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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

倶楽部の箱詰仕事 1

「箱詰め状態で仕事がしたい」
 ある日の箱詰倶楽部の会議中、社長が唐突にそんなことを言い出した。
 会議場が静かな空気に包まれる。
「他に意見やアイデアのある方はいらっしゃいませんか?」
 会議の司会進行を務める私は、そうその場に集まっている従業員に向けて聴く。
 この場に集まっている従業員は皆重要な役職についているレベルの従業員であり、それゆえに社長の突拍子もない言動には慣れている人ばかりだ。
 現に社長の発言に対し、誰も反応しておらず、真面目に企画やイベントのアイデアを考えてくれている。
 すると社長が不満そうに机を叩いた。
「ちょっと、しずなちゃん! 無視しないでよ~!」
 子供か、と思いつつ溜息を吐く。
 一応、会議は会議でも、今後のイベント企画などの、新しい意見を募っていたタイミングではあったけど、社長の発言が唐突なことに代わりは無かった。
「……社長、発言は挙手してからお願いします」
「むー。お堅いんだから……そこがいいんだけど!」
 社長は手を高く挙げて発言の許可を求める。
 私は仕方なく社長に意見を言ってもらうことにした。
「箱詰め状態でも仕事が出来るようになれば、もっと長く箱詰めを楽しめる人もいると思うのよ」
「お言葉ですが、すでにそれは可能ではありませんか? 箱詰め状態と言っても完全に手を塞ぐ必要はありませんし、ヘッドギアの画面を見つつ、コントローラーのようなもので操作すれば……」
 メールチェックや簡単な返信くらいならできそうではある。
 妥当な意見だと思うのだけど、社長はそれでは不満そうだった。
「うーん。それはそうなんだけど……もっとこう、箱詰められてるっていうのがそのまま仕事に繋がる感じが欲しいの!」
 むちゃくちゃなことを言う。
 私は呆れて言葉もなかったのだけど、技技名さんにとってはそうではなかったようだ。
「仕事内容は限定されるけど、ひとつアイデアがあるよ! 要は、箱詰められている状態がそのまま仕事になればいいんだよね?」
 嫌な予感しかしない。
 そう思いながら技技名さんが出すアイデアの内容を聞き、やっぱりその予感は的中した。
 社長が実に楽しげな表情で、意味ありげに頷く。
「……そうなると、現状、うちの倶楽部でその仕事ができそうなのは、ひとりしかいないね!」
 キラキラという擬音が相応しいほどに輝く目と、視線が合った。
 やっぱりこうなるのか。
「お願い、しずなちゃん!」
「お断りします」
 いつものやりとりを交わしつつ、私は結局逃れられないのだろうなと溜息を吐いた。

つづく

倶楽部の箱詰仕事 2


 箱詰倶楽部という倶楽部があることを知ったのは、そういうものに興味を抱いて検索をかけたことがきっかけだった。
 最初は悪戯かジョークか何かだと思っていたのだけど、その倶楽部は真面目な運営をされている会社のようで、しっかりと国の承認も得ている会社のようだった。
 そうなると実際に行ってみたくなるのが、そういう趣向を持つ者としては必然の流れで、幾度かメールのやりとりを交わしているうちに、見学に行くことになってしまった。
 フェチの集いのようなところには行ったことがあっても、こういうSMバーみたいなところには訪れた経験がない。
 意を決してやって来たその倶楽部のビルは、外見はごく普通のオフィスビルのようだった。看板を掲げる必要がないからか、探せば見つけられるけど偶然には見そうにない、わかりづらいところに、ずいぶん小さな文字で「箱詰倶楽部」と表示があった。
「ここね……」
 ごくりと生唾を飲み込み、緊張を感じつつ、私はその倶楽部の入り口をくぐった。
 ホテルのエントランスロビーのように広い空間がまず私を出迎えてくれた。エントランスの一角には、意味がよくわからないけど透明な箱を積み上げたオブジェのようなものがあった。箱詰倶楽部の象徴みたいなものだろうか。それにしてはなんだか四角い箱を積み上げただけで芸術性があるようには感じられない。そのオブジェの説明が書かれている看板らしきものがあったけど、とりあえずそっちには行かずに受付へと向かう。
 受付は無人だった。呼び鈴か何かがあるのかと思って探してみたら、企業の受付とかでよくある電話機が置いてあった。『初めて来社された方は1番へおかけください』というメモに従って、内線電話をかける。
 すぐに電話を取る気配が受話器越しに聞こえてきた。
『……いらっしゃい、ませ。ようこそ、箱詰倶楽部へ』
 落ち着いた女の人の声だった。けど、少し声がくぐもっているような感じがする。聞き逃さないように受話器に耳を強く当てながら言った。
「今日、見学の予約をしていた者ですが……」
『お待ちしておりました。すぐ参りますので、エントランスでお待ちください』
 その言葉を最後に通話が途切れる。私は受話器を置いて、少し待つ間にさっきのオブジェの説明を見に行くことにした。
 近付いて写真付きの説明を読んで、驚愕する。
 なんとただのオブジェだと思っていたその透明な箱は全て箱詰めプレイのための道具であるらしい。箱詰めにした状態が外から見れるようになっているとか。
 実際のプレイ風景が写真になっていたのだけど、そこには様々な体勢で透明な箱に閉じ込められた女性達が映っていた。
 箱詰めされているにも関わらず、空中に浮いているかのような彼女たちの姿に、私は思わず息を呑む。それは異常な光景ではあったけど、同時にとても美しいと感じてしまったからだ。こんなプレイが当たり前に行われているというこの倶楽部の特異性に改めて感心する。
(これなら……すごく楽しめそうね)
 そう思っていると、エレベーターの表示が上から降りてくるのに気づいた。どうやら案内人さんが降りてくるようだ。
 今日は倶楽部の色んな場所を見せて貰うことになっている。果たしてどんなプレイが行われているのか、興味は尽きない。
 エレベーターが一階に到着し、ドアが開く。
 そのエレベーターに乗っていた人の姿を見て、私はひどく驚いた。

 ひとりの女性が、箱詰めされた状態で移動してきたからだ。

つづく

倶楽部の箱詰仕事 3

 それは例えるならカタツムリに近い形状をしていた。
 小さな車輪のついた台の上に、スーツケースのような細長い長方形の四角柱が接続されている。台車は一般的に使われているような原始的なものではなく、前後左右自由自在に動けるようで、その動きの滑らかさも相当なものだった。少し空中に浮いて滑って移動していると言われても信じてしまいそうなほどだ。
 そもそも誰かが押しているわけでもないのに、その台車は自動的に動いている。機械が仕込まれているのだろうけど、誰かが遠くで見ていて動かしているのだろうか。
 そんなハイテクな台車によって、ほとんど震動なく運ばれているスーツケースのようなもの。それに女の人が詰められているのがなんでわかったのかといえば、それは単純な話で、見ればわかったからだ。
 四角柱はなんと透明な素材で出来ていて、中に詰められている女性の姿が丸見えだったのである。思わずごくりとつばを飲み込んだ。それはいままで私がずっと夢見た光景を何重にも上回る光景だった。
 女の人が何を考えているのか、表情からはわからない。その顔はヘッドギアみたいなごつい機械に覆われていたからだ。体育座りで身体を縮め、できる限り小さくまとまっている。ヘッドギア以外には服を着ておらず、透き通るような白い肌が光を反射して目に眩しい。
 自分が裸であるわけでもないのに、思わず赤面してしまう。かすかに見える女の人の頬も赤かったから、恥ずかしくないわけではないようだけど。
 私が食い入るように見つめる中、透明な箱の中に閉じ込められた……箱詰められた女の人の口元が動いた。
『お待たせしました。今日の案内役を務めます、真藤馬と申します』
 台車にスピーカーでもついているのか、案内役の人――真藤馬さんの方から声がした。それはさっき電話で聴いた声と同じで、どこかくぐもった声だった理由がわかった。
「よ、よろしくお願いします……」
 とりあえず頭を下げて挨拶する。
『驚かせて申しわけありません。現在、特別箱詰案内キャンペーン中でして……このような格好でご案内いたします』
 そういえばメールでそんな説明を受けたような。
『それでは、これより箱詰倶楽部の見学ルートをご案内いたします。私の後に付いてきてください』
 案内人がそう言うと、台車がくるりと反転してエレベーターの中へと戻っていく。そういえばエレベーターのボタンを押しているわけでもないのに、自動的に扉が開いたのは、やっぱり遠隔操作で誰かが動かしているんんだろうか。
 それとも、そういう機能が台車にあるのか。あとで聴いてみようかなと思いつつ、私は奇妙な案内人の後についてエレベーターに乗り込んだ。

つづく

倶楽部の箱詰仕事 4

 箱詰められたままで新規会員の案内を行う。
 箱詰倶楽部の技術班の技技名さんの提案は要するにそういうことだった。
「仕事内容が限定されているというか……箱詰倶楽部以外ではそもそも不可能ではありませんか?」
「いやいや、そんなことはないさ! 箱詰倶楽部が一番いいのはもちろんそうだけどね。なにせ箱詰められているということそのものが売りになるわけだから。……でも、他の業界でも可能だと思うよ!」
 いや、無理でしょう。
 そう断言して斬って捨てたかったけど、それより前に社長がそれに賛同する。
「しずなちゃんしずなちゃん。ほら、携帯電話のお店で案内してくれるロボットがいるじゃない? 知ってる?」
「知ってはいますが……?」
「あれを箱に置き換えればどうかしら?」
「……なるほど」
 社長が言わんとしていることをなんとなく理解する。
 箱詰められていること自体が売りになるわけじゃないけど、箱詰められていることを伏せるのであれば、優秀なロボットのような扱いで案内役を務めることは出来るだろう。
「いずれにせよ、周りのサポートは必須でしょうし、箱詰倶楽部以外で仕事にするには難しそうですね」
「まあそれはおいておいて! しずなちゃんには倶楽部の見学者を、箱詰め状態で案内してもらうことになるわ! 技技名、そのための道具を至急制作してちょうだい!」
 社長のゴーサインが出て、技技名さんがそれに全力で応える。
 私はせめてあまり恥ずかしくない格好で箱詰めて欲しいと思いつつ、その道具の開発を待つことになった。
「できたよ!」
「早すぎませんか技技名さん」
 技技名さんに呼び出され、呆れと共にそう言わざるを得なかったのは、会議でそれをやることが決まった日の翌日のことだった。
「はっはっは! 基本的には既存の技術の応用だしね! 完全自律行動を目指すならともかく、中からある程度の操作を前提とするなら、そう難しいプログラムでもなかったし」
「プログラムまで一日で組んだんですか」
 そういうスキルを持たない私にはよくわからないけど、プログラムというのはそんな短時間で組めるものじゃないはずだ。ほんと、この人はなんで箱詰倶楽部なんかで仕事してるんだろうか。
 そういう意味では社長も謎だ。一日の大半を箱の中で過ごしているはずなのに、いつもいつの間にかものすごいところとの繋がりを引っ張ってきたりする。私にとってはいつも本来の業務を越えた仕事を回してくる迷惑極まりない上司だけど、世間一般的に見たらあり得ないくらい優秀な人だった。
 専属医のひなさんは外科手術から内科の診断まであらゆる医療行為を修めているという話だし、倶楽部の専属緊縛師の牧上さんは、一般の人も見るような芸術祭で緊縛をテーマに賞を取ったという話だし、『オーソドックス箱詰め』コース案内担当の間木和さんは副業でやってる投資の収入が億を超えたとか、言ってたような……。
 うん、この倶楽部の人たちはみんなどこかおかしい。
 ほんとなんで箱詰倶楽部で働いているのやら。
 それはさておき、早速技技名さんの作った特別製の箱に詰められてみることになった。
「透明なパーツは以前にも使ったものですね」
「うん! いまは完全な箱だけど、こうして用意したライトを当てると……」
 それまで傷一つ無い綺麗な壁面をしていた箱が、技技名さんが持ってきたライトを当てると、切り込みが生じてパーツにばらせるようになった。四角い箱をばらしていくと、中にちょうど人が一人収まる程度の隙間があることがわかった。
「前はライトに当てて接合していたように記憶していますが……」
「接合する時もライトを使うよ! 当てる光にちょっとした違いがあってね! 剥離用ライトに当たりに行けば、一人でも解除出来るってわけさ! ……組み立てはひとりじゃできないから、不完全なんだけどねー」
 完全に一人で詰められることも抜け出すことも出来るようにしたかったらしい。
 自動組み立て装置はもうあるけど、箱の材質が特殊だからそれをそのまま用いることは出来なかったんだとか。
 それが本筋じゃないはずなのに、どこまでこだわってるんだろう。やっぱり技技名さんが一番箱詰めに対する拘り含めてヤバい人かもしれない。
「とりあえず入ってみて!」
「はいはい……裸にならなきゃだめですか?」
 案内する関係上、初めての人の前で裸になって出ることになる。それはさすがにちょっと恥ずかしい。
 服を着ていても問題ないはずだったけど、社長は裸で詰められることにこだわった。
「時にはラバースーツとか、慣れてきたら緊縛されて、というのも楽しいけど、箱詰めの基本はやはり全裸だから!」
 というのが社長の主張である。
 倶楽部に初めて来る人を案内する以上、基本であることが大事と言われてしまうと、それ以上反論する気も失せる。
 体勢は体育座りの形になるから、一応股間や胸は隠せる体勢だからまだマシか。
 私は大人しく身に纏っていた全ての服を脱いで、箱の底面の部分に腰を下ろす。
 底面はお尻の形にくぼんでいて、きっちりはまり込んだ。
「あ、そうそう。先にこれ身につけて」
 そう言って技技名さんが渡してきたのは、ヘッドギアのようなものだった。

つづく

倶楽部の箱詰仕事 5


 ヘッドギアとはいうものの、それは水泳で使うゴーグルほどの厚みしかなかった。
 その薄さでもちゃんと映像が見えているのだから、技術力の高さを窺わせる。
 身につけてすぐは真っ暗闇だったけど、すぐにそのディスプレイに映像が映し出された。その視点は部屋の隅のカメラからのものらしく、技技名さんと社長、そして全裸にヘッドギアだけを身につけた私の姿があった。透明な箱の底面に三角座りで収まっている。
 改めて冷静に第三者の視点で見ると、なんとも恥ずかしい光景だ。思わず身体を縮めていると、技技名さんが動いて、なにやら手に握り込める程度の大きさの道具を私に向けて差し出す。
「はい、これ!」
「……これは?」
 私が手を出すと、そこに技技名さんが道具を置いてくれる。私は手探りでその道具が何かを確かめる。なにやら、ボタンがいくつかと、短いスティックのようなものがついていた。
「ふっふっふっ。某ゲーム機から着想を得た、各機能を司るコントローラーさ! 許可取ってないから訴えられたら負けるけどね!」
「ああ、あの人気の高さに反して生産が追いつかず、長く品薄状態が続いたという……」
 テレビのCMで見た覚えがある。
 確かにあのコントローラーの形に似てるかも。
「販売するわけじゃないし、大丈夫じゃない?」
「だといいんだけどねぇ……」
 社長と技技名さんはのほほんとそんな会話を交わしている。
「……あの、すみませんが作業進めてもらえませんか?」
 裸で放置される側の身にもなって欲しい。
「おっと、ごめんごめん! それじゃあ組み立てていくね!」
 以前透明な箱の中に閉じ込められた時は、身体の柔らかさを強調するような複雑なポーズだったけど、今回はただの体育座りだ。体勢的にはかなり楽なので助かる。
「本当はしずなちゃんの軟体力を活かしたポーズにしたいんだけど、案内もするとなると、さすがに苦しいだろうし、特殊な箱詰めプレイは誰でも出来るわけじゃないからねぇ……」
 慮ってくれるのはありがたい。後者の理由が主な気はするけど。
 それに、慮ってくれるのはありがたいけど、できればもっと前の、企画を立てる段階から慮って欲しかった。
 技技名さんが透明なパーツをはめ込み、私を四角い箱の中に閉じ込めて行く。詰められる体勢がシンプルだからか、透明なパーツの構造もかなりシンプルなものだった。
 ほどなくして、私は透明な箱の中で体育座りの形で閉じ込められた。
『見えないだろうけど、ちゃんと換気用の穴は確保してあるからね!』
 技技名さんがそう言うのが、ヘッドギアから聞こえた。どうやら台車にマイクがあるらしく、外の声をちゃんと拾ってくれているらしい。
『しずなも喋ればこっちにも通じるよ!』
「……そうなんですか? 聞こえていますか?」
 できる限り身体を縮めているから、少し喋り辛かったけど、声をあげてみる。
 カメラ視点で技技名さんと社長が頷くのが見えた。
『うん、大丈夫!』
『ちょっとくぐもっては聞こえるけど、問題なさそうだわ』
「箱の中で喋ったりして大丈夫なのですか? 壁面が曇ったり、酸素が足りなくなったりするのでは……」
 以前はマスクなどをして曇らないような工夫をしていたはずだけど、今回は喋らないといけないからマスクは使えない。
 大丈夫なのかと思ったけど、技技名さんは得意げに胸を反らした。
『日々改良を続けているからね! ちゃんと対策してあるよ!』
 それならいいのだけど。
『さて、ともあれ動く練習をしないとね。右手側に握ったコントローラーのスティックを倒せば、前後左右に動けるよ。対物センサーを取り付けてあるから、人や物などの障害物に当たりそうになったら自動的に止まるから安心して動かして!』
 私は試しに壁に向かって移動してみた。スティックを倒した方向と身体に感じる慣性の動きは同じなのだけど、目に見えている景色とはずれがあって、ちょっと戸惑うけど、慣れれば大丈夫そうだ。
 壁にぶつかりそうになると、壁の手前で自動的に止まった。あえてスティックを倒してみても、ちゃんとぶつからないように止まってくれるようだ。
『スイッチに関しては色々その場その場で機能が違うから、動きながら説明するね。まずはエレベーターに行こう!』
 そう言って技技名さんが実験室の外へと出て行く。慣れない操作をなんとかこなしながらその後を追いかける。
 箱詰倶楽部の建物内の移動とはいえ、箱詰められている状態のまま、場所を移動するというのはなんとも不思議な気分だった。人に運ばれる形なら何度も経験していることではあるけど、今回は自分で動かしている感覚だから余計に変な感じ。
 施設内を移動していく中で、何度も職員たちとすれ違い、その度に興味深そうに見られていることがカメラを通してわかって、顔から火が出るほどに恥ずかしかった。
 以前透明な箱に詰められた時は、少なくとも私の視点は通常の箱詰めと変わらなかった。外の光景は見えていても、そもそも視点が低かったし固定されていたから周囲の状況はよくわからなかった。
 けれど今回は各所のカメラを通して、私を外から見た様子がはっきりわかる。体勢は普通だし、見られると恥ずかしいところも隠れているとはいえ、裸で箱詰められていることは明白であり、恥ずかしいことこの上なかった。


『ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております』
 見学希望者を送り出して、その人が建物から出て行って暫くしてから、私は深々と溜息を吐いた。
 なんとか無事案内を終えることが出来てほっとする。十分倶楽部の活動に興味を抱いてくれたみたいだったし、次の来訪の予約も取り付けた。箱詰めのまま案内するという恥ずかしい思いをした甲斐はあったのだろうか。
 わからないけど、無事終わったことにほっとした。
 エレベーターに乗り込み、技技名さんのいる実験室へと向かう。
『お疲れ様! それじゃあ解体していくね!』
 技技名さんが特殊なライトを当ててくれて、透明の箱が再びパーツに分解される。
 私は窮屈な場所から再び外に出れて、深々と息を吐いた。いくら空気の循環はちゃんと行われていたとはいえ、閉塞空間であることには変わりない。
「どうだった? 改善点とかあれば是非言って欲しいな!」
「……そうですね。今回は短時間だったので必要なかったですが、やはり水分補給はしたくなりますね」
 狭い空間で喋り続けるのはかなりしんどいものがある。箱詰められていると汗も掻くし、実際いまも喉が渇いて仕方なかった。
「先に済ませておけば大丈夫とはいえ、排泄の問題もありますね……急に催した時など、考えたくありません」
「それは一応対策してあるんだけどねー。大きな排泄物は無理だけど、尿は排出できるようになってたんだよ」
「……おもらしみたいに排泄するのは抵抗がありますね。あと、拭けないですから不快度も大きそうですし」
「そこらへんはカテーテルとかで対応するしかないかなぁ……大便の方をどうするかだけど……」
 そんな風に技技名さんと、改善点について話し合っている時の私は知らなかった。

 後日、その改善点をきっちりクリアした箱が用意され、今度は一日中箱に詰められたまま、会員の案内をさせられる羽目になることを。 


~箱詰倶楽部 倶楽部の箱詰仕事 おわり~

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