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白日陰影

箱詰系、拘束系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

肛門拘束(仮) 2

 私は家の中で十分だと言ったのに、外を歩こうと提案してきたのは彼だった。
 いくらぱっと見は普通に見えるようにしているとはいえ、首輪は丸見えだし、よく見ればそこから伸びた紐が服の下に潜り込んでいるのは見えているはずだし、肘同士を結んでいるリボンもよく見れば腕の自由を著しく制限しているのもわかるはずだし、変態的なプレイをしていることが、いつ誰かに気づかれるんじゃないかとひやひやものだった。
 そのスリルに興奮してしまっているのだから、私には彼のことを変態という資格はないのかもしれない。


 彼の背に隠れつつ、商店街の散歩を続ける。
 歩く度にわずかな震動がアナルフックを引き上げ、気にしないようにしても意識せざるを得ない。
 それ以上引っ張られないように背筋をまっすぐ伸ばすと、それに伴って突き出された胸が揺れるのが気になる。
 自慢ではないのだけど、私の胸はかなり大きい部類に入る。
 なので、背筋を伸ばして歩くと、ただでさえ大きなそれを強調しているような状態になってしまい、かなり恥ずかしかった。
 隠そうにも両腕は拘束されているから動かせない。
 結果として、私は羞恥に耐えつつ歩き続けなければならなくなっていた。
 彼の方はといえば、私が胸を突き出すような格好で歩くのが嬉しいのか、いつも以上に笑顔だ。このおっぱい好きめ。
 ただ、そのコンプレックス一歩手前にある胸に注目しているのは、確かに彼だけじゃなく、道行く人もそうだった。すれ違う人のうち、大抵の人が私の突き出された胸に視線が一瞬吸い寄せられているのがわかる。老若男女関係ない。
 幼すぎる子供は別として、やっぱり私の大きな胸は目立つのだ。それを突き出して強調しているわけだから、注目されないわけがなかった。
 いつもの私は前屈みになってそれを隠そうとするのだけど、いまはそれをすると肛門が引っ張られてしまう。
 さっきの衝撃を覚えている私としては、気を遣って歩かなければならなかった。
(ん……少し、慣れてきた、かも……)
 歩き方によっては常にアナルフックが引っ張られ、肛門が刺激されてしまっていたけど、だんだんどう歩けばそういった刺激を与えずに済むのかわかってきた。
 胸が強調される歩き方なのは変わりないので、恥ずかしさは変わらなかったけど、これなら十分歩き切れそうだ。
 それを意地悪な彼が許すわけもなかったけど。
「ちょっとこっち」
 彼はそう言って私の肘辺りを掴んで、狭い路地に入り込む。
 急に何をするのかと思っていると、彼は私が商店街側から見えないように自分の身体を盾にしつつ、ポケットからとんでもないものを取り出した。
「だいぶ慣れたみたいだからな。第二段階に進もうじゃないか」
 彼がそう言いながら取り出したのは、もうひとつのフック型の道具だった。

つづく
[ 2018/07/19 22:42 ] 肛門拘束(仮) | TB(0) | CM(0)

肛門拘束(仮) 1

 激しく高鳴る鼓動を服の上から抑えつつ、私は商店街を歩いていた。
 道行く人たちはいつもと変わらない。ここは元々人通りの多いところで、すれ違う人がどういう人か気にしている人はいないとわかっていても、私は皆が自分を見ているような錯覚に陥って、くらくらと目眩がした。
 前を歩く彼の背中に、つい密着してしまう。
「おいおい、歩きづらいだろ」
 そんな風に言ってくる彼は、言葉とは裏腹に顔は笑っていて楽しそうだった。
 元々こんなところを『こんな状態』で歩くというのは彼の発案だったので、私は少しむっとしてしまう。
「は、恥ずかしいんだから……盾になってよ……」
「はいはい。……でもやっぱ『そう』してた方が絶対良いって。割と視線集めてるし」
 その彼の言葉にぎょっとして、思わず背中を丸めそうになって――その瞬間、肛門が上向きに引っ張られて激痛が走った。
 それと同時に首も絞まって苦しくなる。
「んぎっ……ッ!」
 あげかけた悲鳴をなんとか飲み込み、ぐっと背中に力を入れて身体を反らす。そうすると肛門にかかる力が和らいで、少し楽になった。
 私のそんな動きを見てか、彼が呆れた顔を浮かべていた。
「おいおい、大丈夫か?」
「う、うるさい……っ」
 そう攻撃的に返してしまいつつ、私はなるべく体幹をまっすぐ保つように意識して歩く。
 いま、私の肛門には、アナルフックという道具が、首輪に接続された状態で挿し込まれていた。
 だから、少しでも背中を丸めると、それによってアナルフックが引っ張られ、激痛が走る状態になっているのだった。


 昔から知らず知らずのうちに猫背になってしまうのが悩みだった。
 猫背は身体にあまりよくないとも言うし、治したかったのだけど、中々治そうと思っても治せるものでもない。
 どうしたら治せるものかと悩んでいた時、付き合っていた彼氏がアナルフックを用いたプレイ兼荒療治を提案してきたのだった。
 ぶっちゃけ、半分以上は彼の趣味だと思うし、それに乗っかっちゃった私もどうかと思うけど。
 しかも彼の趣味で、私は左右のポケットに手を突っ込んだ状態から動かせなくなっていた。彼がワイヤーを使って手首の辺りをズボンに固定してしまったからだ。さらに左右の肘を細いリボンで背中側を通して結ばれているので、手を前に持ってくることもできない。
 転びそうになったら彼が助けてくれるとは思うけど、腕が自由に動かせない状態で歩くというのは中々スリリングな体験だった。
 拘束されている箇所は少ないけど、ろくに自由が利かないという意味では、あまり拘束の度合いに意味はなかった。

つづく
[ 2018/07/18 22:55 ] 肛門拘束(仮) | TB(0) | CM(0)

倶楽部の専属緊縛師

「『縄の日限定スペシャル企画・箱詰め縛りプレイ』……?」
 すっかり常連となってしまった箱詰倶楽部にやって来た私は、いつも通りのプレイコースを選択しようとしたが、カウンター上に置かれたそのチラシに目が吸い寄せられた。
 そんな私に対し、倶楽部の受付嬢が説明してくれる。
「本日限定でご提供させていただいているプランです。当倶楽部専属の緊縛師による、一風変わった箱詰めプレイが体験できますよ」
 箱詰倶楽部なのに専属緊縛師がいるのか。
 少し興味を引かれる。けど、お昼も回った時間なのに、希望者がでなかったんだろうか?
 その疑問が顔に出ていたのかもしれない。受付嬢は少し困った笑顔で説明してくれた。
「留意事項といたしまして……緊縛師の牧上は男性なのです」
 なるほど。それで得心がいった。
 この倶楽部の常連は、独り身の女性であることが多い。かくいう私もそのひとりだし。
 だからこそ、職員のほとんどが女性で構成されているこの箱詰倶楽部で、箱詰めプレイを楽しんでいるのだから、男性が相手なのは嫌という人も多いだろう。箱詰めプレイは全裸でやってこそ、と私も思うし、男性に見られたくない者が多く、この企画は人気が無いということか。
「普段牧上のプレイを受けておられる会員様たちは、本日はご都合が合わなかったようですね」
 なお、その人たちに関しては、後日都合の良い日に特別に企画と同じプレイを受けられるという話だった。
 限定企画の意味がない気がするけど、普段からプレイを楽しんでいる人たちが日程の都合で特別なプレイを受けられないのも可哀想だから、その辺は臨機応変に、ということなのだと思う。
 有情であると思うし、ニッチな性癖を扱う倶楽部である以上、ユーザーに寄り添う対応をしてくれるのはとてもありがたかった。
 それはさておき、だ。
「……つまり、まだ受けられるってことよね」
「はい。いかがなさいますか?」
 受付嬢への返答は、もちろん決まっていた。


 その部屋はこれまで私が入ったことのある、箱詰倶楽部の部屋のいずれとも雰囲気が違った。なんというか、厳かな雰囲気が感じられる。
 構造的には他の部屋と同じ、一般的なビルの一室、という感じなのだけど、部屋の調度品や壁にかけられた絵などから「落ち着いた和室」のような空気を感じさせる。
 その部屋の中心、作業台らしい机を脇に携え、その人は待っていた。作業台に並んだ縄だけじゃなく、この空間の雰囲気そのものを従えているような――部屋の主だと言われなくてもわかった。
「いらっしゃい、お嬢さん。私が今回縄かけを担当する牧上です。どうぞよろしく」
 牧上、という緊縛師は初老の男性だった。服装は和風だったけど、その人を表す言葉としては老紳士というのがしっくりくる。とても穏やかで、縁側でお茶を飲んでいるのが似合いそうだ。
 確か緊縛には吊りという趣向もあって、かなりの重労働らしいのだけど、このお爺さんはそういう肉体労働にこなれている感じはしない。
 けれど、不安を感じさせないだけの威厳が牧上さんからは感じられた。
「よ、よろしくお願いします」
 私が頭を下げると、牧上さんは深く頷いた。そしてなにやらバインダーに挟まれた紙の束らしきものを、眼鏡をかけながら目を通す。
「早速ですが、プレイ内容の確認を行いましょう」
「は、はい」
「本日は『箱詰め縛りプレイ』のご要望で間違いないですね?」
 私はこくりと頷く。内容の詳細は受付嬢に聞いているのだけど、俄には信じられない内容だった。
「着衣はなしでよいとのことですが、間違いありませんか?」
「その方が気持ちよいと聞いたので……大丈夫です」
 男の人に裸を晒すのは正直恥ずかしかったし、水着着用でも構わないという話は聞いていた。けど、この倶楽部には深い信用を寄せていたし、何より高い会員費を支払ってまでプレイをしに来ているのだから、どうせなら一番気持ちよくなる方向で箱詰めプレイを行う、というのが私が決めている方針である。
 こういう捉え方は職員さんに失礼かもしれないが、倶楽部の人たちは箱詰めプレイのための道具と思うことにしている。そうすれば余計な羞恥心に惑わされずに済むからだ。
 もちろんこういう考え方は外聞がよくないので、誰にも言わないけど。
 牧上さんは再度深く頷き、そして資料を置いた。
「わかりました。それではまずは身体検査を行います」
「身体検査、ですか?」
 どういうことだろう。私は首を捻った。怪我や持病の有無は倶楽部に提出した資料に書いておいたはずだけど。そう思った私に、牧上さんは丁寧に説明してくれる。
「緊縛において、重要なのは身体の柔軟性です。腕はどこまで捻って大丈夫なのか、関節の柔らかさはどの程度か、それらは人それぞれで全く違います。ゆえに、初めて縄かけを行う際には、まずその体質を調べさせてもらっているのですよ」
 要は、簡単な柔軟体操のようなものらしい。
 私は牧上さんの指示に従い、腕を後ろに回して捻って見たり、脚を振り上げたりして、身体の柔軟性を確認してもらった。プレイではなく検査だというのがはっきりしていて、牧上さんは必要以上に私の身体に触れなかった。ものすごく真剣な目で、私がどの程度肩を捻れるか、脚の筋肉の張りがどの程度かをつぶさに確認している。
 たまに断りを入れてから身体に触れてくることがあったけど、それも筋肉がどの程度張っているかを確認しているようで、全然性的な感じはしなかった。
 そんな真面目な検査が一通り終わり、私はひとつ息を吐く。
「お疲れ様です。それでは、着衣を脱いでください」
 どくん、と鼓動が一段階速くなる。
 検査の間のやりとりで、牧上さんに対する警戒心は拭い去られていた。その所作といい、声のかけ方といい、信頼して任せるに相応しい度量を持っていることが自然と伝わって来たからだ。己の仕事に絶対の責任と自信を持っているのがわかった。自分の身体を安心して任せられる。
 きっと、そこまで理解してやっているのだろう。色々おかしなレベルのプロフェッショナルが集まっている箱詰倶楽部で、専属緊縛師をやっているだけのことはある。
 私は着ていた服を脱ぎ、脱衣籠に入れて全裸になる。あまりスタイルに自信はないのであまり見られたくはなかったのだけど、牧上さんは淡々と準備を進めてくれていた。
「では、始めましょうか――『箱詰め縛り』を」
 亀甲縛りや高手小手縛りとかなら聞いたことがあるけど、『箱詰め縛り』は聞いたことがない。恐らくこの倶楽部に合わせて牧上さんが編み出したオリジナルの縛り方なのだろう。
 まず、牧上さんは恐ろしく長いらしいロープの、ちょうど中間の地点を私のうなじに合わせ、その長いロープを器用に使って私の胴体を縛っていった。
 速い。
 気づけば、私の上半身は亀甲縛りのような形で縛り上げられていた。縄の端がわからないくらい長い縄だというのに、あっというまに縛り上げてみせた。緊縛師としての技量を感じさせる。
(……ッ、すごい……ちょっと身体を捻るだけで……縄が身体に食い込んで……けど、痛くない)
 絶妙な力加減で縛られているみたいだ。
 亀甲縛りのような形、と思ったけど、よく見ると少し形が違うような気もする。詳しくないのでどこがどう違うかはわからない。
「さて、失礼しますよ」
 縄のことに注意が言っていて、牧上さんがそう呟くのが何のことか気づくのが遅れた。
 一瞬の内に牧上さんの手が私の股間を過ぎ去り、それに反応する前に、その場所に縄が食い込んだ。
「ひゃあっ!!」
 思わず悲鳴が口から零れる。股縄が通されていた。結んだコブが私のそこを刺激する。コブはご丁寧にクリトリス、秘部、肛門それぞれに接するように作られているようで、三点の刺激に思わずつま先立ちになって腰が浮いてしまう。けれど、背中側の縄に接続されたらしい股縄からそれで逃れられるわけもなく、無意味に背伸びをしただけに終わった。
 まだ両手両足は自由だというのに、私はすでに牧上さんによる緊縛に囚われていた。身体を揺するだけで、腰砕けになりそうなほどの気持ち良さが生じる。
「脚を揃えて、跪いてください」
 牧上さんに言われるまま、私は両足を揃え、その場に跪いて膝立ちになる。
 そこに牧上さんが手早く縄をかけていった。膝が合わせられて両足は微塵も開けなくなって、折り曲げた状態で固定される。三角座りの姿勢にされたかと思うと、胸が潰れるくらい密着した状態に固定され、私の身体で自由なのは両腕と頭だけになった。
 そして、ついに腕も拘束されるときが来た。
「両腕を交叉させて、自分の脚を抱くようにしてください」
 その交叉させたところに縄が十字にかけられ、私の腕は動かせなくなる。
 けれど手首から先は自由に動く。さすがに縄で指先の拘束までは難しいのだろう。
 完全拘束というには少し余裕があるかな、とその時は思っていた。
 牧上さんは腕を拘束した縄尻を用いて、私の脚の甲と親指同士を縛る。腕は割と自由な分、それ以外はもうほとんど動かせない。
 それにしても、だ。いまのところ牧上さんが他の縄を足した様子はない。
 つまり一本の縄でここまでの緊縛を施しているということで、それがどれほど高度な技術なのか、そもそも可能なことなのか、緊縛の手順がわからない私でも相当異常なのはわかった。
 しかも、だ。
「それでは、ここからが『箱詰め縛り』の本番です」
 そう。ここまではまだ前座なのだ――事前に聞いていた私でも信じられないことに。
 瞬きもせずに見つめているはずの私の目が追いつかないほどに、牧上さんの手は早かった。
 私の足先を縛った縄、そこからさらに超絶技巧が続く。
 民芸品などで藁で編んだ箱を見たことがあるだろうか。田舎の工芸品として有名なものがあるあれだ。
 牧上さんはそれを縄で作り始めた。私の足下から箱の底面が作られていく。そして私の身体を覆うように、四方の壁が編み上げられていった。
 有り得ないことに、牧上さんは私を閉じ込める箱すら、その縄で作ろうと言うのだ。
 縄師の技術ってこういうものだっけ、とか思ってはいけないのだろう。
 箱を編み上げつつ、時折そこを外れた縄が私の身体を縛る縄に接続される。もはや複雑怪奇とかいうレベルじゃなく、ずっと見ている私にすら何がどうなっているのかわからない。
 さらにその縄は私の指先にも絡んで来た。私は両方の手をパーの形で広げたまま、微塵も動かせなくなってしまった。正確には縄だから力を込めれば多少は軋むものの、とても「動かせている」状態ではない。
 縄で出来た箱の壁が私の目線の高さに編み上がるころには、私の身体で自由なのは頭だけになっていた。
 正直、まさか縄でここまで完全に拘束されるとは思っていなかったので、驚く……というか戦慄していた。そしてそれがまた全身に絶妙なテンションがかかって、気持ちいいというのだからとんでもない。
 縄に抱かれるとか、縄酔いとかいう言葉があるのは知っていたけど、私がいま感じている感覚はまさにそれだと思う。
 そして当然、ここまで徹底的に拘束されているのに頭が拘束されないわけもなく。
「口を大きく開けてください」
 牧上さんの指示で口を大きく開けると、少し変わった形の縄のコブが押し込まれた。そのコブから左右に伸びた縄が私の口を割り開き、猿ぐつわの代わりになる。
「ぐぅ……ム、ウ、ゥッ!?」
 思わず声をあげようとして、まったく言葉にならないことに気づく。どうやら押し込まれたコブが奇妙な形をしていたのは、完全に舌を抑えてしまうのが目的だったようだ。
 頭の後ろで縄が結ばれ、その縄がまた箱を編み込み始める。その位置が微妙に頭の高さより下だったので、私は自然と頭を下げざるを得ない。可能な限り小さくまとまっているような姿勢――要はいつも箱詰めのときになっている体勢に、自然と落とし込まれていた。
(っていうか、一本の縄で全身拘束から箱を編むってところまでやってるのがおかしいんだけど、どんな技術してんのこの人……!?)
 世の中には変態的な天才がいるものだ。
 やがて完全にひとつの箱が編み上がったのか、牧上さんの手が止まる。
「出来ました。……といっても見えてはいませんよね。映像に残してありますので、あとでぜひご確認ください」
 確かに普段はそこまで気にならないけど、どんな完成形になったのか純粋に興味はある。
 いまの私の視界には、何がどうなっているのかわからないほど複雑に絡め取られた自分の腕と足先くらいしか見えていない。
 軽く身体を揺すってみる。途端、全身の縄が軋み、絞り出されるような感じがした。
(うわっ、なにこれ……ちょっと、動かすだけで……全身を触られてるみたい……!)
 腕を動かそうとしても、脚を動かそうとしても、そこから全身の縄に刺激が走る。
 これはちょっと言い表しがたい感覚だった。
 そしてそれは股間に通された股縄にも刺激が走るということでもあり、じんわりとした刺激がとても気持ちいい。
 最初、バイブなどの道具は入れないのかと思ったことを恥ずかしく思う。
 縄だけで十分だ。
 十分な快感を得ることが出来ている。このまま揺りかごに揺られるように、眠れたら最高かもしれない。
 そう思っていた私は、正直、まだ牧上さんを侮っていた。
 なぜなら――牧上さんの『箱詰め縛り』は、まだ終わってなかったからだ。
「それでは、始めさせていただきます」
 私が「え?」と思う間もなく、不意に私の世界が傾いた。
 背中側が床の方向になり、重力の方向が変化する。
 箱がゆっくり倒されたのだと、理解した。普段箱詰めされている箱は、結構重めの物が多かったけど、縄で出来た箱ならそうやって上になる面を変えることも可能ということなのだろう。まさかこんな仕掛けがあるとは。
 上になる面が変わると同時に、私の全身を縛る縄の感覚も変化した。幾十、ひょっとしたら幾百にも施されたテンションによって、私の身体にかかる負担は変わらない。
 けれど、力の加わる方向が変化したことによって、私が覚える感触も大きく変化する。
「ムーッ!!」
 思わず身体を動かそうとすると、それによって強い刺激が生じ、私は私自身に責められる。
 とんでもなく気持ちいいけど、とんでもなく気持ちよすぎる。
 しばらく身体を震えさせ、全身から滝のような汗が流れたあとで、ようやく少し落ち着いてきた。これ以上何かされたら、おかしくなってしまいそう、そう思った。
 そんな私をあざ笑うかのように、世界が再び回転する。
 頭が下に、股間が上になるように。
 私の身体はひっくり返されていた。
 当然、またも力のかかる方向が変わって、ようやく慣れてきたと思った刺激が新たなものに変わって悶絶する。
「ンギィイイイイ!?」
「数分ごとに回転させます。その都度、変化する感覚をお楽しみください」
 恐ろしいことをさらりと言われた。
 つまりこの調子で私は数分ごとに変わる縄の感覚に翻弄され続けなければならないということだ。それは果たして、どれほどの快感になるのだろう。
 私の身体は自然と絶頂へと導かれ、そして大量の愛液を溢れさせた。
 逆さになっているため、じんわりと愛液の熱がおなかに広がっていく。

 箱詰倶楽部専属緊縛師・牧上さんの『箱詰め縛り』。
 その魅力に絡め取られ、次から緊縛箱詰めプレイを頼むようになるのは、また別のお話。


~倶楽部の専属緊縛師 おわり~
 
 

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 6

 狭いトロッコの中でじっとしながら、体内に埋め込まれたバイブと外から刺激を与えてくるブラパッドの震動に耐え続けるというのは、正直かなり辛いものがあった。
「フゥ……ウゥ……ッ」
 自由にならない身体を捩らせ、ラバースーツの軋む音を響かせながら、私は口から流れ落ちる涎を止める事も出来ずに見つめる。
 トロッコが目的地に着くまでの辛抱とはいえ、逃げ場のない場所で延々と刺激を与え続けられるのは辛かった。
 元々、震動する強さ以外はさほど特徴の無い震え方をするバイブとパッドであるため、いうほど気持ちよくはない。……訂正。気持ちはいいけど、絶頂に至れるほどか、というとそうじゃない。
 だから私は延々震動によって昂ぶらせられているにも関わらず、すんでのところでそれが解消されないという状況にある。それはかなりの責め苦だった。あともう一押し、刺激を与えられればイけるのに、それが成されない。
 もしこれが女島さんによって管理されているときであれば、ほどほどのところでイかせてくれるのに。
(意地を張るんじゃ無かったかな……)
 早くも、私はこのゲームに乗ってしまったことを後悔しかけていた。
 バイブやパッドによって与えられる無機質な快感は味気ない。
 愛するご主人様の手で、絶頂に導いて欲しい。
 そんなヒトイヌとしての――いや、雌犬としての本能が頭の片隅で囁き始めていた。
(いっそ、リタイアしてしまおうかな……)
 弱気になってそう思いかけた私の思考を遮るように、トロッコが減速する感覚がして、止まった。
 どうやら目的地に着いたようだ。私は弱りかけていた気持ちを持ち直す。
 トロッコから出て、他のヒトイヌから離れてしまえばこの厄介な震動も収まるはず。
 改めて気を入れ直した私は、開いたトロッコの扉から外にでた。
 幸い、同じトロッコに乗っていた別のヒトイヌの目的地は違ったようで、私だけを降ろしてトロッコは再び出発していった。
 トロッコが遠ざかるにつれ、私の心を弱らせていた震動は収まっていき、私は人心地つくことが出来た。
(危ない危ない……もうちょっとで負けを認めるところだった。ヒトイヌになってる時はいつもより快感に弱いから……注意しないと)
 冷静になって考えれば、もしこんな序盤でリタイアしようものなら、スポーツマン気質の女島さんは間違いなく怒る。負けず嫌いではあるけど、それと同じくらい勝ちを譲られるのが嫌いな人だった。
 対戦ゲームであまりにも女島さんが弱かったから、わざと負けてあげた時のことを想い出す。あのときは拗ねに拗ねて大変だった。可愛くはあったけど。
 もしいまの段階でリタイアして彼女主体の責めになっていたら、そのお仕置きとして女島さんの手で焦らしプレイを施されていたかもしれない。
(そんなのはごめんだわ……負けるにしたって、健闘を称えて優しくしてくれる程度には競わなきゃ……!)
 私は改めてそう決意を固め、勝つ気でゲームに戻った。
 トロッコが到着したのは、ヒトイヌ状態で利用できる娯楽室だ。私の読みでは、この施設に鍵が一個は必ずあるはずだった。
 野外にも施設はいくつかあるけど、野外だけあって探す場所が広い。その点、娯楽室なら見るべきところは限られているし、なんとなく察しも付く。
 ただ、誤算がひとつ。
(なんで……なんでこんなにヒトイヌがいるの……!?)
 施設内に入って見て私は驚いた。入口から見えるだけでも、数頭のヒトイヌが娯楽室で思い思いに寛いでいたのだ。
 普段、私たちが利用する時にはそんなに利用者が少なかったから油断していた。いても一頭か二頭だと思っていたから、これは完全に想定外だ。
(こ、こんな場所を……探さないといけないの……?)
 娯楽室内のヒトイヌに反応してか、バイブとパッドが震え始める。
 せっかく立て直した心が、再び不安に揺らぎ始めていた。

序盤編・おわり
探索編につづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 5

 ヒトイヌ公園で支給されるヒトイヌスーツは、驚くほどの快適性を実現している。
 多少なら汗を掻いても、ちゃんと吸収してスーツ内の環境を快適に保ってくれるのだ。
 けれど、さすがに今回の私ほどの全力疾走は想定されていなかったのか、スーツ内で流れた汗がものすごいことになっている感触があった。肘や膝のあたりが特に湿っているような感覚がある。
 さすがにちょっと気持ちが悪い。
 でも、それにしてもこれだけ汗を掻いたなら、逃げ場のない汗がもっと溜まって気持ち悪く感じるものじゃないだろうか。
(全身ラバースーツに覆われてる以上……漏れ出たりはしないはずだけど……)
 そんなことがふと気になって、後ろを振り向いてみた。
 すると、そこには想像もしていなかった光景があった。
(……!? これ、もしかして……私の足跡!?)
 私が歩いてきた道に、明らかにおかしな足跡が残っていたのだ。
 肘と膝の四点で体を支えている私の足跡とは思えない、本物の犬の足跡のような形に地面が濡れて残っていた。プールからあがった時の足跡が、乾いたプールサイドにつくような感じ。
 恐らく肘と膝のところに当てられたクッションに、そういう風に足跡がつくような仕組みがあるのだと思う。試しに足下で何度か足踏みをしてみると、その場所に犬の足跡みたいな湿った跡が残った。
(えっと……確かにたくさん汗は掻いたけど……ここまでになる?)
 道を見返してみれば、結構な距離に跡が続いている。これだけの跡を残せるほどの汗を掻いていたら、これはもう脱水症状とかいうレベルじゃないのでは。
 恐ろしく感じていると、突然、耳元で声が響いた。
『その足跡についてはご安心ください。汗など、ある程度の量の水分を吸収すると、そのような隠し機能が動くようになっています』
 びっくりしたけど、そういえば犬耳に実況用のスピーカーが内蔵されているんだった。
 いまのタイミングできちんと放送があったということは、当然だけど私たちの動向は常にチェックされているということ。見られているというのはちょっと恥ずかしいけど、それはそれで安心する材料ではあった。
『なお、その足跡がつくというのは、非常に水分を消費している状態であり、大変危険です。運営からの要請として、水分補給を行ってくださいますよう、お願いいたします』
(なるほど、そういう指針にもなっている、と……)
『指示に従っていただけない場合、女島様の敗北となりますのでご留意ください』
 つまり、まずは水分補給をしてからゲームに復帰しろということね。
 せっかく頑張って走った甲斐がないけど、体調優先なのは当たり前だ。私は出来る限り急いで水分補給をしようと、休憩所を探して辺りを見渡す。
 確か休憩所ではヒトイヌ状態でも水分補給できる設備があったはず。
 そう思って周囲を見渡したのだけど、運の悪いことに近くに休憩所らしきものは見当たらなかった。ちょうど間の悪い時に気づいてしまったようだ。
(これは……どっちに進めばいいの……?)
 水分補給をする気がないと思われるのは困るけど、ここから通り過ぎた休憩所まで戻るには随分時間をロスしてしまう。
 困っていると、再び放送が鳴った。
『そのまま前方に進んでください。茂みを抜けた先に給水所をご用意しております』
 私たち二人のためだけに至れりつくせりにもほどがあると思ったけど、都合は良かったのでその指示に甘えることにする。
 遊歩道に足跡を残しつつ、私は給水所へと急いだ。

 そこで何が待ち構えているかも知らずに。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 4

 ヒトイヌ移動用のトロッコが近づくにつれ、ささやかな振動だったそれらの器具は明確に私に快感を与えようという動きに変っていた。
(ああ、やっぱり……そう甘くはいかないか)
 私はトロッコの到着を待ちながらそう思う。私たちが取り付けられたブラのパッドや、膣のバイブは他のヒトイヌに近づけば強く振動するようになっている。
 そして、トロッコは一両編成ではなく、複数両が連なって運行されていた。
 それはつまり、他のヒトイヌが利用していた場合、私は離れることも出来ず、ひたすら強い振動に耐えなければならないということだった。
「くぅ……んっ」
 私も女島さんも、相手をヒトイヌにして愛でたい気持ちはあるものの、ヒトイヌになること自体に興奮することも事実。
 ここまでヒトイヌ状態で移動してきたことで、だいぶ出来上がっていたいまの私に、その振動はかなり凶悪だった。
(どうしよう……このトロッコはスルーして次のトロッコを待つ……?)
 そういう選択もありだと思った。けれど、よく考えてみると必ずしもヒトイヌが乗っているわけじゃないかもしれない。
 なぜなら、ヒトイヌ公園の利用者が都合よく常にトロッコに乗っているとは限らないからだ。もしかすると、運営側がトロッコに近づいたことでパッドやバイブのスイッチを操作している可能性もあった。
 公園の利用者はそう多いわけじゃないはずで、そうしないとトロッコ利用がデメリットにならない可能性が高い。
(まあ……確かめる方法もないからわからないけど)
 もしかすると本当にタイミング悪く他のヒトイヌが乗っているだけかもしれない。
 仮にこれを見送ったとして、次に来るトロッコにまたヒトイヌが乗っていないとは限らない。
 女島さんの運動能力を考えると、時間の浪費は敗北に繋がる。悩んでいる暇はない。
 私は意を決して、トロッコに乗り込むことにした。
 到着したトロッコからタラップが伸びて来たので、それを伝ってトロッコの中に入る。その位置は三両編成のちょうどど真ん中で、前後のどちらかの車両に他のヒトイヌが乗っているみたいだった。
 その距離は壁を隔てているとはいえ、30センチもないだろう。それだけ近づいてしまったものだから、パッドもバイブもほぼ最大の振動率になっているはずだった。
 体の中を抉られるような、そんな震えが全身に伝播する。
「ウゥ……ッ!」
 この音は相手にも聞こえているのだと考えると、とても恥ずかしかった。わざわざパッドやバイブを最大にしてヒトイヌに興じている淫乱だと思われているだろうか。
 これはゲームの設定であって、私の意思じゃない――そう言いたいけど、人間の言葉は封じられている。
 私はトロッコが目的地まで移動するまでの間、身体を震えさせる振動に耐え続けた。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 3

 ヒトイヌになった女島さんを可愛がるつもりが、なんで私までヒトイヌになってるんだろう。
 職員さんに乗せられてしまった感が強いけど、いまさらやめるということもできない。女島さんほどではなくとも、私も結構負けず嫌いではあったからだ。
 それに、普通の競技なら私が女島さんに勝てる要素はないけど、このゲームであれば勝てる可能性があるというのも、つい乗せられてしまった理由だった。
(とはいえ……やっぱり女島さんはすごい)
 私はすでに遠くに行ってしまった女島さんを見た。本当に体力馬鹿なんだから。
 ヒトイヌ拘束を施された状態であんなに速く走れるなんて、女島さんくらいじゃないかしら。飼い主である私にとっては自慢できることだったけど、勝負の相手としては非常に分が悪い。
 普通のかけっことかだと絶対に勝てなかっただろうから、この形式の勝負で良かったと思う。上手くすれば女島さんを出し抜くことも可能なはずだ。
(……でも、女島さん大丈夫かな。あんなに走って……いくら運動しなれてるとは言っても)
 ラバースーツの中は結構蒸れる。あんなに走ったら中はすごいことになっているはずだ。
 そんなに全力で走っていない私でさえ、すでに汗ばみ始めているくらいだし。
(でもまあ、危なくなったら公園からストップがかかるはずだよね)
 以前、私が女島さんをヒトイヌ状態にして公園で遊んでいた時、互いに盛り上がり過ぎてかなりの負担を女島さんにかけてしまったことがあった。
 その時、首輪に取り付けられた装置によってバイタルをチェックしていた職員さんから、体調に注意するようにと放送が入ったものだ。あの時は女島さんもかなりフラフラになっていて、危ないところだった。
 安全にヒトイヌプレイを楽しめるこの施設には本当に感謝しかない。
 ともかく、女島さんの心配はいまはしなくても大丈夫だろう。ほんとうに危なければ止めてくれるという施設に対する信頼はある。
 私は短くなった手足を懸命に動かして、道の脇にあるヒトイヌ用の通路に降りて行った。女島さんは普通に走っていったけど、施設内の設備を使っちゃいけないというルールはない。
 ヒトイヌ移動用のトロッコも当然、禁止されてはいないはずだった。私たちは普段どっちかが飼い主という立場で公園を利用しているから、このトロッコは初めて利用する。
 女島さんは忘れてたみたいだけど。覚えておいて良かった。
(というか、これが使えなかったら女島さんに勝てないし)
 禁止されている可能性もあったけど、入口前まで来ても何のアナウンスもないから、やっぱり禁止はされていなかったみたいだ。
 私は不自由な体で、床にあるボタンに首輪を触れさせてトロッコを呼び出す。その際、胸が地面に擦れてピリピリとした快感を生み出した。
 トロッコが禁止されていない理由として、素のままじゃ女島さんには勝てないと言う理由もあるのだけど、もうひとつ理由がある。トロッコ利用には、相応のデメリットがあるからだ。
 それも運次第だと思っていたのだけど、トロッコが近づいてくると同時に、さすがにそれは虫がよすぎるということを知った。
 なぜなら――私の膣に埋め込まれたバイブと、金属のブラに着けられた電動パッドが、小さく振動し始めたからだ。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 2

 ヒトイヌになった美雲っちを愛でるつもりが、なんで二人ともヒトイヌになっているんだろう。
 私はいまさらながら妙な状況になってしまっていることに気づいたけど、いまさらやっぱりやめるなんてことが出来るわけもない。
 ゲーム、といえども勝負ごと。つまりは試合。
 小・中・高と体育会系の部活で過ごしてきた私は、例え練習試合だろうとミニゲームだろうと決して手を抜かないことを信条にしてきた。
 だから、この珍妙な『ヒトイヌ拘束脱出ゲーム』に対しても――常に全力だ。
(美雲っちはインドア派……普段の運動量から言っても、私が圧倒的有利だけど、それは手を抜く理由にはならない!)
 私は短くなった手足を動かして、転ばないように注意しつつ、一気に美雲っちを引き離す。
 ヒトイヌ拘束で動き回るのは初めてじゃない。本物の犬のような速度はでなくとも、普通の人がは綾歩きする程度のスピードは出ていた。
 一歩脚を先に進めるたびに、全身のラバーがギチギチと軋む。
 自慢じゃないけど大きなおっぱいが、ブラに抑えられているとはいえ、揺れているのがはっきりわかって少し恥ずかしい。足を前後に大きく動かす度に、股間に埋め込まれているものの存在をはっきり意識してしまい、つい足を開き気味にしてしまう。
 不自由な体を激しく動かしていると、すぐに息があがってしまう。鼻呼吸は穴が空いているとはいえマスクに遮られて、熱い吐息が一部戻ってきてしまって苦しい。だから口で呼吸する方が楽なのだけど、そうすると体勢的に涎が垂れて来て、舗装された遊歩道に涎の跡が残ってしまう。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
 呼吸音だけ聞けば、犬のそれと全く変わりがない。自分がヒトイヌという存在になっているのだという自覚を強制されてしまう。
 私はトリップしてしまいそうになる自分を戒めつつ、ひたすら両手両足を動かした。体中に汗が滲んで、ラバースーツと擦れる音がさらに大きくなる。汗をかいてスーツ内が蒸れる。熱が籠るのである程度進んだら適度に休まなければならないだろう。
 しばらく無心で遊歩道を走っていると、突然、胸と股間の器具が小さく振動し始めた。
 はっとして遊歩道の先を見やると、一頭のヒトイヌが飼い主さんらしき男性にリードを牽かれて歩いているのが見えた。
(そういえば他のヒトイヌに近づくとバイブが振動するって言ってたっけ……!)
 私は慌てて遊歩道を外れて、大回りしてそのヒトイヌをやり過ごす。
 真横を通る際、私に気づいた飼い主さんが、私に向けて手を振ってくれた。
「がんばれー、負けるなよー」
 当たり前だけど、他の利用者さんには私たちのことが通知されているみたいだった。私は恥ずかしくなって赤くなった顔を俯けつつ、素早くその場を離れる。
「うおっ、はやっ……ミチルもあれくらい動けるようにならないとな」
 遠ざかりながらも、私の動きを見て感心したのか、そんなことを男の人が話しているのが聞こえてきた。褒められて悪い気はしない。
 運動しなれている私を基準にするのは可哀想な気もするけど……それは彼と彼女の決めることだ。
 無事やりすごすと、胸と股間のバイブが止まった。距離があったからささやかな振動だったけど、危うく快感に流されるところだった。
 勝負はまだ始まったばかりだ。
 私は疼き始めた心地よい感覚を体の奥に押し込め、目的の場所を目指して再び動き出す。

つづく

ヒトイヌ拘束脱出ゲーム 序盤編 1

 利用者がヒトイヌとなって遊ぶヒトイヌ公園――その一角に存在するモニタールームで、その様子は監視されていた。
「女島号と美雲号、公園内に解放開始しました」
 公園内でのヒトイヌの呼び方は色々だ。
 本名に「号」を付けて呼ぶこともあるし、本人の希望でヒトイヌ用の名前を持つこともある。
 今回は競技性を意識し、それぞれの名前に「号」を付けて呼ぶことになっていた。
「モニター1番を女島号に、モニター2番は美雲号に合わせろ。モニター3番は公園の全体マップ。他のヒトイヌの場所は赤点で表示」
 モニタールームの大きな画面の内、1番から3番が指示通りの映像を映し出す。
『さあいよいよゲームスタートです! 二頭のヒトイヌが一気に飛び出していく-!』
 実況担当の職員がノリノリで解説を交えながら実況をしていた。
 それを聞くとはなしに聞き流しつつ、裏方の仕事が主な男性職員は、のんびりと呟いた。
「……さて、どちらが勝つかな」
「女島号の方が有利だとは思いますね。普段の傾向からすると、運動量が違います」
 ヒトイヌ公園は広い。どうしてこんな広い敷地を確保できたのかと思うほどの広さがある。普通に人間として歩くだけでも、公園内を移動するのは一苦労だ。
 ましてや、四つん這い状態でしか動けないヒトイヌなら、なおさらである。
 下手をすれば移動するだけでタイムアップという可能性もあった。
「実際、事前予想では女島号有利ですね」
 ふたりのゲームの様子は、会員専用チャンネルで予想ゲームとして公開されていた。
 現金はかかっておらず、公園内での施設の利用に関する無料チケットなどがもらえる体だ。女島と美雲のデータは本人が特定できないように提示されており、それを見て観客は勝者の予想をしている。
「どれどれ……ふむ。突発企画にしては十分な観客数だな」
 企画自体は元からあるもので、準備などはさほど多くない。
 多数のヒトイヌが参加するならともかく、二頭のヒトイヌだけなため、突発でもギリギリ放送する準備が間に合ったという状態だ。
「たぶんこれからもっと増えますよ。いまはたまたま時間の空いていた人が見ているだけでしょうから。会員向けのメルマガで開催告知は回しましたし」
「女島号と美雲号にも、終わったら映像を見せて差し上げないとな」
 基本的にヒトイヌ公園内は撮影しているものとして、最初に許可を取ってある。
 今回のように特別に企画として放映するのは珍しいが、基本的には撮られているのは承知の上で、利用しているのだ。それは公園側の都合だけではなく、利用者同士のトラブル防止のための処置でもある。
「盛り上がりますかね?」
「わからんが、そこは二頭に頑張ってもらおうじゃないか」
 突発で始まっただけに仕込みはほぼない。意図的な盛り上がりを作ったり、サクラを仕込んだりもしていないわけで、もしかすると地味な試合展開のまま終わる可能性もあった。
 とはいえ、大体の利用者はヒトイヌが健気に動き回っている映像だけでも楽しんでみてくれるだろうから、無理に盛り上げる必要はない。
 それでもできるならハラハラドキドキ、楽しんでみられる試合展開を見せて欲しいというのが、運営者側の偽らざる本音だった。
『おおっと? これはすごい――!』
 実況者が興奮気味に声をあげたのを聴き、モニターの監視に戻る。
 モニターの中では、身体能力に定評のある女島号が、さっそく勝負をしかけていた。

つづく

倶楽部の箱詰仕事 5


 ヘッドギアとはいうものの、それは水泳で使うゴーグルほどの厚みしかなかった。
 その薄さでもちゃんと映像が見えているのだから、技術力の高さを窺わせる。
 身につけてすぐは真っ暗闇だったけど、すぐにそのディスプレイに映像が映し出された。その視点は部屋の隅のカメラからのものらしく、技技名さんと社長、そして全裸にヘッドギアだけを身につけた私の姿があった。透明な箱の底面に三角座りで収まっている。
 改めて冷静に第三者の視点で見ると、なんとも恥ずかしい光景だ。思わず身体を縮めていると、技技名さんが動いて、なにやら手に握り込める程度の大きさの道具を私に向けて差し出す。
「はい、これ!」
「……これは?」
 私が手を出すと、そこに技技名さんが道具を置いてくれる。私は手探りでその道具が何かを確かめる。なにやら、ボタンがいくつかと、短いスティックのようなものがついていた。
「ふっふっふっ。某ゲーム機から着想を得た、各機能を司るコントローラーさ! 許可取ってないから訴えられたら負けるけどね!」
「ああ、あの人気の高さに反して生産が追いつかず、長く品薄状態が続いたという……」
 テレビのCMで見た覚えがある。
 確かにあのコントローラーの形に似てるかも。
「販売するわけじゃないし、大丈夫じゃない?」
「だといいんだけどねぇ……」
 社長と技技名さんはのほほんとそんな会話を交わしている。
「……あの、すみませんが作業進めてもらえませんか?」
 裸で放置される側の身にもなって欲しい。
「おっと、ごめんごめん! それじゃあ組み立てていくね!」
 以前透明な箱の中に閉じ込められた時は、身体の柔らかさを強調するような複雑なポーズだったけど、今回はただの体育座りだ。体勢的にはかなり楽なので助かる。
「本当はしずなちゃんの軟体力を活かしたポーズにしたいんだけど、案内もするとなると、さすがに苦しいだろうし、特殊な箱詰めプレイは誰でも出来るわけじゃないからねぇ……」
 慮ってくれるのはありがたい。後者の理由が主な気はするけど。
 それに、慮ってくれるのはありがたいけど、できればもっと前の、企画を立てる段階から慮って欲しかった。
 技技名さんが透明なパーツをはめ込み、私を四角い箱の中に閉じ込めて行く。詰められる体勢がシンプルだからか、透明なパーツの構造もかなりシンプルなものだった。
 ほどなくして、私は透明な箱の中で体育座りの形で閉じ込められた。
『見えないだろうけど、ちゃんと換気用の穴は確保してあるからね!』
 技技名さんがそう言うのが、ヘッドギアから聞こえた。どうやら台車にマイクがあるらしく、外の声をちゃんと拾ってくれているらしい。
『しずなも喋ればこっちにも通じるよ!』
「……そうなんですか? 聞こえていますか?」
 できる限り身体を縮めているから、少し喋り辛かったけど、声をあげてみる。
 カメラ視点で技技名さんと社長が頷くのが見えた。
『うん、大丈夫!』
『ちょっとくぐもっては聞こえるけど、問題なさそうだわ』
「箱の中で喋ったりして大丈夫なのですか? 壁面が曇ったり、酸素が足りなくなったりするのでは……」
 以前はマスクなどをして曇らないような工夫をしていたはずだけど、今回は喋らないといけないからマスクは使えない。
 大丈夫なのかと思ったけど、技技名さんは得意げに胸を反らした。
『日々改良を続けているからね! ちゃんと対策してあるよ!』
 それならいいのだけど。
『さて、ともあれ動く練習をしないとね。右手側に握ったコントローラーのスティックを倒せば、前後左右に動けるよ。対物センサーを取り付けてあるから、人や物などの障害物に当たりそうになったら自動的に止まるから安心して動かして!』
 私は試しに壁に向かって移動してみた。スティックを倒した方向と身体に感じる慣性の動きは同じなのだけど、目に見えている景色とはずれがあって、ちょっと戸惑うけど、慣れれば大丈夫そうだ。
 壁にぶつかりそうになると、壁の手前で自動的に止まった。あえてスティックを倒してみても、ちゃんとぶつからないように止まってくれるようだ。
『スイッチに関しては色々その場その場で機能が違うから、動きながら説明するね。まずはエレベーターに行こう!』
 そう言って技技名さんが実験室の外へと出て行く。慣れない操作をなんとかこなしながらその後を追いかける。
 箱詰倶楽部の建物内の移動とはいえ、箱詰められている状態のまま、場所を移動するというのはなんとも不思議な気分だった。人に運ばれる形なら何度も経験していることではあるけど、今回は自分で動かしている感覚だから余計に変な感じ。
 施設内を移動していく中で、何度も職員たちとすれ違い、その度に興味深そうに見られていることがカメラを通してわかって、顔から火が出るほどに恥ずかしかった。
 以前透明な箱に詰められた時は、少なくとも私の視点は通常の箱詰めと変わらなかった。外の光景は見えていても、そもそも視点が低かったし固定されていたから周囲の状況はよくわからなかった。
 けれど今回は各所のカメラを通して、私を外から見た様子がはっきりわかる。体勢は普通だし、見られると恥ずかしいところも隠れているとはいえ、裸で箱詰められていることは明白であり、恥ずかしいことこの上なかった。


『ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております』
 見学希望者を送り出して、その人が建物から出て行って暫くしてから、私は深々と溜息を吐いた。
 なんとか無事案内を終えることが出来てほっとする。十分倶楽部の活動に興味を抱いてくれたみたいだったし、次の来訪の予約も取り付けた。箱詰めのまま案内するという恥ずかしい思いをした甲斐はあったのだろうか。
 わからないけど、無事終わったことにほっとした。
 エレベーターに乗り込み、技技名さんのいる実験室へと向かう。
『お疲れ様! それじゃあ解体していくね!』
 技技名さんが特殊なライトを当ててくれて、透明の箱が再びパーツに分解される。
 私は窮屈な場所から再び外に出れて、深々と息を吐いた。いくら空気の循環はちゃんと行われていたとはいえ、閉塞空間であることには変わりない。
「どうだった? 改善点とかあれば是非言って欲しいな!」
「……そうですね。今回は短時間だったので必要なかったですが、やはり水分補給はしたくなりますね」
 狭い空間で喋り続けるのはかなりしんどいものがある。箱詰められていると汗も掻くし、実際いまも喉が渇いて仕方なかった。
「先に済ませておけば大丈夫とはいえ、排泄の問題もありますね……急に催した時など、考えたくありません」
「それは一応対策してあるんだけどねー。大きな排泄物は無理だけど、尿は排出できるようになってたんだよ」
「……おもらしみたいに排泄するのは抵抗がありますね。あと、拭けないですから不快度も大きそうですし」
「そこらへんはカテーテルとかで対応するしかないかなぁ……大便の方をどうするかだけど……」
 そんな風に技技名さんと、改善点について話し合っている時の私は知らなかった。

 後日、その改善点をきっちりクリアした箱が用意され、今度は一日中箱に詰められたまま、会員の案内をさせられる羽目になることを。 


~箱詰倶楽部 倶楽部の箱詰仕事 おわり~

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