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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

箱詰倶楽部への入会 1

 箱詰倶楽部と聞いて、一般の人は「収納術の講座?」だとか「引越しのコツを教えてくれるの?」とか思うのかもしれない。
 けど、私にとって箱詰めといえばまず連想することがあり、まさかそれじゃないと頭では考えつつも、一縷の希望を抱いてそのサイトを開いてみるしか選択肢はなかった。

 その瞬間、私の人生は百八十度変わってしまった。



 体験コースという非常に割安なコースが存在して、大学生の身分でお金に余裕のなかった私はまずそのコースに申し込んだ。本当は最初からもっと別のコースにしたかった思いもあったけど、お金の問題はもちろん、実際にどういう感じなのか慎重に計りたかったという意図もあった。なにせいまから私がやろうと思っている行為は、普通なら絶対にやらないような行為で、その危険度は死に直結するレベルだからだ。慎重になってなりすぎるということはないだろう。
 倶楽部は建物からして白い正方形の箱のようなところで、想像以上にこじんまりとしていた。おそらくは中で行われていることに関する演出なのだろうけど、手がこんでいる。
 まず自動ドアをくぐって中に入ると、そこはごく普通の会社のエントランスになっていた。カウンターの向こうで何やら書類を整えていたお姉さんが私の方を見てにっこりと微笑む。
「いらっしゃいませ。ご予約の方ですね」
「え、あ、はい」
 普通なら確認するのだろうけど、お姉さんは断定口調だった。利用する人が多いとは思えないし、今日の予約は私一人なのかもしれない。どうやって経営を支えているのか知らないけど、考えてみれば不思議な話だ。
「『箱詰倶楽部』へようこそお越しくださいました。会場は二階の『体験コーナー』となっております。エレベーターで二階へお上がりください。係りの者が案内いたします」
 私は受け付けのお姉さんにお礼を言ってエレベーターに向かう。
 エレベーターを待っている間に、外から男の人が入ってきた。思わず横目で伺ってしまう。
 男の人は私の方には目線を向けず、受け付けのお姉さんに声をかけた。
「預けてた箱を受け取りたいんだけど」
「承知しております。少々お待ちくださいませ」
 お姉さんがそう答えてカウンターの中から出てくる。その手には大きなスーツケースがあった。
「どうぞ。メンテナンスは無事終了したしました。安全装置は三日後にセットしておりますのでそれまでにはお戻しください」
「ああ、わかってるよ。無理はさせたくないしな」
 男の人は嬉しそうに言ってそのまま去って行った。
 私はやってきたエレベーターに乗って二階へと向かう。その途中で、もしやあのスーツケースの中には誰かが入っていたのではないかということに遅ればせながら気づく。
(そういえば……長時間コースっていうのがあったような)
 そうだとすれば、少なくともこれから三日間はあの中にいた人はあのまま閉じ込められているということになる。
 いままで想像上の行為でしかなかったことが、ここでは当たり前に行われている。
 私は体の芯が熱くなるのを感じた。

 そしてエレベーターが二階に着いて、扉が静かに開いていく。

箱詰倶楽部への入会 2

 二階も見た目は普通の会社っぽかった。
 エレベーターを降りてすぐのところに電話機と案内が置かれているテーブルがある。近づいて案内を読んでみると、だいたいこんな感じのことが書かれていた。
『ご希望のコースに合う呼び出し番号でダイヤルください。もし希望するコースがなければ、「000」でおかけください』
 コースはいくつかあった。例えば『オーソドックス箱詰めコース』、『水槽コース』、『砂箱コース』、『圧縮袋コース』、『完全拘束コース』、『人形コース』、『物品コース』などだ。
 正直目が眩む勢いだった。『完全拘束コース』はまだ想像できなくもないけど、人形だの物品だのわけのわからないコースがある。どんな風にされてしまうのかすら想像つかない。
 いつかはそれを経験してみてもいいかもしれないけど、いまはさすがにそれをダイヤルしてみる勇気は出なかった。
 大人しく、『オーソドックス箱詰めコース』の番号を選んでダイヤルする。
 電話に誰か出るのかと思いきや、電話はただの呼び鈴替わりだったみたいで、すぐに一つのドアが開いてそこから女の人が顔を覗かせる。
「いらっしゃいませー。こちらにどうぞー」
 まるで病院で看護師さんに呼ばれているみたいだなと思いつつ、私は少し早足で向かった。
 お姉さんは私より数歳年上だろうか。非常に若く見えた。浮かべている天真爛漫な笑顔が、よりお姉さんを若く見せているのかもしれない。
「どーもこんにちは! あたしはオーソドックス箱詰め担当の間木和カナコと申します! 体験コース希望の大見零羽さんで間違いなかったですか?」
 かなりフレンドリーな人だと感じた。口調はまだしもテンションの高さがかなり砕けている。少なくとも普通の初対面の相手に対する口調ではない。
 カナコさんは私がかろうじて頷いたのを見ると、さっそく私を部屋の中に誘い入れながら話を続ける。
「この倶楽部は希望者を箱とか袋とかそういう限定された狭い空間に閉じ込めてしまうことを目的としている、いわゆる性的倒錯者のために用意された施設です。何かの間違いで申し込んじゃった!ってことはないですよねー? あ、あとおふざけとか罰ゲームとかそういう理由でもないですよね。あくまで本人の希望であるということを確認させてください」
 一歩間違えば犯罪行為になることから、慎重になる気持ちは理解できた。
 私は声こそ出せなかったけど、その代わりに深くはっきりと頷いた。
 カナコさんは非常に満足そうに微笑む。
「オッケーです。それじゃあ、さっそくですがどんな形で体験期間中拘束されるか相談して決めていきましょう」
 カナコさんはどこまでも楽しそうだった。

箱詰倶楽部への入会 3

「まずは、どれくらいの経験があるかってところから確認していきましょう」
 思ったよりもまじめに、というと失礼かもしれないけど、当初の印象よりも真面目に進めてくれるみたいだった。
「こういうことをしたことはありますか?」
「えっと……こういうこと、に当たるかどうかは微妙なんですけど、クローゼットの中とかに無性に入りたくなって、入ったことはあります。あと、人間大の衣装ケースの中に入ってみたり、とか……」
「ふんふん、なるほどなるほど……じゃあ、そういう状態で、オナニーをしたことは?」
 ストレートな質問だった。私は少しだけ逡巡して、素直に答える。
「えっと……ない、です。すぐ出ちゃいました」
「ふむふむ……そういう作品に触れたことは? プロアマ問わずに」
「そういう意味なら……よく、ネットであるものを……」
「なるほどねぇ。リアルでやるのは本当に初めてに近いわけですね」
「そう……なりますね」
 そんなことではダメだったのだろうか、私は少し不安になる。もし帰れと言われたらどうしよう。
 悪い想像が頭をよぎったけど、幸いそんなことはなかった。
「了解、じゃあ最初は軽いところから始めた方が良さそうね。箱と袋、どっちの方がっ興奮します?」
「そう、言われても……」
 正直、想像できない。

箱詰倶楽部への入会 4

 その後、色々と質問をされたり、確認を経てりして、最終的に今回はオーソドックスに箱詰めにされることが決まった。最初だし体験コースということでもっとも安全でフラットな手法を選んだということだった。
「箱にも色々あるんですけど、今回は段ボール箱を使いますね」
 一番サイズが用意しやすく、また密閉生の観点から行っても安全度が高いらしい。
 体のサイズをおおまかに計られたのち、お姉さんが持ってきた段ボール箱は私がそうぞうしていたよりずっと小さかった。
「そ、それですか?」
「ええ。そうですよ。お客様のサイズと柔軟性だと、これくらいがほどよい感じを味わえると思います」
 本当だろうか。私は明らかに小さそうな箱に尻込みしてしまった。
 だけど、お姉さんは容赦なく話を先に進める。
「最初は着衣のままでもいいと思いますが……できれば全裸で入った方が気持ちいいと思いますよ。恥ずかしいのであれば、バスタオルを巻いて、ある程度詰められたところで外すということも可能ですが」
 この質問には結構悩んだ。けれど結局、最初から全裸で入ることを選択する。
 もとよりそういう目的で来ているということもあるし、なにより今後もここを利用するならそれに慣れていた方がいいからだ。スタッフの人が男性ならもっと悩んだだろうけど、ここでは女性のスタッフしかいないみたいだし。
 そう思って私は思い切って服を脱ぎ始めた。
 スタッフのお姉さんはきっちりと服を着込んでいるのに、裸になるのは勇気が言ったけど、一度脱いでしまえばそこまで気にならない。
 むしろ裸に近づくにつれ、いままでは想像の中にしかなかった箱詰めプレイが現実のものになろうとしていることを感じて、そっちの意味でぞくぞくした。
「服はこちらのカゴに入れておきますね」
 部屋の隅にあったカゴに着ていた服が収められる。
 さあ、いよいよ部屋には裸の私と、私の大きさに合わせた段ボール箱だけになる。
 お姉さんが、立ち尽くす私をいざなう。
「さあ、こちらにどうぞ。箱の中に閉じ込めて差し上げます」
 私はふらつく足取りで、段ボール箱に近づいた。

箱詰倶楽部への入会 5

 がらんどうな箱の中は、まるで私を誘っているかのようにその蓋を開いていた。
 思わずごくりと生唾を飲み込むと、その緊張が伝わったのか、お姉さんが苦笑を浮かべる。
「大丈夫ですよ。今回はあくまでお試しですから、テープでとめたりしませんから」
 安心させようとして言ってくれたのだろうけど、改めてそう口に出されるとそうされる可能性に気づいてどきっとしてしまった。
(そうだ……閉じこめられることもある……というか、むしろ本来ならそうするんだよね)
 急に心臓が激しく鳴り始めた。目の前がくらくらする。
「さあ、焦らなくていいから、まずは箱の中に立ってみてください?」
 優しくお姉さんに促されて、私はゆっくり箱の中に足を踏み入れる。段ボール箱の感触が足の裏に感じられて、奇妙な感覚だった。
「ゆっくり腰を下ろして。お尻を箱の隅に合わせるようにして……」
 いわれるまま、私は腰を降ろしていった。私の体が箱のなかにすっぽり収まっていく。
「そのまま、体を横に倒してください。背中を丸めて……」
 少し窮屈に感じながらも、サイズを合わせているというのは本当らしく、綺麗に収まったように思えた。
「うん、ばっちりですね。手は顔の前で組むとちょうどいいですよ」
「は、はい……」
 小さく、小さく。それを意識して体を縮める。
 私は体の四方が段ボール箱の壁で覆われているのを改めて感じて、その狭い状況にむしろ興奮していた。
「はい、オッケーです。ひとまず一時間ほど落ち着くまでおきますね」
 そう言うと、お姉さんは段ボール箱の蓋を閉めた。閉じこめられる、と感じてびくりとした。お姉さんは私を安心させようとしたのか、優しい声が外から降ってくる。
「大丈夫。蓋は閉じてるだけですよ。出ようと思えばすぐ出れるから大丈夫。閉じこめられる感覚だけ味わってみてください」
 今後、その感覚を楽しめるかどうかも、これでわかりますよ。
 そういって、お姉さんはきっちりと段ボール箱の蓋を閉めてしまった。暗くはなったけど、きっちり閉められているわけじゃないから、完全な暗闇というわけじゃなかった。
 けれども閉じこめられているという実感には十分すぎるくらいの密閉具合で、自分の呼吸音と大きな心臓のだけが耳に聞こえてきた。

 こうして私は生まれて初めて『箱詰め』にされたのだ。

箱詰倶楽部への入会 まとめ

これは『箱詰倶楽部』シリーズです。
続きを読むからどうぞ。

箱詰倶楽部での仕事 1

 箱詰倶楽部の朝は早い。
 箱詰倶楽部の受付嬢、真藤馬しずなは朝五時には出社する。彼女が住んでいるマンションは会社から歩いて数分の距離にあり、通勤という意味で苦労したことはなかったが。
 元々早寝早起きが染みついている彼女にとって、この仕事は天職のように感じていた。なにせ、仕事の内容に比して、給料は破格だからだ。
 ほとんどの場合、彼女は受け付けのところで待機しているだけで、客の対応だけをすればそれでよいことになっている。仕事という意味で長時間拘束されはするが、暇な時は比較的自由にしていていいというのも魅力だった。
 箱詰倶楽部という仕組み自体は、彼女にとって少々理解しがたい感性の話であったが、仕事としてそれに関わるのに問題が生じるほどの嫌悪感はない。
 それも含めて、彼女にとってこの仕事が自分に向いているという認識だった。
 もし、彼女が客や従業員の感性を理解できていたら、きっと彼女もそうなっていただろうから。

 出社したしずながまずすることは、社長室に向かうことだった。ただし単に挨拶に向かう訳ではない。
 社長室の前についたしずなは、無駄と知りつつ社長室のドアをノックした。
「おはようございます、真藤馬です。失礼します」
 鍵のかかっていない社長室のドアを開ける。センスのいい調度品が程良く配置され、来客対応用のソファと椅子のセットが入口の脇にある。部屋の奥には、そこに誰かが座っていればまず目が合うであろう形で机と椅子が置かれていた。本来ならそこに社長が座っていて、彼女の挨拶に応えただろう。
 しかし、その椅子には誰も座っていなかった。社長室は無人で、人の気配はなかった。
 だが、しずなは社長の机に歩みよる。その机の上には、大きなスーツケースらしきものが置かれていた。
 そのスーツケースらしきものは、スーツケースそのものではなかった。まず取っ手がない。移動するためのキャスターもない。あるのは厳重なダイヤルロックだけで、実質的にスーツケースの役割はほとんど果たさないに違いなかった。スーツケースの箱の部分だけ、というのが正しい表現だろう。
 しずなはこっそり溜息を吐きながら、そのスーツケースらしきもののダイヤルに手をかける。彼女しか知らされていない暗証番号に合わせて、ロックを外す。
 そのケースはスイッチ1つで開閉するように出来ていた。しずながスイッチを押すと、空気の抜ける「プシュー」という音が響き、自動的に蓋が開いて行く。

 中に収まっていたのは、一人の全裸の女性だった。

箱詰倶楽部での仕事 2

 かなり大きなスーツケースとはいえ、人間が収まるにしては小さいそれの中に、その女性は詰まっていた。
 身体を出来る限り丸めて、少しでも小さくなろうとしている努力が窺える。ただし、それでも彼女は四方からの圧迫感に圧されて、四角くなっていた。
 彼女の白い肌はじっとりと汗ばみ、目を閉じたまま官能的な吐息を繰り返している。
 そんな煽情的な見慣れた光景を前に、しずなはもう一度溜息を吐き、女性に声をかけた。
「社長。起きてください。朝ですよ」
 その声に、スーツケースに詰まっていた女性が反応する。
「ん……」
 微かにうめき声を上げ、その瞼が動く。
 茫洋とした視線がどこを見るともなく泳いでいた。しずなはそれを見て、再度声をかける。
「社長」
 社長と呼ばれた裸の女性の視線が、しずなの方を向く。
「あー……しずなちゃん、おはよう……」
「おはようございます」
 しずなはそう言いながら、社長がスーツケースの中から出るのを補助する。
 社長は汗で蒸れた髪の毛をかきあげながら、机の上に這うように出て来て、机に腰掛けて一息ついた。小さく折り曲げていた足をぶらぶらと垂らし、解放された喜びに浸っている。
 当然ながら全裸で箱に詰まっていた社長はいまも全裸であり、その豊満な乳房も、秘部も丸見えであったが、特に恥ずかしがる様子はない。しずなも慣れっこなのか、特に反応しなかった。
「シャワーを浴びて来て下さい。いつものことですが、凄い汗ですよ」
 しずなは甲斐甲斐しくタオルで社長の足を拭いてあげていた。こそばかったのか、社長はくすくすと笑う。
「ありがとう、しずなちゃん」
「仕事ですから」
 淡泊に応え、しずなは社長をシャワー室へと追いやる。
 二十歳をとうに過ぎたしずなより数年は年上のはずの社長だったが、その容姿だけみればしずなと同年代か、それ以下に見える。
 本人いわく、「箱詰めが若さの秘訣よ」とのことだが、もちろんしずなは冗談として受け取っている。
 社長は部屋を出る直前、机を拭いているしずなの方を見て社長らしく指示を出した。
「そうそう、昨日の夜に新しい入会希望者が三人ほどメール送って来てたから、対応しておいて。うち一人は冷やかしみたいだから適当にあしらって頂戴」
「わかりました」
 箱詰めに異常なほど執着しているという点を除けば、箱詰倶楽部の社長はとても優秀な人物だった。
 社長が出て行ったあと、しずなは社長の指示通り、部屋の隅に置かれたパソコンを使ってメールの対応を始める。
 この性癖を理解出来ない彼女からしてみれば、いまだに新規入会希望者があとを断たないというのは不思議な話ではあったが、企業側の一人として、喜ばしいことだと考えていた。

箱詰倶楽部での仕事 3

 シャワー室から戻って来た社長は、白いバスローブ姿で、濡らした髪をバスタオルで無造作に拭いていた。普通、髪はもっと気を使って整えるべきものだが、社長にとってはそうではないらしく、とにかく乾けばいいとでも思っているようだ。
 椅子に座った社長は、黙々とパソコンを操作しているしずなに声をかける。
「今日もいつも通りよろしくね」
「はい、社長」
「確か今日は入会希望者が一人やってくる日だったわね。ふふ、友達が増えて良かったわ」
 社長は箱詰倶楽部の会員のことを「友達」と呼ぶ。
 普通は理解されにくいであろう性癖の賛同者という意味で、社長が身近に思う気持ちは、しずなにもわからなくはない。
 とは言え、実際に「友達」と呼ぶことに対しては、しずなには社長の感性がわからなくなるのだが。
「しずなちゃん、意地悪しちゃだめよ?」
「いままでそういった行動をした覚えはありませんが」
「わかってるわ。信頼してるわよ、しずなちゃん」
 起業人にしては相応しくない言動を、この社長は平然と口にする。その度、しずなはなんとも言えない気分になるのだが、いまさらそれは気にしても仕方のないことだ。
 しずなは壁にかけられた時計を見て、時間を確認する。
「そろそろ私は下に行きますね。三通のメールには対応しておきました」
「ありがとー。しずなちゃんの今日のお仕事は、昼からの入会希望者の対応と……ああ、アキラくんがルカさんを迎えにくると思うから、それもよろしくね」
「はい、大丈夫です。把握しております」
「新しい機能を搭載したんだけど、楽しんでくれるかしらねぇ……」
 不安そうに呟く社長に対し、しずなは冷静な言葉を返した。
「向こうからの要求でしょう? なら、問題ないのではありませんか?」
「それはそうなんだけど、ちゃんとその要求に沿った仕上がりに出来てるかしらと思っちゃってね……」
「大丈夫だと思いますよ。うちの技術班は優秀ですから」
 そうしずなは応えた。実際、彼女の目から見ても箱詰倶楽部の技術班は非常に優秀な人材が揃っている。
 その情熱が違うところに向いていれば偉業を成し遂げそうな気もしたが、情熱など向ける方向は人によるものだ。だから、そんなことまでは言わない。
 しずなは社長室を辞し、受付に向かって移動し始める。そんな彼女の背後から、声がかかった。
「真藤馬さん、おはよう」
 しずなが降り返ると、そこに妖艶な美女がいた。
「技技名さん、おはようございます」
 技技名はいましがた話題に出たばかりの、技術班の責任者だ。

箱詰倶楽部での仕事 4

 技技名は箱詰倶楽部に関わっている者の中で最も大柄だった。いわゆる外国人的な魅力を持った体つきといえる。
 そんな技技名が、しずなへと歩みよって来る。しずなも女性にしては高身長な方だが、技技名と比べると一般的な女性の大きさにしか見えない。
 彼女にそんなつもりはないのだろうが、大柄な彼女が近づいてくると、大抵の女性は威圧感に気圧されてしまう。
 しかし、しずなは特に後ずさることもなく、その場で技技名が近づいてくるのを待った。
「真藤馬は相変わらずクールだね! もっと笑顔でいようよ!」
 大抵の女性は技技名が近づくと委縮するため、しずなのように無反応な女性は技技名にとってお気に入りだった。
 技技名の輝くばかりお笑顔に対し、しずなはあくまでもクールに接する。
「お客様に対しては、営業スマイルをちゃんとしていますよ」
「固いよ! 営業スマイルじゃダメダメ! ほら、こうニッと笑ってごらん? 可愛いから!」
 しずなは技技名の笑顔を見ながら、相変わらずの様子に閉口していた。一社会人として、この箱詰倶楽部の特殊性には呆れるばかりなのである。
 これは二人が顔を合わせると、恒例のやり取りなため、技技名もしずなが笑顔を浮かべなくても気分を害したりはしない。
「そんな真藤馬にぜひ試して欲しい新器具があるんだ!」
「それは社長に持って行ってください」
「まあまあ、話だけでも聞いてよ! ……じゃーん!」
 言いながら彼女がポケットから取り出したのは、バイブほどの大きさで、形状はただの楕円形のようなものだった。ウミウシの形状が近いかもしれない。
 目の前にそれを突き付けられたしずなは、それをどう使うのかだけはすぐにわかって、渋面を作る。
「……それは?」
「うん、自立型バイブさ! こいつは長さをある程度調節することが出来てね? 装着者の膣道を隙間なく埋めることが出来るんだ!」
「……はぁ」
「よく、会員の人からあそこに突っ込んだバイブの先端が箱詰めの時に邪魔になるって話を聞いてたからさ。これを使えば、体内に全部収納できるってわけ!」
「……はぁ」
「もちろんバイブにもなるから、長い箱詰め時のアクセントにも使えるよ!」
「……はぁ。電池は切れないんですか?」
「心配ご無用! 電池を入れかえあり、ケーブルを繋ぐ必要はないんだ。専用の台の上に座ってれば、入れたままでも勝手に充電されるから!」
「万が一トラブルが起きたら?」
「ちょっと大変だけど、入れたままで分解出来るようになってるんだ! さすがにこればかりは会員が自分ですることは出来ないけど、技術班に任せてくれれば、装着者には傷一つつけないで解体が可能さ!」
「……そうですか。いいんじゃないですか?」
「だろう!? でも、まだ自分でしか実験してなくてさ。ぜひ真藤馬にも……」
「それは社長と相談してください。その結果、いけそうなのであれば、WEB会員ページなどに新しいオプションとして載せますから教えてください」
 さらりと流され、技技名は肩をすくめた。
「真藤馬はクールだねえ……」
「別に、普通ですよ。それでは失礼します」
 社長室に入る技技名をそこに残し、しずなは自分の仕事場へと向かった。

箱詰倶楽部での仕事 5

 しずなが受付についたのは朝六時だったが、その頃から従業員たちが早速出社してきた。
「おはようございまーす、真藤馬さん」
「おはようございます」
「おはよー……ふぁああ……」
「おはようございます。だらしないですよ」
「おはようございます! 今日も綺麗ですね!」
「おはようございます。ありがとうございます」
 箱詰倶楽部に務めているのは、ほとんどが女性である。男性もいないわけではないが、運搬などの裏方に回ることが多く、裏口が駐車場になっているため、正面から入ってくる男性職員は少ない。
「どうも。おはようございます」
「おはようございます。牧上さん」
 その数少ない例外の一人が、緊縛師の牧上だった。すでに初老の年齢に達している彼だが、その落ち付いた物腰と冷静な縄使いによって、倶楽部内にファンが多い。
 しずなとしても、変わり者が多い倶楽部の中で、指折りの常識人であるため、その対応も幾分丁寧なものになる。
 牧上はエレベーターを使い、自分の部屋へと上がって行った。
 基本的に男性職員が正面の入口を使わないのは、女性会員がここに入りやすくするためのイメージづくりの一環だ。この倶楽部には単独で申し込んでくる女性の比率が多く、警戒されないようにしたいというのが社長の意思だった。
 それは成功しているのかしないのか、しずなにはよくわからないが、そういう気配りを目指すのが箱詰倶楽部だった。
 一通り出勤が落ち着くと、しずなは受付の中にあるパソコンを操作してデータを呼び出す。
 今日来る予定の新規会員についての情報が、パソコンの画面に表示された。可愛らしい、女性の顔写真が右上に表示されている。それを見ながら、しずなは少し物思いにふける。
(大見零羽……様、か。こんなに可愛い子が、ねぇ……世の中、わからないものだわ)
 『体験コース』の担当にデータを飛ばし、同時にその時間たちに男性職員が正面の入口に来ないよう、通達を出す。
 預けられたスーツケースを受け渡すための処理も行えば、大半の仕事は終わったも同然だった。
(さて……今日は……と。データの整理でもしようかしら)
 自由にしていいと社長直々に許可は受けているものの、就業時間は働くと決めているしずなは、箱詰倶楽部のための仕事に取り掛かる。色々なところからデータを収集し、新規会員を獲得するためにどこで宣伝を打つかを見極めて行く。彼女は受付としてあり余った時間を有効活用し、倶楽部の拡充に一役買っているのだった。
 そうしていつも通りの仕事をこなしているうちに、その入会希望者はやって来た。
 打ち出した書類をわかりやすくまとめていたしずなは、にっこりと笑ってその入会希望者を出迎える。
「いらっしゃいませ。ご予約の方ですね。『箱詰倶楽部』へようこそお越しくださいました」
 そして今日もまた、箱詰めにされに会員がやってくる。


~箱詰倶楽部での仕事 終わり~

箱詰倶楽部での仕事 まとめ

箱詰倶楽部の受付嬢の話です。
続きを読むからどうぞ。

多重詰め&保管プレイ 1

 千城野チカ。それが私の名前だ。
 昔からちーちゃんだの、ちぃちゃんだの、ちびちゃんだの言われ続けたせいか、私の身長は18歳を超えた今になっても140センチに届いていない。口さがない大学の友人には「合法ロリ」と言われたこともある。
 別に子供体型ではないつもりだし、胸とて人並みにはある。けど、やっぱり周りからは子供にしか見えないせいで、自動車免許すら取れない。法律的には取れるけど、強いて必要でなかったということと、いちいち確認されたりすることがめんどくさそうだったから、結局取っていないというわけ。
 この体に苦労した覚えはあっても、有利に働いたことなんてなかった。
 そんな私は、いまは『箱詰倶楽部』という場所でこの小さな体を生かし、新箱詰プレイのモニターとして働いている。


 いつもの週末、私は箱詰倶楽部の建物に行き、最上階の社長室に通されていた。
 そこでは一企業の社長とは思えない軽い態度で、社長さんが私を歓迎してくれた。
「やっほー、ちぃちゃん。今日も元気にちっちゃいわねー」
 どんでもなく失礼なことをさらっという人だけど、別にそれが嫌に感じなかった。この人はいつもこうだし、この倶楽部においては、『小さい』というのは最大の褒め言葉だからだ。以前、この倶楽部における最高身長を誇る技術部主任の技技名さんには本気で「羨ましい」と言われたし。
 だから私は特に気にすることなく、社長さんに挨拶して、薦められた席に座る。
「今回はどんな内容になるんですか?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました! これを見て!」
 社長さんが楽しそうに机の上に広げたのは、今回のモニターの内容を書いた計画書だった。
 その内容に目を通し、私は思わず社長さんに聞いていた。
「あ、あの……正気、なんですか?」
「うん! 本気だよ!」
 その答えが返ってくるのはわかりきっていたことなんだけど、冗談だと言ってほしかった。
「ちぃちゃんが無理って言うなら、別の誰かに頼むことになると思うんだけど……」
 私はため息を吐きながら、平静を装って答える。
「もちろん、やります。じゃないと生活できないですし……」
 元は客として箱詰倶楽部にやってきていた私だけど、いつしか箱詰倶楽部が天職であることに気づいて、すっかりこっちに生活の主体を置いてしまっている。モニターすることでお金を得ているのだから、断るなんて選択肢あるわけがないのだ。
 社長さんにまんまとはめられたような気はする。もともと私が箱詰倶楽部のことを知ったのだって、あまりにも作為的といえば作為的だった。最初から新拘束プレイのモニターをさせるために引き込んだのではないかと思うくらい、この社長さんの言動は怪しかった。
 そんな風に思い、うろんげに社長さんを見つめながらも、私はモニターで得られる快感への期待であそこが湿り気を帯びるのを感じていた。

多重詰め&保管プレイ 2

 社長に連れられて向かった先は、技技名さんの待つ特殊技術研究開発室だった。
 そこでは、いつものように技技名さんがなにやらよくわからない機械を前にして、細かな操作をしているところだった。私たちがやってきたことに気づくと、楽しげな笑顔を浮かべて近づいてくる。
「やあ! 社長にチカじゃないか! 今日も小さくて何よりだね!」
 技技名さんは私から見ると巨人なので、目の前に立たれると首が痛くなる。
「どうも……っ、わ、わっ!?」
 いきなり脇の下に手を入れられて、高く持ち上げられた。技技名さんにとってはいつもと変わらない高さでも、私にとっては台に乗ってようやくという感じの高さだ。
「おーっ。相変わらず小さくて軽くて可愛いね! さすがチカ!」
 なにがさすがなんだろうか。私はつい、技技名さんを睨んでしまった。
「……技技名さん、おろしてください」
「ああ、ごめんごめん」
 幸い、技技名さんはすぐに私を下におろしてくれた。まったく、大柄な体に似合ってというかなんというか、豪快な人なんだから。私と技技名さんのやりとりを楽しげに眺めていた社長が、私たちに向けていう。
「申し訳ないけど、さっそくはじめてもらってもいいかしら?」
 社長の指示に、技技名さんが頷く。
「オーケー。任せといてよ! じゃあチカ。準備をお願いしていいかな?」
「わかりました。……準備はいつもと同じでいいですか?」
「うん! 今日は特に特別なものは……あ! ちょっと待って!」
 技技名さんはそういうと、机の引き出しの中から小物を取り出してきた。
 それはちょうどバイブのような大きさのものだった。まあ、たぶんこれまでの経験上、新しいバイブなんだろうけど。
「これ……バイブ、なんですか?」
「うん! そうだよ!」
 あっけらかんとした物言いはこの倶楽部独特の雰囲気の一つなんだけど、それにしても、もう少し慎みがあってもいいんじゃないかと思う。
 技技名さんはそのバイブを私に見せつけながら得意げに言う。
「それもただのバイブじゃないんだから! 自立型で長さをある程度自分で調節するんだ。装着したらその人に合わせて変化するようになってるから、微調整の必要もないしね! 詳しい説明は省くけど、電池切れの心配もいらないよ!」
「へえ……」
「箱詰めのアクセントとして用意したものなんだけど、今回の試験にも使えるからね! というわけでこれも使って!」
 新型バイブと一緒にローションの瓶を手渡される。つまり、これをあそこに入れろということだろう。
「……わかりました」
 テスターとしては従うしかない。人の前で裸になるだけでも恥ずかしいのに、こんなのを入れろって、なんともひどい話だとは思うけど……仕方ない。
 私はいったんバイブとローションを机の上において、ニコニコと笑顔で私を見ている社長と技技名さんの前で、服を脱ぎ始めた。

多重詰め&保管プレイ 3

 元々裸にならないといけないことはわかっていたから、脱ぎやすい服装を選んでいた。だから、そんなに時間もかかることなく、裸になることができた。机の上においておいたバイブとローションの瓶を手に取る。
 そして、私は自分をじっと見つめている社長と技技名さんを見た。この部屋には二人以外にも人がいるが、その人たちは私に気を使ってくれているのか、それぞれの準備に動いていてこちらを見ていない。堂々と見ているのは社長と技技名さんの二人だけだ。
「……あの、できれば横を向いていてもらえると嬉しいんですけど」
 せめてもの抵抗。それが無駄なのはよくわかっていた。
「技術班主任としては、挿入のところから見せてもらわないとね!」
「社長命令♪」
 二人とも私が断れない言葉で私にそれを迫ってくる。いや、わかってたんだけど、わかってたんだけど……。
 いくらもう何度も似たようなことはあったとはいえ、慣れるようなものでもなく、私は血が顔に集まるのを感じながら、ローションの瓶の蓋を回して開けた。その中からローションを手の平にたらし、その上にバイブを乗せてローションをまぶしていく。
「……これ、上下とかありますか?」
 技技名さんに確認してみると、技技名さんは首を横に振った。
「大丈夫だよ! どっちから入れても動くようになっているから!」
 技技名さんはさらっというけど、それって結構すごいことなんじゃないだろうか。さすが箱詰め倶楽部最高の天才といわれる人なだけはある。
 私は注目されていることを意識しながら、そのバイブを自分のそこに近づけていった。それを挿入する関係上、どうしても足を開き気味にしなければならず、余計に恥ずかしいことになっていた。それとあそこがぴたりと合って、その器具とローションの冷たさに体が震える。
「……ぅ」
 ローションのおかげで、それはずぶり、と私の中に入ってきた。ある程度入れていくと、急にそのバイブそのものが動き出して、勝手に私の中に潜り込んでくる。
「ひゃっ……! こ、これ、抜けるんですよね?」
「もちろんさ! 心配しなくて大丈夫! いざとなれば分解して取り出すこともできるからね!」
 継ぎ目なんてほとんどなかったように見えたけど、本当なんだろうか。まあ、技技名さんを信用するしかない。
 私の中にバイブが潜り込み、程よい大きさに体の中で変形しているのが感覚でわかる。
「……ふぁ……っ。あっ……」
「ふむふむ。なかなかいいね! 思った通りの動作だ」
「ねえ、技技名。今度あたし用にもそれ作っておいてくれる?」
 社長がそんなことを技技名さんに頼んでいる間に、準備を手伝ってくれる従業員の人たちが、私を取り囲んで本格的な準備を始めていた。
「今回はかなり厳重な箱詰めになるからね。それ相応の準備をするよ」
 技技名さんがそういって、周りの人たちに指示を出す。

多重詰め&保管プレイ 4

 長時間箱詰めにされるときには、いつもされることがある。
 それが、膀胱へのカテーテル挿入と、肛門への注入排出用プラグの挿入、さらに胃に流動食を直接流し込むための管の挿入だ。
 私は体を大の字に広げ、準備の邪魔をしないようにする。正直この格好をするのも恥ずかしいのだけど、この人たちは社長たちと違って事務的だからまだ救われる。
「カテーテルを挿入します」
 パックにつながっているカテーテルが、私の尿道に入ってくる。管にそれなりの仕掛けがあって、激痛というほどではないにせよ、痛みが走って顔が歪んでしまう。カテーテルが奥まで入ると、先端部分がかすかに膨らんでそう簡単には抜けなくなった。たまっていた分の尿が早速管を伝って流れだし、自分ではどうしようもないこととはいえ、おもらししているような感覚に赤面してしまう。
 次に肛門に冷たいプラグが押し込まれる。それは単一電池を大きくしたような形をしていて、円筒の中央部分がくぼんでいた。ちょうど括約筋にはめ込まれる形状という話は聞いたことがあるけど、詳しくはわからない。それが挿入されると、常に何かを排泄しているような感覚になって、非常に気持ち悪い。そのプラグは別の管を接続することによって、流入と排出ができるという優れものだ。
 さらに、普段はこれだけのことが多いのだけど、今回は鼻からチューブも入れるみたいだった。流動食を流し込むためのそれを入れられるということは、相当過酷なことを長時間にわたって行うと言っているに等しい。実験の概要は教えられたけど、ここまでのことをするとはちょっと思っていなかった。
 体の色んなところに管を挿入された私は、徐々に異常な状態に仕上げられていた。体が勝手に熱を帯びて、呼吸が自然と荒くなる。じっとりと肌に汗をかき、少し頭がぼーっとしてくる。これから来るであろう究極の感覚に体の期待が高まっているのが嫌でもわかる。精神的にはそこまででもないはずなのに、体が勝手にそうなってしまうのだ。そんな風に開発されてしまっている。
 そんな私の元に、黒のボディスーツが運ばれてきた。首から下を完全に覆うタイプの全身スーツだ。スーツといっても革のツナギのような堅いものじゃなくて、どちらかというとゴムのような収縮性に富んだこれまた特別性のものである。それを足から履いていく。背中の部分が大きく開くようになっていて、例えるならセミの脱皮を逆回しにしていくように身に着けていく。
 そのスーツには股間部分に穴が開いていて、そこから尿道と肛門に入っている管は外に出る。スーツは首回りまであって、ジッパーを上まで引き上げると、首回りまで完全にスーツに覆われる形になった。
 着てすぐはまだかすかに余裕があるのだけど、スーツが体温になじむにしたがって、徐々に体全体が締め付けられていった。このスーツは着た人に合わせて若干サイズが変わる。それは私の体にぴったりフィットするということで、十分もすれば私の体は一部の隙もなくスーツと一体化していた。肌の上にもう一つ肌が出来たような、そんな感覚だった。技技名さん曰く、このスーツはとても優れた材質で出来ていて、効率よく発汗を促して汗を吸収し、垢などの老廃物を分解してくれる。
 つまり、このスーツを着ているだけでシェイプアップが行われ、キレイになれるそうなのだ。社長はこのスーツを着て行うエクササイズ教室の企画も視野に入れているとか……詳しいことは知らないけど。
 頭以外のすべてがスーツに覆われた私のところに、今度はその唯一外に出ている頭まで覆うための道具が持ってこられた。

多重詰め&保管プレイ 5

 それは、顔の前面を覆うタイプの仮面だった。初めて使うタイプだ。
 私の髪は水泳をする時のように小さくまとめられて、キャップの中に収納される。このキャップは頭部用のもので、髪が蒸れることを防いでくれるらしい。まあ、限度はあるらしいけど、このキャップを付けているときとそうでないときでは終わった後の感覚が全然違う。そういえば、一度実験に髪の毛が邪魔なら刈り上げた方がいいのか社長に聞いたことがあったけど、社長からはそこまでしなくていいと笑われてしまった。曰く、客が全員坊主頭でもないかぎり、テスターが坊主頭になるのは逆にダメなことらしい。言われてみればそうだ。
 さておき、仮面は表面はのっぺりとしたものだったけど、内側は人の顔の形にくぼんでいた。たぶん私のそれに合わせているんだろう。流動食の管を通すと思われる穴や、空気を通すための仕組みもあった。
「今回は全身を強く圧迫することになるからね。眼球に負担がいかないようにするんだ」
 技技名さんがそう説明してくれる。いずれにせよ、この仮面をかぶってしまえば、外の様子は見えなくなる。自分が何をされるのかもわからなくなるということだ。
 それは信用とかそういう問題じゃなく、単純につまらないかもしれないなと思った。
 そんな私の考えを読んだのか、技技名さんがにやりと笑って仮面の内側、目が接するであろう場所を示した。
「実は、この仮面の内側には若干の余裕が生まれるようになっていて……いや、試した方が早いかな」
 技技名さんはそう言ってその仮面を私の顔にかぶせた。視界が真っ暗になる。すぐにそれは後頭部に回したベルトかなにかで固定された。技技名さんの言っていた若干の余裕がなんなのかわかった。ほとんど顔にぴったりくっつくようになっているのだけど、目のあたりに若干の余裕があって、何も見えないながら、まぶたを開けることができる。
 その仮面の内側に、映像が映し出される。実験室の様子らしく、社長や技技名さん、他の人たちに、中央で立っている全身スーツを身に着けている人……というか、私がいた。
 こんな小さな仮面の内側に画面を仕込むなんて、さすがは技技名さんというかなんというか。
「これなら退屈しなくて済むよね。まあ、さすがに距離が近すぎるから、準備している間くらいにしておかないといけないけど」
 映像の中で、技技名さんが私の頭をその大きな手で撫でる。私の頭の感覚でもそれは伝わってきた。
「呼吸の問題はない?」
 仮面は額から顎まで全部覆っているから、もう口を開いてしゃべることはできない。私は何度か呼吸をしてみて、ちゃんと呼吸できることを確かめる。
「大丈夫そうだね。じゃあ続きをやろうか」
 そういって技技名さんが合図をすると、助手さんたちが私の頭をテープで巻き始めた。黒い特殊なテープでぐるぐる巻きに、一部の隙もなく覆われていくのが映像でも、体の感覚でもわかる。
 やがて私は四つの管が垂れている黒い人形になっていた。肌色なんて一つも見えない。
「よし、これで下準備は終わりだね」
 耳も覆われているから、技技名さんの声は少し遠くに聞こえた。
 技技名さんのその言葉は、まだ実験は始まってすらいないということを示していた。

多重詰め&保管プレイ 6

「持ち上げるよー」
 私は技技名さんの腕に抱えあげられて、机の上に運ばれる。
 映像が見えているおかげで、身構えられたのがよかった。変に恐怖しないでいいからだ。
 私を机の上に置いた技技名さんは、満足そうに笑う。
「やっぱりチカはテスターとしては最高だね! 軽いし、ちっさいし、可愛いし」
 最後は必要な要素なのだろうか。あんまりまっすぐ言われるので、きっと顔が見えていれば赤面していただろう。
 社長も同意するように頷いていた。
「さて、じゃあチカ。横になっていつもの小さな姿勢をとってくれる?」
 その技技名さんの指示に従い、私はいつも箱詰めにされるときの体勢を取った。いわゆる体育座りを基本とした可能な限り小さくなる姿勢だ。もともと超小柄な私がこの姿勢を取ると、本当にコンパクトになってしまう。
 私の体から出ている管を、技技名さんは一つにまとめて私の体の下に向けていったん流す。それによってこれから管を通す箇所を一か所だけに絞ることができるということなのだろう。
 小さく丸まっている私の体を、今度はラップのようなものでぐるぐる巻きにし始めた。ただでさえスーツ同士の摩擦で動きにくいところを、さらに上から覆われてますます動けなくなっていく。私は丸まったダンゴ虫並みに動けなくなっていた。
 技技名さんが次に持ってきたのは、ゴムのような材質で出来た袋だった。口のところがきゅっと閉まるようになっているみたいだ。口を大きく広げて、頭の方からかぶせてくる。風船の中に入れられているみたいな感じだった。かなり大きさは考えて作ったのか、かなりぴちぴちになっている。管のところで口がしっかりと閉まっているのは、袋の中から空気を抜くためだったみたいだ。細めの管を用いた吸引器を使って、袋の中の空気が抜かれていく。
 そうするとゴムのような袋が私の体にぴったりと密着して、私の全身に圧迫感を与えてくるようになる。もう何重にも覆われた私の体は、すっかり中に人間が入っているのか怪しく感じられる域になってきた。
 机の上に、小さな箱が用意される。どれくらいの大きさかは正確なところはわからないけど、技技名さんが持つと普通の手提げ袋くらいの大きさに感じられる程度には小さいものだ。
 その中に私は仰向けに収められる。股間のあたりから外に伸びている管の集まりは、ちょうどお尻が当たる面の箱にもそれを通す仕掛けがあって、そこから外に出せるようになっていた。
 ほとんど余裕のない箱詰めだから、普通はこれ以上なにもできない。けれど、今回はそれにさらに咥えられるものがあった。
 技技名さんが私の位置を微調整して、わずかな箱の隙間に液体状の何かを注いでいく。どろどろしたそれは、蝋のようで、ゼリーのようで、コンクリートのような、不思議な液体だった。私の体がそれに浸され、徐々に埋まっていく。色は透明だから、完全に箱いっぱいに満たされてもまだ私の姿は見えていた。
 水面張力いっぱいのところで、注入は終わり、その上から蓋が被さる。
 一面から管が伸びている小さな箱。その中に自分が入っているなんて、こうして実際に詰められている感触を全身で感じながらも、信じられないことだった。

多重詰め&保管プレイ 7

 液体は蝋やコンクリートと同じで、時間が経てば固まるようにできていた。
 だから、蓋が閉められて少しすれば、私は本当に微動だにできなくなっていた。どれほど力を込めても、筋肉がぴくりと動くだけで体の自由はまったくない。完全に覆われてしまったから、音もほとんどしない。かすかに伝わってくる振動を捕える体の感覚と、目の前に見えている映像がいまの私のすべてだった。
 映像では、さらに梱包が続いている。いまでさえ、なにかトラブルが起きたら私は助け出される前に死んでしまうだろう。その上にまだ梱包するというのは、かなりリスクのあることだと感じた。これ以上に梱包されることを望む人はいるんだろうか。
 そう考えている間にも、次の梱包が用意される。蓋を閉めた箱を、ガムテープできっちり閉じていく。そこまでしなくてもいいんじゃないかと思うくらい、十字にテープが巻かれて、きっちり横向きにもぐるりとテープが渡った。
 次にもってこられたのは、ジュラルミンケースだ。きっちり箱が入る程度の大きさで、管を通すための改造がされている。
 その中にぴったりおさめられ、ジュラルミンケースの蓋が閉じられる。ダイヤルロックがかかるようになっていたのか、技技名さんがそのダイヤルをくるくる回し、さらにカギまで使って念入りに閉める。このジュラルミンケースを盗もうとする人なんていないだろうに、カギまでしめるのはあくまで雰囲気づくりという奴なんだろう。
 ジュラルミンケースが終わったら、今度は一回り大きなスーツケースが持ってこられた。それには下部に機械が取り付けられていて、上部だけがぽっかり空いたスペースになっている。
 そのスペースにジュラルミンケースがおさめられて、ジュラルミンケースから伸びていた管はスーツケースの下部にある機械に接続された。おそらく空気、流動食、排泄管理まですべてする機械なんだろう。後々知ったことだけど、その機械には私の体内に埋め込まれたバイブの充電機能まであった。
 スーツケースの蓋が閉められる。こうなると、もう管も外に出てなくて、外からは完全にただのスーツケースのように見えた。少なくとも、こんな中に人が入っているとは思わないに違いない。
 スーツケースが立てられて、私は頭が上に、お尻が下にちゃんとなっているのを体の感覚で感じる。さすがに機械やら何やらが入ると重いのか、二人掛かりで床にスーツケースが降ろされた。映像を映しているカメラが取り外され、ハンディカムのように移動するスーツケース……私について動き始める。
 どこに行くのかと思えば、社長室に運び込まれた。そこに置いてある貴重品を入れる金庫を、社長がダイヤルとカギを使って開ける。金庫はちょっと大きめのもので、かなり大きな箱も入りそうだ。
 その中に私の入ったスーツケースが、立てられた状態でしまわれる。金庫が閉じられ、社長が無造作にダイヤルを回す。
 そして、満足げに頷いた後、何やら机の方に行って、何か作業をしていた。待つというほどのこともなく、社長が一枚の紙をもってカメラの前にやってくる。カメラの前に掲げられた紙には、私宛のメッセージが書かれていた。
『お疲れさま。これでしばらく放置するわね。カメラの映像は切るわ。じっくり楽しんでね♪』
 文字を最後まで私が読んだのを見計らったように、目の前の映像が消え、私は完全な闇の中に取り残された。

多重詰め&保管プレイ 8

 目の前の映像が消えて闇の中に取り残されると、自分の状況がすごいことになっていることに改めて気づかされる。
 指先一つ、どころか、かすかな身じろぎさえできない完全な拘束。それも、その上に箱の中に四重にも閉じ込められて、三重のカギが私を外から出すのさえ妨げている。これ以上ない、多重拘束と梱包プレイ。
 私は小さく呼吸を繰り返しつつ、自分の心臓の音がやけに大きく感じられることに気づいた。体を限界まで縮めているのだから当然なんだけど、その心拍数の速さが自分の興奮具合を示しているように感じられて、ますます興奮が高まっていく。
 その時、体の中で急に振動が生じ始めて、私は思わず声をあげてしまうほど驚いた。もちろん声をあげたといっても、うめき声にしかならなかったけど。
(そ、そうだ……バイブが……っ)
 忘れていたつもりはないけど、他のことに気を取られていてすっかり意識の外にあった。それが急に動き出したものだから、私は面白いほど動揺してしまった。
 体中に振動が伝わってくるみたいだった。体が自由ならびくん、と震えていてもおかしくない。
 けど、完全に拘束された私は、指先一つ動かせないまま、ただ高まっていく快感に耐えるしかなかった。
「っ……んっ……んんっ、あっ……ぁぁ……っ、うぅ……ぅっ、あぅ……っ、むぁ……ぁぁ……」
 振動のパターンは時間ごとに変化し、徐々に強くなったかと思えば急に消え、消えたと思ったら突然動きだし、とにかく慣れさせてくれない。私はそれが動き続ける間中、不自由な体で悶え続けなければならなかった。
 呼吸が乱れて、新鮮な空気を求めて深く、速い呼吸を繰り返すけど、供給される空気の量はあらかじめ決まっている量から変化しないらしく、私は徐々に酸欠状態に陥っていた。
(……これ、このまま酸欠になったら……どうなるんだろ……)
 死んでしまうのだろうか。
 そんな風に考えたけど、いままでだって箱詰めプレイの間に酸欠で気絶したことはあった。それを踏まえて考えれば、きっと大丈夫だと確信できる。
 だから、私は安心して意識を手放すのだった。


 意識が戻ったのは目に刺激を感じたからだった。
 目の前の画面に再び映像が映し出されていた。光量はずいぶん絞っていたみたいだけど、完全な暗闇に慣れた目にはそれでもまぶしかった。
 私がぼんやりする頭でその映像に意識を集中すると、その映像は社長室を映し出しているものだとわかった。
 机に向かって仕事をしている社長と、私の入っている金庫が移るようなカメラ位置だ。何も知らない人が見たら、ただ社長が仕事をしているだけの単調な映像なのだろうけど、私からすれば、そんな何の変哲もないはずの場所で箱詰めにされて放置されているのだという映像だ。なんだか、むず痒いような想いだった。
 そうしているうちに仕事が一区切りついたのか、社長が体を伸ばして大きく伸びをする。その他愛ない行動も、私からするとすごくうらやましい行動に移った。
 社長は何気なくカメラを見上げると、にっこりと笑った。私が見ていることに気づいたのだろうか? いや、そもそもカメラの映像を入れるか切るかは向こうしだいなんだから、見えているつもりでやっているだろう。
 社長はいたずら好きの子供みたいな笑顔のまま、机の上においてあったリモコンを手に取る。
 なんとなく、何をするつもりなのか察した。
 予想通り、社長はそのリモコンを私の入っている金庫に向けるのだった。
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