くまとめてヘアバンドで固定する。さらに容易なことでは外れないヘッドホンを耳に被せる。このヘッドホンには例の犬耳がつけられるようになっていて、ここから流れる実況音声が二人の行動の指針となる。本来の耳がヘッドホンで隠されたことにより、より二人の姿は犬に近付いた。
 だいぶ犬の姿に近付いてきた二人。二人は互いをヒトイヌにして愛でたいという趣味の持ち主だが、自分たちがヒトイヌになることに忌避感があるわけじゃない。
 そのため、徐々にヒトイヌに近付いていくにつれ、その呼吸が荒くなり、頬が赤くなっているのは明らかだった。本当は二人を同時に管理できるご主人様がいればいいのではないかとも思うが、二人がそれを求めていない以上、公園側からはプレイ環境を提供することだけに徹するべきだった。
 さて、ここまででも十分にきつい拘束だけど、いよいよ重要な部分の拘束に取りかかる。
 と、その前に。
「お二方、排便の方は済ませておいででしょうか?」
 そう問いかける。普通ペットプレイを行う場合、ヒトイヌになる方は予めそういったことを済ませてからくることが多い。二人も普段はそうしているはずだった。
 けれど、今回はお互い相手をヒトイヌにしようと考えていたはずで、その準備をしていない可能性がある。
 無論、事前に準備していなくても公園ではそういう処理もできるため、来てからやる人がいないわけではないのだけど。
 果たして今日の二人はというと、それぞれ気まずそうに首を横に振ったのだった。
「いかがいたしますか? 処理なしでも可能ではありますが……排泄していない場合、相応のリスクがございます」
 便が溜まっているところにヒトイヌ用の尻尾を挿入した場合、腹痛を起こしたり、催したりという弊害が起きることが考えられた。そのことはふたりには説明済みなため、どんなリスクかはふたりもよくわかっているはずだ。
「無論常時モニタリングはしておりますので、体調の悪化で危険と判断した場合はゲームを中止いたします。その場合は中止になった原因を作った方の負けということで……」
 二人はぶんぶんと首を横に振った。
「私どもの手で処理させていただいてもよろしいでしょうか?」
 その提案に、二人は少し躊躇いつつ、目と目を合わせてから揃って頷いた。目と目で会話できる辺り、張り合いはしても本当にこの二人は仲がよいのだと思う。
 ともあれ、承諾は得た。
「それではこれより浣腸を施させていただきます」
 そう言って私はふたりを連れてトイレへと移動する。
 実際のところ。
 私たちの手で処理をする必要は無く、拘束を始める前にトイレに行っておいてもらえばいいだけのことだった。それをあえて拘束してからの順序にしたのは、ふたりに第三者からの干渉に慣れてもらう、という密かな公園側の目論見があったりする。
 二人は利用者であり、二人の要望は最大限叶えるべきだ。けれど同時に、利用者自身もまた一種の客寄せ要素の一つである以上、できれば色々な人と交流してくれる方が公園側としてはありがたい。
 どうしてもダメそうなタイプもいるが、ふたりは慣れれば第三者との交流も可能になるのではないかと期待されている人材だった。
 そのため、決して強制的な誘導はしないが、徐々にそちらの方向になりうる誘導を行うことが公園側の方針として決まっているのだ。
 排泄処理を従業員を介して行うのも、その一環である。迂遠ではあるとは思うが、そういう細やかな企業方針でやっていけているようなものなので、従業員のひとりである私もそれに従って行動する。
 処理自体はあくまで事務的に、淡々とこなし、二人に必要以上の羞恥心を与えないようにしつつ、第三者の存在に慣れさせる。
 再び部屋に戻ってきて、お腹の中がすっきりした二人に用意したのは、巨大なギミック付きアナルバイブだった。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 4

 このヒトイヌ公園におけるアナルバイブの存在は大きい。
 ヒトイヌに扮するためには尻尾の存在が何より不可欠であるし、それはヒトイヌとなる者の意思によってある程度動かせるのが望ましいとされている。
 加えて、ヒトイヌ拘束によって不自由な状態でも、自由に動かせ、かつ快感を得ることできるその部分の存在は、とても重要なのだ。
 そのため、この公園独自に作られたアナルバイブには、様々な機能が搭載されている。
「今回お二人に着けていただくアナル尻尾バイブは、このゲームのために作られた特注品です。基本的な機能の他に、様々な補助機能が搭載されています」
 基本的な機能とは、挿入後容易に抜けなくするためのバルーン機能。
 本人が括約筋を締めたり緩めたりすることで、外側に取り付けられているふかふかな尻尾が左右に揺れたり、まっすぐ立ったり丸まったりする感情を表現する機能。
 そして、体内に潜り込んだ部分が伸縮したり、震動したりして快感を与える愛撫機能などだ。
 それらの基本機能以外にも、このアナル尻尾には機能が搭載されている。
「一つは、遠隔でバイブの愛撫パターンを変更できる機能です。これは後ほど膣内に挿入させていただくものにも搭載されています。……これがゲームにどう活かされるかは説明せずともおわかりでしょう」
 遠隔で操作できるということは、一緒に行動していない相手に対して影響を与えることができるということ。つまり、ゲームの中には相手の身につけているバイブを操作するものもあるのだ。それを用いて相手を快楽に浸してしまえば、勝利に大きく近付くことになる。
 逆にそれを防ぐための手段も用意されているが、それに関しての説明はゲームが開始されてからだった。
「もうひとつは……いえ、これは実際に用いられる時のお楽しみとしておきましょうか。少なくとも健康には配慮された作りになっておりますので、ご安心ください」
 もうひとつの機能の説明はこの場ではしないことにした。彼女たちがその機能を使うかどうかはわからない。ふたりの傾向からすると使わない可能性も高かったし。
 私はふたりのお尻にアナル尻尾を装着する。ふたりは敏感になっているそこに異物を挿入される感覚に、声を殺して身悶えていた。バルーン機能を使って身体の内側で膨らませると、もう尻尾は抜けなくなる。
 思わず強く締め付けたのか、二人の尻尾がまっすぐ立ちあがった。すでにヒトイヌの状態はほとんど完成していたけど、こうして尻尾をつけるといよいよ犬に見えてくるのだから、やはり尻尾は象徴的で重要だ。
 続いて手に取ったのは、金属製のブラジャーのような形をしたものだ。それをラバースーツの上から二人の胸に被せるように装着する。
「こちらのブラジャーの内側にはマッサージ用の震動パッドが仕込まれています。アナルバイブと同様、遠隔操作出来るようになっております」
 つまりゲームにおけるお邪魔用アイテムというわけだった。本当は素肌に直接着けた方が効果が高いのだけど、ゲームの性質上、ルート次第で外せるようになっていなければならない。
 上から着けるという形にすることで、『ラバースーツから解放されるためにはそれも外さなければならない』という形になることが重要でもあることだし。
 ふたりがこれまでこの公園でやって来たプレイで、ここまで厳重に拘束され、責め具を取り付けられたことはない。ふたりの顔に不安が滲み出すのを、私は見逃さなかった。
「それでは最後の器具を装着させていただきます」
 最後、と強調することでそれさえ我慢すればいいという気持ちにふたりを誘導する。もとより対抗心を燃やすあまりこうなっているようなものなので、こういえばふたりは相手よりも先に根をあげるわけにはいかないと奮起してくれる。
 最後の器具、つまりは膣に入れるバイブを取り出してきてふたりに示す。
「こちらのバイブにもこのゲーム特有の機能がございます。このように……」
 私はふたりに装着する予定のバイブの、彼女たちに挿入する側とは反対側の端同士をくっつける。すると、二つのバイブは繋がって双頭バイブのような形になった。片方の挿入部は太くなり、もう片方の挿入部は一定の太さを保つ。
「どちらが太くなるかは、ゲームの結果次第となります」
 これによって、ヒトイヌ状態のままでもどちらかが相手を犯す――否、責めることが可能になるのだ。
 ゲームの展開次第ではなかなか重要な意味を持ってくる機能である。
 挿入するためにふたりの膣の様子を探ってみると、これまでの拘束による影響か、ふたりともすっかり濡れていた。それぞれ相手を責めたいという意識はあるとはいえ、本質的にはマゾ寄りなのでは無いかと思う。
 それを潤滑油とするべく、バイブをそこに擦りつけるようにして刺激すると、さらに奥から愛液が零れてくる。呻いて喘ぐふたりの……いや、二匹の痴態を眺めつつ、程よく馴染んだところでバイブを挿入する。
 二匹のヒトイヌはすでにかなり出来上がっているようで、がんばって快楽を堪えている様子だった。
「お疲れ様でした。準備完了です。それでは改めましてゲームのルールを説明させていただきます」
 言いながら場所を移動するため、二匹の首にいつもの首輪をつけ、そこにリードを繋いだ。場所を移動しながら説明を続ける。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 準備編 おわり

 公園に出ることの出来る扉までの、建物内の廊下は広く作られている。
 ヒトイヌ状態のふたりが並んで進める程度には、その廊下の幅は広かった。
 このふたり、美雲さんと女島さんはヒトイヌになるのが初めてではないため、肘と膝を使った四つん這いでの移動もスムーズに行っている。ただ、今日は普段より身に纏っている拘束具が多いため、少し動きにくそうではあった。
 私は二人の首輪に繋いだリードを持ってはいるものの、テンションをかけないように注意していた。そういう立場でない人間がテンションをかけて引くと、それは虐待と変わらない。
 リードを装着したのはあくまで雰囲気作りの一環なので、それを用いて苦しみなどを与えてはいけないのだ。このようにヒトイヌ公園の従業員には接客規定がある。それに違反した場合は「一定期間ヒトイヌとして従事する」のような罰則もあるので気をつけなければならない。
 慎重に二匹を誘導しつつ、私は説明を行う。
「まずゲームの最長時間は五時間を設定しています。その時間が過ぎても決着がつかなかった場合、引き分けということで、残りの時間はお二人ともヒトイヌ状態で過ごすことを提案させていただきます。ゲーム終了段階でヒアリングを行いますので、その時の状態によってご判断ください」
 正直な話、公園側としては二人には時間いっぱい二匹のヒトイヌとして動き回ってもらい、引き分けでそのまま二匹ともヒトイヌのままで過ごしてもらうのが都合が良いのだが。
「ゲームの勝利条件は拘束具をすべて外すことです。手枷、足枷、前後のバイブ、胸部サポーター、開口具、そして首輪。全部で7つですね。それを相手よりも先に外すことで勝利となります」
 ただし、と私は付け加える。
「ゲーム終了までは移動は四つん這いのままするようにしてください。でないと足枷を外した段階で有利不利が出過ぎてしまいますから」
 ヒトイヌの二足歩行の禁止はヒトイヌ公園の基本でもある。
「高いところにあるものを取る時に関しては、後ろ足で立ち上がることは可能です。いずれにせよ常時モニタリングはしておりますので、禁止事項に触れそうになった場合は警告させていただきます。その場合は速やかに指示に従うようにしてください。度重なる不正行為は失格となり、ゲームに敗北することとなります」
 二匹のヒトイヌは真剣に話を聴いている。普段は仲のいい二人だけど、互いへの対抗心は強い。これは良いゲームが行えそうだ。
「敷地内は自由に移動していただいて構いません。鍵の隠し場所は敷地内のどこか、ヒトイヌの状態でも取れる場所にあります。鍵をひとつ見つけるごとに他の鍵の在処に関するヒントをお伝えしますので、まずは一つ目の鍵を探しやすいところから探すのをおすすめします」
 そこまで説明して、私はゲーム上、最も重要なルールを二人に伝えた。
「なお、拘束具の解放タイミングは任意で選択することができます。鍵を見つけた際、『その場で外す』か、『次の鍵を見つけるまで保留するか』です」
 ふたりは不思議そうに首を傾げる。次の鍵を見つけるまで保留する意味がわからなかったのだろう。当然、そのふたつには違いがある。
「『その場で外す』を選択した場合は次の鍵の在処のヒントは通常のもので、たとえば『ヒトイヌが走って遊ぶところ』のような抽象的なものになります。ですが、『次の鍵を見つけるまで解除を保留する』を選ぶと大ヒントとして、鍵のある場所を『運動場の北の端』のようにほぼそのまま知ることができるのです」
 これは、簡単に拘束具を解かれないための処置であった。
 拘束から解放されるためのゲームなのだから、拘束を解いていくのは仕方ない。しかし同時にこの公園はヒトイヌ公園であり、参加者にはなるべくヒトイヌの姿のままでいて欲しいのも事実。単なるラバースーツを着た人間の四つん這いを見たい客が集まっているわけではないのだから。
 この辺りの議論は首脳部でも散々交わされたらしく、ゲーム性を高めつつなるべくヒトイヌ姿を維持する方法として考案されたのが、この解放タイミング選択式だった。
 特にこのふたりの場合は、相手との一騎打ちだ。鍵を探すタイムロスはなるべく避けたいはず。拘束を外して機動力を増すよりヒントを得る方を優先するだろう。
「なお、保留した拘束具の解放は次の鍵を見つけるまで行えないことにご注意ください。また、次の鍵でも拘束具の解放を保留した場合は、その前の拘束具の解放も一緒に保留されます。任意の拘束具の解放のみ行う、ということはできません」
 そこまで説明したところで、扉についてしまった。そこで立ち止まる。
「最後に、ゲームの『お邪魔要素』に関してご説明させていただきます。現在、この公園内にはお二方と同じようにヒトイヌとなって遊んでおられる方が十数名いらっしゃいます。その方々に取り付けている首輪に近付くと、お二方に取り付けた責め具が稼働するようになっております。その強さは周りにいるヒトイヌの数によって変わります」
 つまり、ヒトイヌが集まるような場所に行けばそれだけ責められる頻度は高まる。
 それを踏まえて二人は行動を定めなくてはならない。我慢して行くか、それともなるべく他のヒトイヌと合わないルートを選ぶか。ふたりがどんなルートを選ぶのか、非常に楽しみだ。
「それ以外にも装置が起動する条件はございますが、それらは実際に探索していただいた方が早いでしょう」
 私は言いながら扉を大きく開いた、野外の風が吹き込んでくる。ふたりの首輪からリードを取り外し、手にまとめた。
「それではこれより、ヒトイヌ拘束脱出ゲームを始めます。3、2、1……」
 ふたりの、いや、二匹のヒトイヌが解き放たれる。
「ゲーム・スタート!」
 私の合図と共に、二匹は競い合うようにして公園内へと飛び出していった。

準備編・おわり
探索編につづく
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夜空さくら

Author:夜空さくら

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