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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

多重詰め&保管プレイ 1

 千城野チカ。それが私の名前だ。
 昔からちーちゃんだの、ちぃちゃんだの、ちびちゃんだの言われ続けたせいか、私の身長は18歳を超えた今になっても140センチに届いていない。口さがない大学の友人には「合法ロリ」と言われたこともある。
 別に子供体型ではないつもりだし、胸とて人並みにはある。けど、やっぱり周りからは子供にしか見えないせいで、自動車免許すら取れない。法律的には取れるけど、強いて必要でなかったということと、いちいち確認されたりすることがめんどくさそうだったから、結局取っていないというわけ。
 この体に苦労した覚えはあっても、有利に働いたことなんてなかった。
 そんな私は、いまは『箱詰倶楽部』という場所でこの小さな体を生かし、新箱詰プレイのモニターとして働いている。


 いつもの週末、私は箱詰倶楽部の建物に行き、最上階の社長室に通されていた。
 そこでは一企業の社長とは思えない軽い態度で、社長さんが私を歓迎してくれた。
「やっほー、ちぃちゃん。今日も元気にちっちゃいわねー」
 どんでもなく失礼なことをさらっという人だけど、別にそれが嫌に感じなかった。この人はいつもこうだし、この倶楽部においては、『小さい』というのは最大の褒め言葉だからだ。以前、この倶楽部における最高身長を誇る技術部主任の技技名さんには本気で「羨ましい」と言われたし。
 だから私は特に気にすることなく、社長さんに挨拶して、薦められた席に座る。
「今回はどんな内容になるんですか?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました! これを見て!」
 社長さんが楽しそうに机の上に広げたのは、今回のモニターの内容を書いた計画書だった。
 その内容に目を通し、私は思わず社長さんに聞いていた。
「あ、あの……正気、なんですか?」
「うん! 本気だよ!」
 その答えが返ってくるのはわかりきっていたことなんだけど、冗談だと言ってほしかった。
「ちぃちゃんが無理って言うなら、別の誰かに頼むことになると思うんだけど……」
 私はため息を吐きながら、平静を装って答える。
「もちろん、やります。じゃないと生活できないですし……」
 元は客として箱詰倶楽部にやってきていた私だけど、いつしか箱詰倶楽部が天職であることに気づいて、すっかりこっちに生活の主体を置いてしまっている。モニターすることでお金を得ているのだから、断るなんて選択肢あるわけがないのだ。
 社長さんにまんまとはめられたような気はする。もともと私が箱詰倶楽部のことを知ったのだって、あまりにも作為的といえば作為的だった。最初から新拘束プレイのモニターをさせるために引き込んだのではないかと思うくらい、この社長さんの言動は怪しかった。
 そんな風に思い、うろんげに社長さんを見つめながらも、私はモニターで得られる快感への期待であそこが湿り気を帯びるのを感じていた。

多重詰め&保管プレイ 2

 社長に連れられて向かった先は、技技名さんの待つ特殊技術研究開発室だった。
 そこでは、いつものように技技名さんがなにやらよくわからない機械を前にして、細かな操作をしているところだった。私たちがやってきたことに気づくと、楽しげな笑顔を浮かべて近づいてくる。
「やあ! 社長にチカじゃないか! 今日も小さくて何よりだね!」
 技技名さんは私から見ると巨人なので、目の前に立たれると首が痛くなる。
「どうも……っ、わ、わっ!?」
 いきなり脇の下に手を入れられて、高く持ち上げられた。技技名さんにとってはいつもと変わらない高さでも、私にとっては台に乗ってようやくという感じの高さだ。
「おーっ。相変わらず小さくて軽くて可愛いね! さすがチカ!」
 なにがさすがなんだろうか。私はつい、技技名さんを睨んでしまった。
「……技技名さん、おろしてください」
「ああ、ごめんごめん」
 幸い、技技名さんはすぐに私を下におろしてくれた。まったく、大柄な体に似合ってというかなんというか、豪快な人なんだから。私と技技名さんのやりとりを楽しげに眺めていた社長が、私たちに向けていう。
「申し訳ないけど、さっそくはじめてもらってもいいかしら?」
 社長の指示に、技技名さんが頷く。
「オーケー。任せといてよ! じゃあチカ。準備をお願いしていいかな?」
「わかりました。……準備はいつもと同じでいいですか?」
「うん! 今日は特に特別なものは……あ! ちょっと待って!」
 技技名さんはそういうと、机の引き出しの中から小物を取り出してきた。
 それはちょうどバイブのような大きさのものだった。まあ、たぶんこれまでの経験上、新しいバイブなんだろうけど。
「これ……バイブ、なんですか?」
「うん! そうだよ!」
 あっけらかんとした物言いはこの倶楽部独特の雰囲気の一つなんだけど、それにしても、もう少し慎みがあってもいいんじゃないかと思う。
 技技名さんはそのバイブを私に見せつけながら得意げに言う。
「それもただのバイブじゃないんだから! 自立型で長さをある程度自分で調節するんだ。装着したらその人に合わせて変化するようになってるから、微調整の必要もないしね! 詳しい説明は省くけど、電池切れの心配もいらないよ!」
「へえ……」
「箱詰めのアクセントとして用意したものなんだけど、今回の試験にも使えるからね! というわけでこれも使って!」
 新型バイブと一緒にローションの瓶を手渡される。つまり、これをあそこに入れろということだろう。
「……わかりました」
 テスターとしては従うしかない。人の前で裸になるだけでも恥ずかしいのに、こんなのを入れろって、なんともひどい話だとは思うけど……仕方ない。
 私はいったんバイブとローションを机の上において、ニコニコと笑顔で私を見ている社長と技技名さんの前で、服を脱ぎ始めた。

多重詰め&保管プレイ 3

 元々裸にならないといけないことはわかっていたから、脱ぎやすい服装を選んでいた。だから、そんなに時間もかかることなく、裸になることができた。机の上においておいたバイブとローションの瓶を手に取る。
 そして、私は自分をじっと見つめている社長と技技名さんを見た。この部屋には二人以外にも人がいるが、その人たちは私に気を使ってくれているのか、それぞれの準備に動いていてこちらを見ていない。堂々と見ているのは社長と技技名さんの二人だけだ。
「……あの、できれば横を向いていてもらえると嬉しいんですけど」
 せめてもの抵抗。それが無駄なのはよくわかっていた。
「技術班主任としては、挿入のところから見せてもらわないとね!」
「社長命令♪」
 二人とも私が断れない言葉で私にそれを迫ってくる。いや、わかってたんだけど、わかってたんだけど……。
 いくらもう何度も似たようなことはあったとはいえ、慣れるようなものでもなく、私は血が顔に集まるのを感じながら、ローションの瓶の蓋を回して開けた。その中からローションを手の平にたらし、その上にバイブを乗せてローションをまぶしていく。
「……これ、上下とかありますか?」
 技技名さんに確認してみると、技技名さんは首を横に振った。
「大丈夫だよ! どっちから入れても動くようになっているから!」
 技技名さんはさらっというけど、それって結構すごいことなんじゃないだろうか。さすが箱詰め倶楽部最高の天才といわれる人なだけはある。
 私は注目されていることを意識しながら、そのバイブを自分のそこに近づけていった。それを挿入する関係上、どうしても足を開き気味にしなければならず、余計に恥ずかしいことになっていた。それとあそこがぴたりと合って、その器具とローションの冷たさに体が震える。
「……ぅ」
 ローションのおかげで、それはずぶり、と私の中に入ってきた。ある程度入れていくと、急にそのバイブそのものが動き出して、勝手に私の中に潜り込んでくる。
「ひゃっ……! こ、これ、抜けるんですよね?」
「もちろんさ! 心配しなくて大丈夫! いざとなれば分解して取り出すこともできるからね!」
 継ぎ目なんてほとんどなかったように見えたけど、本当なんだろうか。まあ、技技名さんを信用するしかない。
 私の中にバイブが潜り込み、程よい大きさに体の中で変形しているのが感覚でわかる。
「……ふぁ……っ。あっ……」
「ふむふむ。なかなかいいね! 思った通りの動作だ」
「ねえ、技技名。今度あたし用にもそれ作っておいてくれる?」
 社長がそんなことを技技名さんに頼んでいる間に、準備を手伝ってくれる従業員の人たちが、私を取り囲んで本格的な準備を始めていた。
「今回はかなり厳重な箱詰めになるからね。それ相応の準備をするよ」
 技技名さんがそういって、周りの人たちに指示を出す。

多重詰め&保管プレイ 4

 長時間箱詰めにされるときには、いつもされることがある。
 それが、膀胱へのカテーテル挿入と、肛門への注入排出用プラグの挿入、さらに胃に流動食を直接流し込むための管の挿入だ。
 私は体を大の字に広げ、準備の邪魔をしないようにする。正直この格好をするのも恥ずかしいのだけど、この人たちは社長たちと違って事務的だからまだ救われる。
「カテーテルを挿入します」
 パックにつながっているカテーテルが、私の尿道に入ってくる。管にそれなりの仕掛けがあって、激痛というほどではないにせよ、痛みが走って顔が歪んでしまう。カテーテルが奥まで入ると、先端部分がかすかに膨らんでそう簡単には抜けなくなった。たまっていた分の尿が早速管を伝って流れだし、自分ではどうしようもないこととはいえ、おもらししているような感覚に赤面してしまう。
 次に肛門に冷たいプラグが押し込まれる。それは単一電池を大きくしたような形をしていて、円筒の中央部分がくぼんでいた。ちょうど括約筋にはめ込まれる形状という話は聞いたことがあるけど、詳しくはわからない。それが挿入されると、常に何かを排泄しているような感覚になって、非常に気持ち悪い。そのプラグは別の管を接続することによって、流入と排出ができるという優れものだ。
 さらに、普段はこれだけのことが多いのだけど、今回は鼻からチューブも入れるみたいだった。流動食を流し込むためのそれを入れられるということは、相当過酷なことを長時間にわたって行うと言っているに等しい。実験の概要は教えられたけど、ここまでのことをするとはちょっと思っていなかった。
 体の色んなところに管を挿入された私は、徐々に異常な状態に仕上げられていた。体が勝手に熱を帯びて、呼吸が自然と荒くなる。じっとりと肌に汗をかき、少し頭がぼーっとしてくる。これから来るであろう究極の感覚に体の期待が高まっているのが嫌でもわかる。精神的にはそこまででもないはずなのに、体が勝手にそうなってしまうのだ。そんな風に開発されてしまっている。
 そんな私の元に、黒のボディスーツが運ばれてきた。首から下を完全に覆うタイプの全身スーツだ。スーツといっても革のツナギのような堅いものじゃなくて、どちらかというとゴムのような収縮性に富んだこれまた特別性のものである。それを足から履いていく。背中の部分が大きく開くようになっていて、例えるならセミの脱皮を逆回しにしていくように身に着けていく。
 そのスーツには股間部分に穴が開いていて、そこから尿道と肛門に入っている管は外に出る。スーツは首回りまであって、ジッパーを上まで引き上げると、首回りまで完全にスーツに覆われる形になった。
 着てすぐはまだかすかに余裕があるのだけど、スーツが体温になじむにしたがって、徐々に体全体が締め付けられていった。このスーツは着た人に合わせて若干サイズが変わる。それは私の体にぴったりフィットするということで、十分もすれば私の体は一部の隙もなくスーツと一体化していた。肌の上にもう一つ肌が出来たような、そんな感覚だった。技技名さん曰く、このスーツはとても優れた材質で出来ていて、効率よく発汗を促して汗を吸収し、垢などの老廃物を分解してくれる。
 つまり、このスーツを着ているだけでシェイプアップが行われ、キレイになれるそうなのだ。社長はこのスーツを着て行うエクササイズ教室の企画も視野に入れているとか……詳しいことは知らないけど。
 頭以外のすべてがスーツに覆われた私のところに、今度はその唯一外に出ている頭まで覆うための道具が持ってこられた。

多重詰め&保管プレイ 5

 それは、顔の前面を覆うタイプの仮面だった。初めて使うタイプだ。
 私の髪は水泳をする時のように小さくまとめられて、キャップの中に収納される。このキャップは頭部用のもので、髪が蒸れることを防いでくれるらしい。まあ、限度はあるらしいけど、このキャップを付けているときとそうでないときでは終わった後の感覚が全然違う。そういえば、一度実験に髪の毛が邪魔なら刈り上げた方がいいのか社長に聞いたことがあったけど、社長からはそこまでしなくていいと笑われてしまった。曰く、客が全員坊主頭でもないかぎり、テスターが坊主頭になるのは逆にダメなことらしい。言われてみればそうだ。
 さておき、仮面は表面はのっぺりとしたものだったけど、内側は人の顔の形にくぼんでいた。たぶん私のそれに合わせているんだろう。流動食の管を通すと思われる穴や、空気を通すための仕組みもあった。
「今回は全身を強く圧迫することになるからね。眼球に負担がいかないようにするんだ」
 技技名さんがそう説明してくれる。いずれにせよ、この仮面をかぶってしまえば、外の様子は見えなくなる。自分が何をされるのかもわからなくなるということだ。
 それは信用とかそういう問題じゃなく、単純につまらないかもしれないなと思った。
 そんな私の考えを読んだのか、技技名さんがにやりと笑って仮面の内側、目が接するであろう場所を示した。
「実は、この仮面の内側には若干の余裕が生まれるようになっていて……いや、試した方が早いかな」
 技技名さんはそう言ってその仮面を私の顔にかぶせた。視界が真っ暗になる。すぐにそれは後頭部に回したベルトかなにかで固定された。技技名さんの言っていた若干の余裕がなんなのかわかった。ほとんど顔にぴったりくっつくようになっているのだけど、目のあたりに若干の余裕があって、何も見えないながら、まぶたを開けることができる。
 その仮面の内側に、映像が映し出される。実験室の様子らしく、社長や技技名さん、他の人たちに、中央で立っている全身スーツを身に着けている人……というか、私がいた。
 こんな小さな仮面の内側に画面を仕込むなんて、さすがは技技名さんというかなんというか。
「これなら退屈しなくて済むよね。まあ、さすがに距離が近すぎるから、準備している間くらいにしておかないといけないけど」
 映像の中で、技技名さんが私の頭をその大きな手で撫でる。私の頭の感覚でもそれは伝わってきた。
「呼吸の問題はない?」
 仮面は額から顎まで全部覆っているから、もう口を開いてしゃべることはできない。私は何度か呼吸をしてみて、ちゃんと呼吸できることを確かめる。
「大丈夫そうだね。じゃあ続きをやろうか」
 そういって技技名さんが合図をすると、助手さんたちが私の頭をテープで巻き始めた。黒い特殊なテープでぐるぐる巻きに、一部の隙もなく覆われていくのが映像でも、体の感覚でもわかる。
 やがて私は四つの管が垂れている黒い人形になっていた。肌色なんて一つも見えない。
「よし、これで下準備は終わりだね」
 耳も覆われているから、技技名さんの声は少し遠くに聞こえた。
 技技名さんのその言葉は、まだ実験は始まってすらいないということを示していた。

多重詰め&保管プレイ 6

「持ち上げるよー」
 私は技技名さんの腕に抱えあげられて、机の上に運ばれる。
 映像が見えているおかげで、身構えられたのがよかった。変に恐怖しないでいいからだ。
 私を机の上に置いた技技名さんは、満足そうに笑う。
「やっぱりチカはテスターとしては最高だね! 軽いし、ちっさいし、可愛いし」
 最後は必要な要素なのだろうか。あんまりまっすぐ言われるので、きっと顔が見えていれば赤面していただろう。
 社長も同意するように頷いていた。
「さて、じゃあチカ。横になっていつもの小さな姿勢をとってくれる?」
 その技技名さんの指示に従い、私はいつも箱詰めにされるときの体勢を取った。いわゆる体育座りを基本とした可能な限り小さくなる姿勢だ。もともと超小柄な私がこの姿勢を取ると、本当にコンパクトになってしまう。
 私の体から出ている管を、技技名さんは一つにまとめて私の体の下に向けていったん流す。それによってこれから管を通す箇所を一か所だけに絞ることができるということなのだろう。
 小さく丸まっている私の体を、今度はラップのようなものでぐるぐる巻きにし始めた。ただでさえスーツ同士の摩擦で動きにくいところを、さらに上から覆われてますます動けなくなっていく。私は丸まったダンゴ虫並みに動けなくなっていた。
 技技名さんが次に持ってきたのは、ゴムのような材質で出来た袋だった。口のところがきゅっと閉まるようになっているみたいだ。口を大きく広げて、頭の方からかぶせてくる。風船の中に入れられているみたいな感じだった。かなり大きさは考えて作ったのか、かなりぴちぴちになっている。管のところで口がしっかりと閉まっているのは、袋の中から空気を抜くためだったみたいだ。細めの管を用いた吸引器を使って、袋の中の空気が抜かれていく。
 そうするとゴムのような袋が私の体にぴったりと密着して、私の全身に圧迫感を与えてくるようになる。もう何重にも覆われた私の体は、すっかり中に人間が入っているのか怪しく感じられる域になってきた。
 机の上に、小さな箱が用意される。どれくらいの大きさかは正確なところはわからないけど、技技名さんが持つと普通の手提げ袋くらいの大きさに感じられる程度には小さいものだ。
 その中に私は仰向けに収められる。股間のあたりから外に伸びている管の集まりは、ちょうどお尻が当たる面の箱にもそれを通す仕掛けがあって、そこから外に出せるようになっていた。
 ほとんど余裕のない箱詰めだから、普通はこれ以上なにもできない。けれど、今回はそれにさらに咥えられるものがあった。
 技技名さんが私の位置を微調整して、わずかな箱の隙間に液体状の何かを注いでいく。どろどろしたそれは、蝋のようで、ゼリーのようで、コンクリートのような、不思議な液体だった。私の体がそれに浸され、徐々に埋まっていく。色は透明だから、完全に箱いっぱいに満たされてもまだ私の姿は見えていた。
 水面張力いっぱいのところで、注入は終わり、その上から蓋が被さる。
 一面から管が伸びている小さな箱。その中に自分が入っているなんて、こうして実際に詰められている感触を全身で感じながらも、信じられないことだった。

多重詰め&保管プレイ 7

 液体は蝋やコンクリートと同じで、時間が経てば固まるようにできていた。
 だから、蓋が閉められて少しすれば、私は本当に微動だにできなくなっていた。どれほど力を込めても、筋肉がぴくりと動くだけで体の自由はまったくない。完全に覆われてしまったから、音もほとんどしない。かすかに伝わってくる振動を捕える体の感覚と、目の前に見えている映像がいまの私のすべてだった。
 映像では、さらに梱包が続いている。いまでさえ、なにかトラブルが起きたら私は助け出される前に死んでしまうだろう。その上にまだ梱包するというのは、かなりリスクのあることだと感じた。これ以上に梱包されることを望む人はいるんだろうか。
 そう考えている間にも、次の梱包が用意される。蓋を閉めた箱を、ガムテープできっちり閉じていく。そこまでしなくてもいいんじゃないかと思うくらい、十字にテープが巻かれて、きっちり横向きにもぐるりとテープが渡った。
 次にもってこられたのは、ジュラルミンケースだ。きっちり箱が入る程度の大きさで、管を通すための改造がされている。
 その中にぴったりおさめられ、ジュラルミンケースの蓋が閉じられる。ダイヤルロックがかかるようになっていたのか、技技名さんがそのダイヤルをくるくる回し、さらにカギまで使って念入りに閉める。このジュラルミンケースを盗もうとする人なんていないだろうに、カギまでしめるのはあくまで雰囲気づくりという奴なんだろう。
 ジュラルミンケースが終わったら、今度は一回り大きなスーツケースが持ってこられた。それには下部に機械が取り付けられていて、上部だけがぽっかり空いたスペースになっている。
 そのスペースにジュラルミンケースがおさめられて、ジュラルミンケースから伸びていた管はスーツケースの下部にある機械に接続された。おそらく空気、流動食、排泄管理まですべてする機械なんだろう。後々知ったことだけど、その機械には私の体内に埋め込まれたバイブの充電機能まであった。
 スーツケースの蓋が閉められる。こうなると、もう管も外に出てなくて、外からは完全にただのスーツケースのように見えた。少なくとも、こんな中に人が入っているとは思わないに違いない。
 スーツケースが立てられて、私は頭が上に、お尻が下にちゃんとなっているのを体の感覚で感じる。さすがに機械やら何やらが入ると重いのか、二人掛かりで床にスーツケースが降ろされた。映像を映しているカメラが取り外され、ハンディカムのように移動するスーツケース……私について動き始める。
 どこに行くのかと思えば、社長室に運び込まれた。そこに置いてある貴重品を入れる金庫を、社長がダイヤルとカギを使って開ける。金庫はちょっと大きめのもので、かなり大きな箱も入りそうだ。
 その中に私の入ったスーツケースが、立てられた状態でしまわれる。金庫が閉じられ、社長が無造作にダイヤルを回す。
 そして、満足げに頷いた後、何やら机の方に行って、何か作業をしていた。待つというほどのこともなく、社長が一枚の紙をもってカメラの前にやってくる。カメラの前に掲げられた紙には、私宛のメッセージが書かれていた。
『お疲れさま。これでしばらく放置するわね。カメラの映像は切るわ。じっくり楽しんでね♪』
 文字を最後まで私が読んだのを見計らったように、目の前の映像が消え、私は完全な闇の中に取り残された。

多重詰め&保管プレイ 8

 目の前の映像が消えて闇の中に取り残されると、自分の状況がすごいことになっていることに改めて気づかされる。
 指先一つ、どころか、かすかな身じろぎさえできない完全な拘束。それも、その上に箱の中に四重にも閉じ込められて、三重のカギが私を外から出すのさえ妨げている。これ以上ない、多重拘束と梱包プレイ。
 私は小さく呼吸を繰り返しつつ、自分の心臓の音がやけに大きく感じられることに気づいた。体を限界まで縮めているのだから当然なんだけど、その心拍数の速さが自分の興奮具合を示しているように感じられて、ますます興奮が高まっていく。
 その時、体の中で急に振動が生じ始めて、私は思わず声をあげてしまうほど驚いた。もちろん声をあげたといっても、うめき声にしかならなかったけど。
(そ、そうだ……バイブが……っ)
 忘れていたつもりはないけど、他のことに気を取られていてすっかり意識の外にあった。それが急に動き出したものだから、私は面白いほど動揺してしまった。
 体中に振動が伝わってくるみたいだった。体が自由ならびくん、と震えていてもおかしくない。
 けど、完全に拘束された私は、指先一つ動かせないまま、ただ高まっていく快感に耐えるしかなかった。
「っ……んっ……んんっ、あっ……ぁぁ……っ、うぅ……ぅっ、あぅ……っ、むぁ……ぁぁ……」
 振動のパターンは時間ごとに変化し、徐々に強くなったかと思えば急に消え、消えたと思ったら突然動きだし、とにかく慣れさせてくれない。私はそれが動き続ける間中、不自由な体で悶え続けなければならなかった。
 呼吸が乱れて、新鮮な空気を求めて深く、速い呼吸を繰り返すけど、供給される空気の量はあらかじめ決まっている量から変化しないらしく、私は徐々に酸欠状態に陥っていた。
(……これ、このまま酸欠になったら……どうなるんだろ……)
 死んでしまうのだろうか。
 そんな風に考えたけど、いままでだって箱詰めプレイの間に酸欠で気絶したことはあった。それを踏まえて考えれば、きっと大丈夫だと確信できる。
 だから、私は安心して意識を手放すのだった。


 意識が戻ったのは目に刺激を感じたからだった。
 目の前の画面に再び映像が映し出されていた。光量はずいぶん絞っていたみたいだけど、完全な暗闇に慣れた目にはそれでもまぶしかった。
 私がぼんやりする頭でその映像に意識を集中すると、その映像は社長室を映し出しているものだとわかった。
 机に向かって仕事をしている社長と、私の入っている金庫が移るようなカメラ位置だ。何も知らない人が見たら、ただ社長が仕事をしているだけの単調な映像なのだろうけど、私からすれば、そんな何の変哲もないはずの場所で箱詰めにされて放置されているのだという映像だ。なんだか、むず痒いような想いだった。
 そうしているうちに仕事が一区切りついたのか、社長が体を伸ばして大きく伸びをする。その他愛ない行動も、私からするとすごくうらやましい行動に移った。
 社長は何気なくカメラを見上げると、にっこりと笑った。私が見ていることに気づいたのだろうか? いや、そもそもカメラの映像を入れるか切るかは向こうしだいなんだから、見えているつもりでやっているだろう。
 社長はいたずら好きの子供みたいな笑顔のまま、机の上においてあったリモコンを手に取る。
 なんとなく、何をするつもりなのか察した。
 予想通り、社長はそのリモコンを私の入っている金庫に向けるのだった。

多重詰め&保管プレイ 9

 社長がリモコンを操作するのと同時に、私はお腹の中に何かが入り込んできたのを知る。
 どうやら、浣腸の装置が動き出したみたいだった。私は徐々にお腹に満ちていく液体の感覚を感じつつ、なんともいえない快感を味わっていた。浣腸と同時に、膣にいれたバイブまで動き出したからだ。その注入される不快感と、振動する快感を同時に感じ、私は奇妙な感覚に溺れていた。
 社長が別のリモコンのボタンを押すと、今度は空気の供給が止まった。
(えっ!? しゃ、社長さん!? 何を……!)
 さすがにこれには驚き、抗議しようと思ったけど、いまの状態の私の声が社長に通じるわけもない。
 あっという間に空気が薄くなり、私は窒息寸前の苦しみに悶える。
(し、しんじゃう……)
 続けて、今度は流動食が流し込まれ始めた。勝手に胃が膨らんでいく感覚がある。
 いろんな感覚が混ざり合って、よくわからない状態になっていた。絶頂しているのか、それとも苦しいのか、わからないまま、意識が弾けて真っ白になる。
 どれくらい気を失っていたのかはわからない。空気の供給はすぐに再開されたみたいで、呼吸はいつも通りできていた。どうしても息が荒くなるのを、なんとか意志の力で抑えながら、私はぼやけた視界をなんとか正常に戻した。
 気づけば社長は移動していて、来客用の席で話していた。その話している相手に気づいた私は、心臓が張り裂けそうなほどドキリと跳ね上がった。
 社長が応対していた来客は、男性だったからだ。倶楽部の従業員は、一部を除いて基本的に女性が採用されている。お客さんもほとんどが女性のため、そこにいる男性はどうやら外の業者さんみたいだった。なにやら真剣な顔で社長と話し合いをしている。声は聞こえないから内容まではわからないけど、まじめな話をしているというのはわかる。
 そんな話し合いが行われているすぐ傍で、全裸で箱詰めにされて、バイブやカテーテルや管を突っ込まれて、ぴくりとも動けない状態で拘束梱包されている……その異常なシチュエーションに興奮が高まる。
 それを見越したように、バイブが動き出し、私はなすすべもなくイかされてしまった。
 見ず知らずの男性が目の前にいるというのに、イってしまう自分が、なんともみっともなくて、情けなくて、恥ずかしかった。
 でも……それ以上に、気持ちよかった。
 私はまた絶頂に達して、意識を手放さざるを得なかった。

多重詰め&保管プレイ 10

 ふと気づいた時、私はベッドの上に寝かされていた。
 私は自分の置かれた状況がわからず、目を開けて目の前に移っているのが自分で見ている映像なのか、目の前の画面に映っている映像なのかわからなかった。体の感覚は、ない。寝かされているというのも、頭から感じるかすかな感覚に頼ったもので、首から下の体の感覚はなかった。
 そこに、穏やかな声が聞こえてきた。
「おはよう、チカさん。気分はどう?」
 眼球の動きだけでなんとかそちらを見ると、やさしげな笑みを浮かべた箱詰倶楽部の救護担当、雷麗寺さんがいた。白衣を着たこの人は、箱詰倶楽部の専属医であり、危険な状態に陥った会員を優れた医療技術で救う人だった。
 この人のところにいるということは……今回のテストは終わったんだろう。
 雷麗寺さんは少し怒っているようにも見えた。
「まったく社長も技技名も無茶するわよね。いくらチカさんがすごく箱詰めプレイに慣れているといっても、当初の予定を変更して長期間放置はやりすぎよ」
「……ぁ……っ」
 声を出そうとして、まったく出せないことに気づく。なんだか、体が固まってしまっているみたいだった。
 雷麗寺さんは、私を安心させるように、軽く頭を撫でてくれる。
「大丈夫。命に別状はないし、体にも後遺症は残らないわ。ちょっとあまりに長い時間動かさなかったせいで、体が動くことを忘れてしまっているだけ……もう少しおちついたら、リハビリしていきましょう」
「……ぁの……の……」
「どれくらい詰められていたかって? ……驚くと思うけど、約二週間よ」
 その言葉を聞いて、私は驚愕した。
 確か、実験の計画書には一週間くらいと書かれていたはずだ。状況の推移によって期間が短くなったり長くなったりするのはいつものことだけど、倍というのはさすがに驚愕だった。
「一週間の時点で一度出すべきだと主張したんだけどね。エコーを使って診断したら、まだ大丈夫だったから、社長たちが続行を決めたの。おかげですごくいいデータが取れたのは事実だけど……さすがにやりすぎよねぇ」
 よく生きていたものだと自分でも感心した。
「まあ、もうしばらく寝ていても大丈夫よ。すぐに元気になると思うから」
 雷麗寺さんが去って行ったあと、私は自分の体の状態を改めて確かめる。動かしづらいけど、手の指も足の指も感覚がちゃんとある。たぶん、大丈夫なはず。
 私はふぅ、とため息を吐いて、ぼーっと天井を見上げていた。
 箱詰めされていた間の記憶はほとんどない。ない、はずだったけど……際限なく続いていた快感のことだけは覚えている。というか、体に残っている。
(…………やめられないんだよねぇ)
 この感覚が忘れらないせいで、私は何度も箱詰めプレイに興じてしまうのだ。今回だって下手したら後遺症が残っていたかもしれないのに、その恐怖よりも、受けた快感の方が勝っている。

 私は本当に、箱詰めプレイから逃れられそうにない。


~多重詰め&保管プレイ 終わり~

箱詰倶楽部にて試験(多重詰め&保管プレイ) まとめ

箱詰倶楽部のテスターの話です。
連載時は『多重詰め&保管プレイ』として書いてました。

続きを読むからどうぞ。
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